
スズキの「eチョイノリ(e-choinori)」と思われる車両に関する特許が4月~5月にかけて登録・発行された。この特許では、バッテリー1個を搭載していたジャパンモビリティショー2023参考出品車に対し、サブバッテリーを含む2個が搭載可能になっている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
ちょい乗りするだけですから、というコンセプト
スズキがジャパンモビリティショー2023(JMS)で初公開した「eチョイノリ(e-choinori)」は、同時発表のe-PO(イーポ)や新原付カテゴリーのスズカーゴ、スズライドらとともに大きな注目を集めた。いずれも参考出品車ではあったが、実現性の高そうなコンセプトや車体構成にウキウキしたスズキファンも多いことだろう。
おりしも原付一種=50ccの定義が、2025年11月からは“125ccであっても出力制御することで原付一種扱いにする”というルールに変更される見通しもあって、スズキの次世代原付コミューターにおける有力な製品として正式な登場が期待されている。
そんな中で、今回はeチョイノリについて特許情報をキャッチした。
49cc・OHV2バルブの空冷単気筒エンジンは最高出力2.0ps、乾燥重量39kg。部品点数を約3割削減、ボルト&ナット類を約5割削減することでコンパクトな設計とし、5万9800円という低価格を実現したチョイノリ。発売は2003年だった。
名車とも珍車とも言われるチョイノリ(eなし)は、2003年2月に5万9800円で発売された伝説的な格安スクーター。その後継機として電動化されたものというコンセプトが「eチョイノリ」だ。往年のチョイノリと同じように通勤や通学、買い物など近距離の移動に機能を絞り、リヤサスペンションすら持たないシンプルな車体構造となっている。
超近距離モビリティとして幅広い世代に愛されそうなeチョイノリは、電動バイクを買わない理由としてしばしばバイク乗りがつぶやく「航続距離が足りない」という問題を逆手に取ったかのようなネーミングとコンセプトで、「いえ、ちょい乗り用ですから」と鮮やかに切り返したかのような、「その手があったか!!」の電動モビリティと言えよう。
e choinori(JMS参考出品車)
バッテリーが増設できるならありがたいわけで
このたび明らかになった特許では、図版に使われている車両の外装部分が省略されているものの、見るからにeチョイノリとしか思えない形態。そして特許の主題はバッテリーの搭載および着脱の方法についてだった。
こちらはJMS公開車両のバッテリー着脱写真。
JMS参考出品車との大きな違いは、バッテリーを2個搭載した図になっていることだ。シートとフロアボードの間、ライダーのふくらはぎのすぐ後ろあたりにマウントされたバッテリーは左右に1個ずつあり、それぞれ前方もしくは左右どちらかに向かって取り外す構造になっている。
これを見ると、前述のように超近距離モビリティとして開発されていることに違いはなさそうだが、バッテリー1個で15~20km程度と思われる航続可能距離が、サブバッテリーも搭載することで2倍になると想定できる。つまり片道10~15kmくらいは現実的に不安なく使えそう、ということになる。
となれば、もちろんユーザーの使い方にもよるが、都市部だけでなく郊外や、坂道の多い地方などにお住いの方でも50ccエンジン車の代替として選択肢に入ってくる可能性がある。
浜松からの吉報を待ちたい!
公開されたeチョイノリの特許図
JMSで参考出品されたeチョイノリ
e choinori
電動アシスト自転車の駆動ユニットとバッテリーを活用。
シート下というか足元というか……という位置にバッテリーをマウント。その直下に駆動ユニットがある。
このサイズのヘルメットは収納可能ということか。ここは元祖チョイノリに対するアドバンテージであり、電動スクーターとしてヘルメット収納可能なスペースと確保しているのはかなり珍しい。
メーターは超シンプル。
e choinori
e choinori
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI])
スズキCNチャレンジのファクトリーマシンと同じウイングを装着(一部地域でオプション設定) スズキは今回、初代GSX-R750から40周年にあたる今年、「GSX-R1000」「GSX-R1000R」の復[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に グローバルサイトでの2026年モデル発表、北米での正式発表に続き、英国でもスズキ「ハヤブサ」の2026年モデルが正式発表された。2026年モデルとしてレギュラーカラ[…]
電子制御サスペンション採用のGXにウイングレット新採用でさらなるスタビリティを スズキは欧州で、2005年型GSX-R1000(通称K5)由来の4気筒エンジンを搭載するクロスオーバーツアラー「GSX-[…]
新型モデルの実際の使い心地をチェックできる 2025年11月5日、スズキより、新型「DR-Z4S」および「DR-Z4SM」を「スズキワールドバイクレンタル」のラインナップに追加したとの発表があった。こ[…]
走るワクワクを現代・そして未来に…EVであの“VanVan”が復活!! 10月30日(木)から11月9日(日)まで東京ビッグサイトにて開催されていた「ジャパンモビリティショー2025」。スズキのブース[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
走るワクワクを現代・そして未来に…EVであの“VanVan”が復活!! 10月30日(木)から11月9日(日)まで東京ビッグサイトにて開催されていた「ジャパンモビリティショー2025」。スズキのブース[…]
風のように静かで、1000㏄並みにトルクフル! ホンダは昨年のEICMA2024で「EV Fun Concept」を出展したが、今回のEICMA2025では「WN7」を発表。基本スタイルは踏襲するもの[…]
2026モデルのモトクロッサーYZ450Fをベースに電動化 電動トライアルマシンの「TY-E」でFIMトライアル世界選手権EVクラスに参戦するなど、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みにも積極的な[…]
電動車ならではのレイアウトの自由度の高さを活かした新設計の二輪駆動EVバイク「EV OUTLIER Concept」世界初公開 10月30日(木)から11月9日(金)まで東京ビッグサイトにて開催されて[…]
初の電動スクーターが「C evolution」 2017年、BMWモトラッドは初の電動スクーター「C evolution(Cエボリューション)」を発売。それまでのガソリンエンジンを搭載したC650に通[…]
人気記事ランキング(全体)
距離もブランドも関係なし!50人同時通話を実現 EVA Rモデルは、EVANGELION RACINGをモチーフとした特別デザイン(初号機A/B、2号機A/Bの全4モデル)をまとい、ナイトランでも存在[…]
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
未塗装樹脂の白ボケ原因とツヤを復活させる方法 黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。 新車の頃は真っ黒だっ[…]
APトライク250って高速道路で通用するの? チョイ乗り系トライクとして知られるAPトライク125は、125ccという排気量ながら「側車付き軽二輪」という区分のおかげで高速道路を走れます。しかしながら[…]
防寒着に求められる3要素を網羅 真冬のバイク乗りにとって、防寒は死活問題だ。アウターで風を遮断しても、その内側、つまりミドルレイヤーやインナーの選択次第で、ツーリングの快適度は天と地ほど変わってしまう[…]
最新の投稿記事(全体)
世界のバイクメーカーをビビらせた初のアドベンチャーモデル オールドファンならご存じのBSAはかつてイギリスで旋風を巻き起こしたバイクメーカー。ですが、1973年には一旦その幕を下ろし、2016年にイン[…]
操作革命!レバーひとつで純水と水道水を即座に切り替え 販売元であるVectoraneは、プロのコーティングショップ、カーディーラー、大手ガソリンスタンドなど、全国1,000店舗以上に純水器を導入してき[…]
2023年からV4エンジンの開発は始まっていた CFMOTOは、すでに2023年のEICMAでスーパースポーツ向けV4エンジンのプロポーザルを行っており、昨年はV4搭載マシンのモックアップモデルを展示[…]
勝利の哲学を纏った限定モデル 世界最大級のモーターサイクル展示会であるEICMAにて初披露されたこの限定エディションは、Insta360が誇る最先端の技術と、9度の世界チャンピオンであるマルケスの不屈[…]
生活圏に牙を剥く「熊」から命を守れ!! 年、都市近郊や住宅地にまで出没し、甚大な被害をもたらしている**「人里の熊」。もはや登山家や釣り人だけの話ではない。愛車を駆る週末ライダーも、通勤・通学の一般市[…]
- 1
- 2



















































