
ライダーが増え、バイクが売れているいま、その背後にある不安や不満を払しょくするために各界のトップはどう考えているのか。今回は、’22年に前年比33%増の1万199台という販売台数を記録して、ただいま絶好調のハーレーダビッドソン ジャパン(以下HDJ)を率いる野田社長に、創立120周年を迎える’23年も現在の勢いを継続するための施策などをお聞きした。 ※ヤングマシン2023年5月号掲載
●取材/文:ヤングマシン編集部(Nom) ●写真:ハーレーダビッドソン ジャパン、編集部
【野田一夫(のだかずお)】’69年、福岡県出身。’93年マツダ入社、BMWジャパン、アウディジャパンを経て、’14年にトライアンフモーターサイクルズジャパンの代表に就任。’20年には国内年間販売過去最高を更新するなど、トライアンフの躍進を支えてきた。’20年12月、HDJの代表取締役に就任し現在に至る。
ポテンシャルの高さはこんなものじゃない。課された使命は年間2万台だと思っている
HDJは昨年、’17年以来の販売台数1万台超えを記録しV字回復を成し遂げた。さらに、今年はハーレーダビッドソン(以下H-D)の創立120周年という大きな節目の年でもあり、HDJを率いる野田社長はこの勢いをどうやって継続していくつもりなのか、また大幅に増えた新規ユーザーをどうやってケアしていくのか。さらには、H-Dから分離・独立したライブワイヤー社が販売する電動バイクの日本導入はあるのだろうか。
まずは、昨年の1万台超えの要因からお聞きしよう。
「会社の方針で、私の方針でもあるんですが、まずはもう一回、基本からしっかりやりました。H-Dには『ハードワイヤー』という中期戦略があって、その前に『リワイヤー』というのがあって、いろいろな物事、線が絡み合ってしまっていたのを、もう一回、結線し直そうというのが『リワイヤー』で、それをさらに強くしようというのが『ハードワイヤー』なんです。長年H-Dのビジネスをやってこられたディーラーさんでも、販売現場に目標がちゃんと伝わっているか、広告宣伝でもお客さまが知りたい情報をちゃんとお伝えしているか、そういう基本を一昨年に代表に就任したときから徹底してやってきました。
私も全国110店舗を回って、抜けているところはないかを確認して、基本的な戦略に基づいて方向性を合わせる作業をしました。
ちょうどコロナ禍だったのも幸いして、ディーラーさんもそういう作業にしっかり取組むことができ、その成果が昨年、一気に出たのだと思います」
最新のストアデザインプログラムを採用して、今年の1月に那覇空港近くに移転・リニューアルオープンしたハーレーダビッドソン沖縄。県内唯一の正規ディーラーである。
ご存じのように、H-Dは非常にブランド力が高いバイクで、ここ日本でも年間1万6000台の販売を記録したことがあるほどだ。
「ポテンシャルは滅茶苦茶ありますね。ですから、正直、こんなものじゃない、もっとイケると思います。今年は創立120周年で記念モデルもたくさんありますし、『ブレイクアウト』のような強力なモデルもあります。さらに、年の中ごろ、そして年末にもまだまだニューモデルがあって、みなさんにさすが120周年だと思っていただけるような年になると思います。
いま日本は、アメリカマーケットに次いで世界で2番目にH-Dの販売台数が多い国ですから、車両の割り当てでも有利になっていて、供給の面でもうまくいっています。
さらに、H-D沖縄さんのように売上を今以上に伸ばすために投資をして、新店舗を構えたところもあります。ですから、この先2~3年で過去最高だった1万6000台のレベルまで到達して、その上の2万台を目指すのが私に課せられた使命だと思っています」
’18年に1万台を割り込んでから漸減していた販売台数だったが、昨年、見事にV字回復を遂げた。(日本自動車輸入組合調べ)
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
2023年は若年層に訴求、大型免許にかかわる施策も…… 1月26日、新型「ブレイクアウト」の発表会は、元K-1世界チャンピオンの魔裟斗さんもゲストで登場するなど華やかに開催された。その後、個別インタビ[…]
かつてのXR1200がフレンドリーなデザインとサイズ感に! ハーレーダビッドソンのブランニューモデルが海外に登場だ! このところ2輪市場が活気づいている中国において、ハーレーダビッドソンが1970年代[…]
昨年11月に二輪事業本部に電動開発部を新設した 昨年の9月13日、ホンダは「二輪事業の取組みについて~電動化を中心としたカーボンニュートラルの実現〜」という内容の記者会見を行った。その中身は、'40年[…]
’23年はEWCの王座奪回が目標、鈴鹿8耐は日本人ライダーを起用したい 昨年7月、数か月前から噂されていたモトGPからの撤退を表明したスズキだが、同時にFIM世界耐久選手権(以下EWC)へのワークス参[…]
高速料金問題は自民党PTの1丁目1番地。12年かかって一歩進んだと思います 2022年4月3日からスタートした“ETC二輪車定率割引”。土日祝日限定/事前に専用サイトで自分のETC機器を登録/片道10[…]
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
RA1250S パンアメリカ1250スペシャル:驚くほど大胆なボディワーク、紛れもないハーレーだ! フロントまわりがくちばしの長い鳥類のような造形が多いアドベンチャーモデルが多い中、この武骨なマスクは[…]
世界に名高いカスタムビルダーも! カスタムショーに新作を持ち込めばアワード常勝のカスタムビルダーたちがやってくる! 世界を舞台に活躍し、今年で25周年を迎えた「LUCK Motorcycles」と、大[…]
ナショナルハーレーデー:世界中のハーレー乗りと一緒に! ハーレーダビッドソンの故郷・アメリカはもちろん、ヨーロッパでも豪州でもアジアでも、世界中のハーレー乗りたちが一斉に走る日、それが「ナショナルハー[…]
FXLRSローライダーS:パワーユニット強化で走りはさらにアグレッシブ 許容リーンアングルが深めに設定されるなど、スピードクルーザーとして絶対的な人気を誇る「ローライダーS」 。2025年式は最高出力[…]
FLHRロードキング[2002年式] ハーレーダビッドソンが1999年に満を持してリリースしたツインカムエンジン。従来(エボリューション)までのワンカム構造を改め、カムシャフトを2本配置。伝統のOHV[…]
人気記事ランキング(全体)
ホンダ「CB1000F SE コンセプト」が鈴鹿8耐で世界初公開! 8月1日より予選が始まった“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会のホンダブースにて、CB1000F SE コンセプト[…]
3色すべてホイールカラーも異なる カワサキは欧州でZ650RSのニューカラーを発表。カラーバリエーションの全てが新色に置き換わり、黒ボディにレッドストライプ&レッドホイールのエボニー、メタリックブルー[…]
国内規制に合わせてエンジンを再設計 ホンダのCB750フォア(1969年)の発売と前後して、大型バイクの事故の増加や暴走族が社会問題化し、国内では750ccを超える排気量のバイクを販売しない自主規制が[…]
KOMINE プロテクトフルメッシュジャケット ネオ JK-1623 フルメッシュで残暑厳しい秋口のツーリングでも快適さを保つジャケット。胸部・肩・肘・背中にプロテクターを標準装備し、高い安全性も両立[…]
最小限のカスタムでクルーザーをアドベンチャーマシン化 1200ccという大排気量の水平対向エンジンを心臓部に持つBMWのヘリテイジモデル、R12シリーズ。その新しいバリエーションとして2025年5月に[…]
最新の投稿記事(全体)
バイクの電装部品のひとつ、レギュレターってご存じですか? こういうの部品です。 車種によって場所はマチマチですが、だいたいがシルバーで、アルミ素材で空冷フィンがついていて、比較的バッテリーに近いところ[…]
オフロード界に刺客! ツーリング仕様「KLX230 DF」見参 人気のKLX230シリーズに、ブランニューモデル「KLX230 DF」が追加された。KLX230シェルパをベースとしながら、リヤキャリア[…]
秋FESの目玉コンテンツを見逃すな! 今回の「秋FES」は、バイクに乗る者も、まだ乗ったことのない者も、誰もが楽しめるよう趣向を凝らしたコンテンツが満載だ。おもなコンテンツは以下の通りだ。 モトブロガ[…]
トランプ関税はバイクの世界にも影響があるのか、国内各メーカーに聞いてみました 世界中に吹き荒れている「トランプ関税」の深刻な影響。 特に、自動車に課されることになった15%の相互関税は日本の自動車メー[…]
鈴鹿8耐スズキブースは未来への期待満載! 鈴鹿8耐会場、スズキブースがアツかった。GPスクエアのスズキブースには、なんと新型GSX-R1000Rを含む未発売モデルがズラリと並んだのだ。グローバル発表直[…]