
’80年代――あの頃のバイク文化は、レースの文脈と切っても切り離せないものだった。本記事では、当時のライダーを熱狂させたレーサーレプリカモデルから、RC30に代わるナナハンマシン、ホンダのRVF/RC45を紹介する。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
’90年代のforceV4〈ホンダ RVF/RC45〉
スーパーバイクのレースレギュレーションが変更された’94年。全日本ロードや8耐もこれに続き、各メーカーとも750㏄マシンの進化に専心した。ホンダもRC30に代わる公道走行可能なレースベース車を送り出す。
名称はワークスレーサーと同じ「RVF」に変更され、一段と高性能化が進んだ。キャブから新たにインジェクションを採用したほか、’82年のVF750Fから踏襲してきたボア×ストロークを初めて変更。ショートストローク化を図りつつ、カムギアトレーンをセンターから右配置に変更するなど徹底的にコンパクト化を追求した。
フレームはRC30から約15%の剛性アップを実現しながらRC30と同じ重量に抑えるなど全くの別物に。倒立フォークも初採用され、価格は200万円に到達したが、まさに究極のV4レプリカと言える出来映えだった。
強さは圧倒的で、デビューイヤーの’94年から’99年まで8耐は6戦5勝、全日本では3度のタイトルを獲得。スーパーバイク世界選手権ではドゥカティに打ち勝ち、’97年に念願の年間王者に輝いた。’00年以降はレース環境の変化によってレーサーは1000ccのVツインと直4に移り変わり、栄光のRC45もついに殿堂入りとなる。しかしエンジンはスポーツツアラーのVFR800に受け継がれ、現在のVFR1200Fにもノウハウが息づいている。
【’94 HONDA RVF/RC45】当初は国内限定500台で販売。’94年に受注生産された。キット組み込み時は150psを発生。■水冷4ストV型4気筒DOHC4バルブ 749cc 77ps/11500rpm 5.7kg-m/7000rpm ■189kg ■タイヤサイズF=130/70ZR16 R=190/50ZR17 ●当時価格:200万円
エンジンの小型化で、搭載位置をより前側にすることに成功。ラムエアも採用した。
’92 ホンダ NR:ホンダ史上最高のプレミアムV4
技術の粋を結集したホンダ製バイクの旗艦として投入。GPレーサーNR500の流れを汲む楕円ピストンを世界初搭載し、1気筒あたり8バルブを実現。フルパワー仕様で130psをマークした。チタンやマグネシウムを多用し、国内では驚愕の520万円、限定300台で販売された。
【’92 HONDA NR】主要諸元■水冷4ストV型4気筒DOHC8バルブ 747cc 77ps/11500rpm 5.4kg-m/9000rpm ■223kg ■タイヤサイズF=130/70ZR16 R=180/55ZR17 ●当時価格:520万円
カーボンパネルに計器類が整然と並ぶ。速度は上部にデジタルで表示。
ホンダ独創の楕円ピストン。1気筒あたりコンロッドを2本装備。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。 FXに遅れること約1年、1980年6月に発売され[…]
ホンダCB400フォア:工芸品がごとき秀逸デザイン ヨンフォアことCB400フォアのベースとなったのは、1972年に発売されたCB350フォア。 当時、クラスで唯一の4気筒で、4本出しマフラーを採用す[…]
GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキGPZ1000RX】 1983年にTT-F1の排気量上限が750ccに引き下げられた結果、リッターバイクはレースの呪縛を解かれて独自に発展し始める。 […]
画期的だったスズキの油冷エンジン 1983年のRG250Γ(ガンマ)、翌年のGSX-R(400)でレプリカブームに先鞭をつけたスズキは、1985年にGSX-R750を発売。いよいよ大型クラスに進撃を開[…]
Z1から11年を経た”新基準”【カワサキGPz900R】 カワサキが水冷6気筒のZ1300を発売したのは1979年だったが、この頃からすでにZ1系に代わる次世代フラッグシップが模索されていた。 Zに改[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。 FXに遅れること約1年、1980年6月に発売され[…]
4ストローク2気筒の『オフ・ザ・ロード』 国産4ストローク2気筒型オフロード車を語る上で外せないバイクが1970年登場のホンダSL350です。SL350は1970年代のホンダ車の中でもレアな存在ですが[…]
ホンダCB400フォア:工芸品がごとき秀逸デザイン ヨンフォアことCB400フォアのベースとなったのは、1972年に発売されたCB350フォア。 当時、クラスで唯一の4気筒で、4本出しマフラーを採用す[…]
ホンダのVFやNRの影もカタチもない1977年の東京モーターショーにYZR1000デビュー! 1977年の第22回東京モーターショーのヤマハ・ブースに、白に赤ストライプのワークスマシンカラーの謎のマシ[…]
人気記事ランキング(全体)
ヤマハ RZV500R「2ストV4エンジン搭載で衝撃のデビューを果たしたYZR500レプリカモデル」 ライトウエイトピュアスポーツからレーサーレプリカへの橋渡しであり、起点とも言えたヤマハ RZ250[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
4ストローク2気筒の『オフ・ザ・ロード』 国産4ストローク2気筒型オフロード車を語る上で外せないバイクが1970年登場のホンダSL350です。SL350は1970年代のホンダ車の中でもレアな存在ですが[…]
GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキGPZ1000RX】 1983年にTT-F1の排気量上限が750ccに引き下げられた結果、リッターバイクはレースの呪縛を解かれて独自に発展し始める。 […]
軽量化とパワーアップの両面を果たしたフルモデルチェンジ フルモデルチェンジが実施された2018年モデルの発売は、2018年2月1日。2017年モデルまでのニンジャ400は、海外向けのERシリーズをベー[…]
最新の投稿記事(全体)
シュアラスター製品で洗車しよう! 春の祭りと言えば…ヤマ◯キ春のパン祭りが有名ですが、 シュアラスターも祭りを開催しております。 その名も「春の洗車まつり」! キャンペーン概 応募期間:2025年3月[…]
アプリで『もてぎ2&4レース』決勝を予想してプレゼントをGETしよう! モーターサイクルロードレースの国内最高峰、全日本ロードレース選手権 Rd.1『もてぎ2&4レース』が、4月19日[…]
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
ファクトリーマシンが進化して帰ってきた! スズキは東京モーターサイクルショーのプレスカンファレンスで、2025年の『Team SUZUKI CN CHALLENGE』の体制発表を行った。メーカーとして[…]
やっぱり「素手」が好き! いきなりですが、筆者はかなりの作業を素手で行っています。ていうか、素手が大好きです。ボルトを回すにしても、工具を持って締め付けるにしても、とにかく手先にダイレクトに伝わる感覚[…]
- 1
- 2