
ホンダはベトナムで、空冷単気筒エンジンを搭載したネオレトロ「CB350ハイネス(H’ness)」を発表した。インド発の「ハイネスCB350」および日本仕様「GB350」のベトナム版で、グレーとレッドの2色がラインナップされる。
●文:ヤングマシン編集部
ここからグローバル展開していく……とか?
インドで生まれた「ハイネスCB350」およびその日本仕様である「GB350」が初めて日印以外に展開される。ベトナムホンダが発表したのは「CB350ハイネス」と、インド名を逆さにしたような名称が与えられたもの。中身はGB350やハイネスCB350と同じく、ロングストロークの348cc空冷単気筒エンジンをセミダブルクレードルフレームに搭載、前19/後18インチのキャストホイールを装着している。
インド仕様「ハイネスCB350」は2020年秋に発表され、翌2021年に日本仕様の「GB350」が登場。スポーティ寄りのCB350RS(日本名GB350S)は後輪を17インチラジアルに換装し、フォークブーツなどの独自装備が与えられた。そして2023年には、インドで新バリエーションモデルとしてクラシカルなCB350が発表され、ホンダは日本においてはこれをGB350Cとして導入すると予告している。
現段階まではインドと日本でのみ販売されるモデルだったわけだが、当初からホンダの関係者が「欧州などからも要望はある」と言っていたようにグローバルでの展開が待ち望まれていた。
そんな中、ベトナムでCB350ハイネスが登場したわけだ。車名はインド版と“CB350”と“ハイネス”の位置関係が逆さになっているが、大きな意味はないだそう。
これにてグローバル展開が始まるのでは……と考えるのは早計だろうか?
ここで気になるのは、未だ登場していない『GB500』だ。ヤングマシンではGB350が国内に導入された当初から、メディア向け発表会に鎮座していたシリンダーヘッドを根拠に500cc版の登場を予想してきたが、実際に登場するには至っていない。
実現していない理由はいくつか想定でき、まずは日本における免許制度がひとつの壁になっていると見ていいだろう。普通二輪免許で乗れるのは400ccまでであり、大型二輪免許では無制限になるものの、500ccという排気量は中途半端に思われがち。インドでも単気筒モデルは350ccクラスが中心的だ。
といった状況を整理すると、500cc版が登場する可能性はまあまあ低いことがわかってくる。
しかし、である。欧州などでは500~600cc前後のマシンをベーシックモデルとして扱う文化があり、ホンダも2気筒のCBR500R/NX500/ホーネット500をラインナップ。他メーカーでもアプリリアRS457やカワサキZ500/ニンジャ500といったバイクが2023年秋に登場している。
つまり、ベトナムにおけるCB350ハイネスがグローバル展開の前触れなのだとしたら、そして欧州へと波及していくのだとしたら……500cc版の可能性がグンと上がってくるのではないか?
だいぶ気の早い話であり、まだ可能性の域を出ないが、今後の展開を改めて注視していきたいと思わせる一手だろう。続報を待とう!(気長に)
GB500は出るのか?(ヤングマシン’23年12月号より)
GB350のシリンダーや車体には、明らかに大排気量版を見越した設計が見られる。本誌では上級版の「500」が出ると以前からネチネチ予想している。ただし日本で500ccの需要は少ない。価格やスタイルなど何らかの「付加価値」を設定すれば登場の可能性アリと本誌は睨む!
GB350のシリンダー。ボアはφ70mmで、スタッドボルトまで20mmもの余裕がある。13.5mmボアアップするだけで496ccに!
CB350 H’ness (ベトナム仕様)
HONDA CB350 H’ness[2024 Vietnam model]Dark Grey
HONDA CB350 H’ness[2024 Vietnam model]Red and black
主要諸元■全長2190 全幅789 全高1107 軸距1441 シート高800(各mm) 車重179kg(装備)■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 348cc 21ps/5500rpm 3.06kg-m/3000rpm 変速機5段 燃料タンク容量15L■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/70-18 ●価格:1億2999万ドン(日本円換算約78万3000円・1/29現在)
HONDA CB350 H’ness[2024 Vietnam model]
HONDA CB350 H’ness[2024 Vietnam model]
HONDA CB350 H’ness[2024 Vietnam model]
ベトナムで最初に一般向け公開されたのは、『ホンダバイカーズラリー2024』というイベントだった模様。ホンダのアイコニックバイクとしてCB350FOURやCBR250RRなども展示された。ベトナム市場は新車販売台数が300万台を超える規模(2022年およびコロナ以前)であり、ホンダ車はそのうち約8割ものシェアを占める。バイクそのものの呼称が『ホンダ』であることでも知られているバイク大国だ。
CB350ハイネスのお披露目。
アイコニックバイクとして展示された3車。テントの反対側にはNSR250Rと思われるマシンの後姿もあり、ほかにも2車があるように見える。
CD200ロードマスターという馴染みのない名前だが、1980年代に海外向けに生産されたもののようだ。
CB350FOURは、往年のヨンフォアのベースになった4気筒マシン。
CBR250RRは1988年式を名乗るが、カラーリングは1992年頃のものと思われる。その年代でフロントブレーキがシングルディスクなところを見ると、海外向けの仕様なのだろう。
1988年式と思しきNSR250R。写真で見る限りは状態が凄くよさげ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
車体色はプコブルーとマットパールモリオンブラックか? ホンダは国内SNSで、インドで前日に発表したばかりのCB350の日本仕様と思われる「GB350 C」を国内で発売予定と発表した。 公開された画像か[…]
燃料タンクの高貴なストライプを見よ ホンダモーターサイクル&スクーターインディア(HMSI)は、日本でGB350シリーズとして販売され人気の空冷単気筒バイク「H’ness CB350(ハイネスCB35[…]
GB350は受注一時停止中だが、ロイヤルエンフィールドは供給順調 中型クラス……というか普通二輪免許で乗れる空冷ネオクラシックバイクが大人気だ。ホンダはインドで「ハイネスCB350」として発表したモデ[…]
エンジン自体は「500」を見越した設計だ GB350に常につきまとう「500cc存在説」。その噂の出元をひも解いていくと、2021年春に開催されたメディア向け試乗会にたどり着く。ホンダの主催で千葉県南[…]
【その1】3点セットをボルトオーン! まずはスタンダードに近い状態でどこまでイメージを変えられるか確認してみたい。というわけで、CGでパーツをボルトオンして車体カラーを変更してみる。日めくりカスタムの[…]
最新の関連記事(GB350シリーズ)
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
2機種/3+2グレードで構成されるインド仕様 ホンダモーターサイクル&スクーターインディア(HMSI)は、日本でGB350シリーズとして販売され人気の空冷単気筒バイク「H’ness CB350(ハイネ[…]
2021年モデル:無印3種、Sに2種のカラーを設定 丸型ケースに収められたLEDヘッドライトにシンプルな造形の燃料タンク、そしてダブルシートへの流れるような水平ライン。ほぼ垂直に立った単気筒エンジンの[…]
レトロな容姿になってもやっぱり走りはイマドキ 2024年の全日本ロードレース選手権最終戦で、鈴鹿サーキットに対する苦手意識をようやく克服しました。日曜日朝のフリー走行で、走り方の意識を変えたことがその[…]
燃料タンク/サスペンションカバー/ディープフェンダーも新作! ホンダは、2023年11月に車両の姿を公開し、後日国内で発売予定としていた新型モデル「GB350C」を2024年10月10日に発売した。開[…]
最新の関連記事(新型ヘリテイジ/ネオクラシック)
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
快適性向上、簡易ナビ/USB-Cを標準装備! ロイヤルエンフィールドから新型「ハンター350{HUNTER 350)」が登場! 日本で総輸入発売元を務めるピーシーアイが新型を発表するとともに、価格や発[…]
見る者で印象が違う? 絶妙なカタチとストーリー プレス向けの事前撮影会場に訪れたヤングマシンの取材スタッフ。興奮しながら、眩しいライトに照らされて佇むCB1000Fコンセプトの実車を目にした。しかし、[…]
クラシックなボバースタイルをもつ”個性爆発”のゴアン クラシック350 名は体を表すというが、ロイヤルエンフィールドのニューモデル「ゴアン クラシック350」が表現するものは何か? 英国発祥のロイヤル[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
人気記事ランキング(全体)
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の投稿記事(全体)
廉価&シンプルなハイブリッドシステムで燃費性能を向上! ヤマハモーターインディアは、15年以上にわたってシリーズ累計150万台以上を販売してきた人気モデル「FZ-S」の最新モデルとして「FZ-S Fi[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
150万円切りはほぼ確実と思われるが…… ヤマハは台湾で、欧州および北米などで発表済みのスーパースポーツモデル「YZF-R9」の導入価格を発表。日本国内にも2025年春以降の導入が案内されており、正式[…]
100万都市・千葉市のバイク駐車場問題 上総台地の平坦地に位置する千葉市は、人口98万人強の大きな自治体で、現在も増加中であることから「最後の100万都市」とも呼ばれている。 高度経済成長期には大規模[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
- 1
- 2