
2024年1月26日、ホンダとヤマハがデンソー製燃料ポンプに関わるリコールを届け出たことがわかった。自動車メーカーはこれまでに430万台規模へと発展したが、バイクに関してはホンダの一部大型バイクと、ヤマハの一部機種向けスペアパーツが対象に。現状をまとめてみた。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
燃料ポンプの樹脂製インペラが膨潤して変形する可能性
デンソー製燃料ポンプに関するリコール問題とは、2020年3月より各自動車メーカーから届け出されているもので、燃料ポンプを構成する部品のひとつであるインペラ(樹脂製羽根車)において、樹脂密度の低いものが燃料によって変形し、作動不良に繋がることがあるというもの、最悪の場合、走行中エンストに至るおそれがある。2023年7月にはこの燃料ポンプの不具合が原因で車両(四輪)が路上に停止し、後続車に追突されて乗っていた80代の男性が死亡する事故が起きている。
二輪車に関しては、2023年までリコール届出はなかったが、ホンダとヤマハが2024年1月26日にリコールを届け出たことが明らかになったので、現状をまとめてみたい。
ホンダとヤマハが公開した改善箇所説明図。エンジンを始動する時に掛かりにくい、走行中に加速しない、振動するなどのエンジン不調と思われる症状が発生した場合は、早めに各販売店へ。
3496台の車両本体と、129個のスペアパーツが該当するホンダ
ホンダが1月26日に公表したのは、2018年~2023年に生産されたゴールドウイングツアー(2BL-SC79/8BL-SC79)、および2017年~2020年に生産されたCBR1000RR(SC77)で、対象として発表された車台番号に該当するものだ。部品の準備ができ次第、対策品と交換する措置がとられる。
写真は2022年型ゴールドウイングツアー。
写真は2018年型CBR1000RR。
また、2017年~2020年に生産され、スペアパーツとして出荷されたもののうち対象として発表された部品番号に該当する129個についても同様の改善が実施される。
このほか、2018年~2020年モデルのCBR600RRレース専用車両/CBR1000RRレース専用車両については、車台番号に該当するものが自主改善の対象に。こちらはリコールとは異なるが、当該部品を対策品と交換するのは同じ。すでにホンダが購入者を全て把握していることから、改めて周知のための措置はとらないとしている。
スペアパーツのみリコール対象のヤマハ
ヤマハは、2006年~2007年モデルのXJR1300のうち、スペアパーツとして当該燃料ポンプが組み付けられた可能性があると特定できた3台がリコール対象に。改善措置としては、該当する全車両、燃料ポンプアセンブリを対策品と交換する。
また、2017年~2020年に交換修理用部品(スペアパーツ)として出荷された燃料ポンプで組み付けられた車両が特定できないものの計209個が対象に。対象機種にはXJR1300、FZ1/フェーザー、MT-01、YZF-R6、XVS1300が含まれる。いずれも当該部品が組み付けられた車両はリコール対象車両と同様の改善が実施される。
写真は2007年型XJR1300。 ※新車時に組み付けられた燃料ポンプは問題ない
スズキ(バイク)とカワサキは該当なし
まず、四輪のほうではリコール対象車両が公表されているスズキだが、二輪については樹脂製インペラを使用したデンソー製燃料ポンプを過去に採用したことがなく、今回のリコール問題に関連した事案が発生する可能性はない。
カワサキについては、今回のリコール問題で対象となっている平成29年~令和5年頃において、補用品(スペアパーツ)を含めてデンソー製の燃料ポンプは採用しておらず、現在も2輪車においてデンソー製燃料ポンプは採用していないとのこと。こちらも今回のリコール問題に関連した事案が発生する可能性はゼロだ。
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