ピアッジオグループジャパンは、縦置きV型2気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデル「V85TT」のツーリング強化版「V85TTトラベル」の新型モデルを発売すると発表した。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:モトグッツィ
ツーリング装備をプラスした長距離走仕様
2019年に初登場したモトグッツィ「V85TT」は、最新V7系853ccの縦置きV型2気筒エンジンを搭載したアドベンチャーツアラー。ロングツーリング仕様の「V85TTトラベル」の登場は翌2020年で、オプションだったロングタイプのスクリーンや左右パニアケース、グリップヒーター、フォグランプなどを標準装備していた。
このたび登場したのはV85TTトラベルの最新版で、フォグランプが標準装備から外されたもののロングスクリーン、新デザインのパニアケース(容量は左側27.5L/右側34L)、グリップヒーター、そして新たにライダー側シートヒーターやスマートフォン連携機能を採用したのがポイントだ。
また、新型V85TTトラベルの導入にともない、スタンダード仕様のV85TTはラインナップから外れている。
2024年モデルとしては前年モデルから大きな変化も。エンジンはチタン製φ42.5mm吸気バルブなど基本構成を継承しながら、ラムダセンサーの追加などによりユーロ5+排出ガス規制に準拠。
さらに、高回転出力と低回転域におけるスロットルレスポンスを向上するため、可変バルブタイミング機構を新たに採用した。これはカムシャフトと同軸に配置された位相バリエータの溝に沿って遠心力により移動する6個のボールを利用するもので、言ってみればスズキGSX-R1000Rが採用したSR-VVTに似たアイデアのものだ。
V85TTエンジンの可変バルブタイミングシステムは、エンジン回転数が6500rpm を超えると作動し始め、カムシャフトを回転させて7000rpmに最大値でカムを7度(タイミングダイアグラム全体で14度)まで遅らせるというもの。高回転域においてオーバーラップを減らすことで慣性吸気によって充填効率を向上し、出力向上に寄与する。
これにより、最大トルクは5100rpmで83Nm(8.46kg-m)だが、3000rpmから有用なトルクが得られ、3500rpmまでに最大トルクの90%を発揮。最高出力は先代モデルの76ps/7500rpmから80ps/7750rpmへと向上した。
メーターは大きくなった新設計の5インチTFTフルカラーディスプレイを採用し、ハンドルバースイッチも刷新。クルーズコントロールなどの機能によりイージーかつ直感的にアクセスできるようになったという。
このほか、リヤサスペンションにはダイヤル式プリロード調整機構を追加、電子制御の緻密化といった変更も見逃せない。
主要装備は、DRL付きフルLEDヘッドライト、LEDウィンカー、コーナリングABS、トラクションコントロール、クルーズコントロール、5つのライディングマップ、フルカラーTFTメーター、USBソケット、手動調整式ツーリングスクリーン、エアーディフレクター、アルミ製アンダーガード、ハンドガード、MOTO GUZZI MIA マルチメディアプラットフォーム、アーバンサイドケース、グリップヒーター、シートヒーター。
純正アクセサリーの主なラインナップは以下の通りだ。
- LEDフォグランプ
- ヒーター付コンフォートシート
- ドライブシャフトケースプロテクター
- エンジンガード
- アジャスタブルレバー
- ハイグリップエンデューロブレーキペダル
- センタースタンド
- 折り畳み式ミラー
- オーリンズ製リヤショック
- シート下USBソケット
- スプラッシュガード
V85TTトラベルの受注はすでに開始されており、2024年9月より順次出荷。価格は189万7500円で、カラーリングはデザートブロンズの1色のみだ。
MOTO GUZZI V85TT Travel[2024 model]
主要諸元■全長2240 全幅950 全高─ 軸距1530 シート高830(各mm) 車重243kg(燃料90%・パニアケース搭載)■空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブ 853cc 80ps/7750rpm 8.46kg-m/5100rpm 変速機6段 燃料タンク容量23L■タイヤサイズF=110/80R19 R=150/70R17 ●価格:189万7500円 ●色:デザートブロンズ ●受注開始日:2024年8月9日(出荷は9月より順次)
ディテール
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(モトグッツィ)
公式コミュニティ10周年記念のグラフィックをまとった特別仕様車 Moto Guzzi The Clan(モトグッツィ・ザ・クラン)は、モトグッツィの公式コミュニティで、入会するとモトグッツィに関する情[…]
水冷Vツインを搭載したアドベンチャーツアラー、ステルビオがいよいよ日本に上陸 このたび新発売となる『ステルビオ』は、モトグッツィの最新鋭エンジンとなる1042cc水冷V型2気筒を搭載するアドベンチャー[…]
バッテリーコンディションがいまひとつ…。Kナナゴー用バッテリーを載せたら、これがイイ!! 還暦をすぎた筆者は、大型バイクで気楽に走り回ることができない情けない体調…。リハビリのつもりでバイクいじりは積[…]
イタリア最古のメーカーは、クラシカルな佇まいでも新しい モトグッツィはイタリア最古のメーカーで、第一次大戦でエンジニアのカルロ・グッツィとレースライダーと富豪の3人が空軍で出会い、戦後1921年に創立[…]
モトグッツィの黄金時代の歴史を世界のバイクファンに伝える記念碑 このたびモトグッツィがサプライズでアンヴェールしたV7ストーンコルサは、その名が示すとおりレーシングイメージを強調した派生モデルだ。追加[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
初代セローに排気量は肉薄。一段とトレール向き!? ヤマハが開発中と噂される200cc級の水冷単気筒エンジン。200ccクラスの人気が高まっているインド市場などをターゲットとし、現在展開中の水冷155c[…]
心臓部も電脳も上級仕様! 空冷ライバル勢を喰らう クラス最速の呼び声も高かったWR250Rが2017年に生産終了してはや7年。セロー250の殿堂入りからも既に4年が経過した。以来ヤマハの250クラスか[…]
野田さんは学生時代に二輪免許を取得してから今までホンダのバイクばかり乗り継いできました。そんな野田さんが最近購入したのがCRF1100L Africa Twin。どんな経緯でこのバイクを選んだのでしょ[…]
馬力は怒涛の200ps超え!クロスオーバーもここまで来た BMWモトラッドのMシリーズとは、4輪で展開しているそれと同じく、モータースポーツテクノロジーの粋を集めたハイエンドチューンを施されたプレミア[…]
経済情勢および為替レートの変動を受け、GASGASのラインナップが希望小売価格を改定。2024年8月1日から新価格となる。ガスガスの新車を手に入れるなら、値上がり前の今がチャンスかもしれない。 ’24[…]
人気記事ランキング(全体)
弁方式がSOHC2バルブの2ストローク……だと?? カワサキモータースが2022年12月26日に出願し、2024年7月8日に公開となった特許には、「2ストロークエンジン」の名称が与えられていた。新規の[…]
減らないシリンダーづくりを現実的にした技術「ICBM」 金属表面の硬度を表すひとつの基準にビッカース硬度がある。鋳鉄の硬度が45から、硬いスリーブ素材でも140程度のデータに対して、ICBM®シリンダ[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
4メーカーがトライアル車を販売 トッププロのアクションを見たら誰だって感激するはずだし、実際にやってみるとムチャクチャ面白いものの、一般に広く普及しているとは言い難い。近年の日本におけるトライアルは、[…]
最新の投稿記事(全体)
レーシングECUでアクティベートできる可変ファンネル=VAIシステムを搭載 カワサキが誇るスーパースポーツのレースホモロゲーションモデル「ニンジャZX-10RR」の2025年モデルが登場した。すでに北[…]
ツーリング装備をプラスした長距離走仕様 2019年に初登場したモトグッツィ「V85TT」は、最新V7系853ccの縦置きV型2気筒エンジンを搭載したアドベンチャーツアラー。ロングツーリング仕様の「V8[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
パワーは3倍!! はたしてまともに走るのか? “エンジンスワップ”は昔から改造マニアのロマンである。エンジンを他機種用に積み替えるというカスタムは明らかに正統派ではなく、車両メーカーが構築したバランス[…]
皆さんこんにちは! 愛車のヤマハボルトで日本一周しながら靴磨き職人として働くいとです! 暑~いこの季節、皆さんいかがお過ごしですか~?? さてさて、この季節にお客様からよくこんな相談を受けます。夏の間[…]
- 1
- 2