
今や貴重なミドルクラスの並列4気筒車として、堅調な販売を続けているCBR650R/CB650R。乗りやすさとスポーツ性の好バランスが光る1台だが、ホンダはそこに“イージー”というさらなる一手を加えてくる?! 特許出願でその存在が明らかになっている「電子式クラッチ」が投入されるというのだ!!
●CG作成:SRD(CBR650R)/鰭崎真司(CB650R)
革命的装備も価格差はヒトケタ万円以内?!
スーパースポーツ系を除くと唯一の国産ミドル直4スポーツ・ホンダCBR650R/CB650Rに「電子式クラッチ」が導入される見込みだ。ホンダは2022年11月に「Honda Pro Clutch」、2023年1月に「Honda E-Clutch」という商標を出願したのをはじめ、電子クラッチ関連の特許を大量に日本で出願。その第1弾搭載車がCB650R/CBR650Rになるようだ。
ご存じのとおりバイクのクラッチは、レバーからの入力をワイヤーか油圧で機械的に伝達しているが、こうした入力を電気信号としたシステムが電子クラッチだ。近頃はアクセルの入力を電気信号で伝える“スロットルバイワイヤ”が増加中。電子クラッチも同様の機構で“クラッチ バイワイヤ”と言える。
ホンダと言えば奇数ギヤと偶数ギヤにそれぞれクラッチを持ち、AT走行も可能とするDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を各車に展開しているが、クラッチレバーがないDCTに対し、電子クラッチはレバー操作もできるのが特徴だ。
特許によると、レバー操作不要でゼロ発進から変速までをこなすオートマチッククラッチモードのほか、通常のマニュアル車と同じようにレバー操作ができ、なんとエンストするモードまで想定されている。これら全ての機能が実車に投入されるかは不明だが、クラッチ操作から完全に解放されるモードを搭載するのは間違いないだろう。クラッチ操作を行うモードでも、より軽い操作感や回転アシストなどの機能が期待できるはずだ。
ビギナーにメリットがあるのは言うまでもないが(レブルなんかに最高だと思います!)、クラッチ操作を楽しみたいベテランにも有効。長距離や疲れた際はオートマで走り、スポーツ走行したい時は従来通りのマニュアルと使い分けられる。イージーさと操る楽しさを両立できるのは、さすがホンダだ。
そして何よりも期待したいのは価格。MT車との違いはレバー周辺とクラッチ操作用のアクチュエーター、制御系程度に収まりそうだし、何より構造的にDCTよりも圧倒的にシンプル。CRF1100LアフリカツインのMT車とDCT車の価格差が11万円なことを踏まえれば、新650の電子クラッチ仕様はプラス10万円以内に収まる可能性もあるだろう。
【ホンダCBR650R E-Clutch|イメージCG】現行型はCBR-RR系をイメージさせる2眼+フルカウルを採用。2019年の初代登場時からスタイルは変わっておらず、電クラの投入に合わせて外観のリファインもありえるか。◎予想発売時期:2023年秋〜 ◎想定価格帯:120万円前後 ◎デビュー可能性:90%
【ホンダCBR650R E-Clutch|イメージCG】ネオスポーツカフェを標榜するCB-R兄弟のミドル版として登場。デザインは兄弟車のCBRと同じく2019年型から不変なの で、そろそろ変更されると予想したい。◎予想発売時期:2023年秋〜 ◎想定価格帯:110万円前後 ◎デビュー可能性:90%
【ホンダCBR650R(107万8000円〜)/CB650R(100万1000円〜)】ミドルクラスでは貴重な並列4気筒を搭載する万能スポーツの2台。通常の6速マニュアルだが、電子クラッチが搭載されれば、激戦区であるミドルクラスで大きなアドバンテージとなるハズだ。 ■水冷4スト並列4気筒 648cc 95ps/12000rpm 6.4kg-m/9500rpm ■車重203kg シート高810mm 燃料タンク容量15l ※諸元はCB650R
ワイヤーではなく電気信号の”クラッチバイワイヤ”
通常のクラッチはレバーからの入力をケーブルか油圧で物理的に伝達していたが、センサーからワイヤ(電線)で電子的に伝えるのがクラッチ バイワイヤ。レバー操作に必要な力は従来以上に軽くて済む。
出願特許によると、レバー不要でエンストしないオートモード、クラッチを任意に切れて自動でオートマに戻るモード、完全マニュアルの 3種類が選択可能。メーター上のランプでモードの状態は一目瞭然だ。変速ショックや過度なエンブレも制御する!
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