
ホンダは4月26日に開催したメディアや投資家向けイベント「2023ビジネスアップデート」にて、三部敏宏社長が事業の進捗や今後の取り組みへの説明を行った。その中では2輪の電動化についても触れられ、2024年にインド向けに2機種の電動コミューターを投入、さらにプラグイン式など交換式以外の電池方式にも目を向けることなどを明らかにした。
●文:ヤングマシン編集部(マツ)
ホンダの“電動スポーツバイク”はプラグイン式か
ホンダは4月26日に開催した「2023ビジネスアップデート」で、三部社長が今後の取り組みについての説明を行った。主な内容はカーボンニュートラルや電動化に伴うバッテリー領域の取り組みや他社との協業、不足している半導体の確保方法、今後注力すべき分野などについてのもので、全体的にはホンダが目指している方向に対し、その準備が整いつつあることを示すものだった。
主な内容は4輪だったが、2輪に関しても急拡大を続けるインドおよびインドネシア市場に注力し、日本でも近日発売予定の電動スクーター「EM1 e:」を日/欧に加え、インドネシアでも2023年中に発売。さらに2024年にインド市場に2機種の電動製品(シルエットからしてスクーターの模様)を投入すると明らかにした。
さらに電動2輪の充電方式に関して、現状のバッテリー交換式だけでなく、今後はプラグイン式など交換式以外の方法も検討していくと発表。交換式はどうしてもバッテリー容量が小さくなるため、“交換式以外”の充電方式とは2024〜25年の投入を目指し開発が進められている、より大型の電動2輪車を示唆したものと言っていいだろう。さらにZ世代向けにはコネクテッド仕様の拡大など、電動ならではの独自性ある二輪車を提供し、電動でも2輪トップメーカーの存在感を発揮していくとのこと。
ホンダは2022年9月に、現状10〜20万台程度の電動バイクを2026年に100万台、2030年には350万台レベルまで拡大すると発表。電動自転車や電動モペッドも含め、10モデル以上の電動モデルを2025年までに投入すると公表している。
電動化の“原資”を内燃機関で稼ぐ?
個人的に興味深かったのは、三部社長が会見の冒頭で、新分野の研究開発に必要な原資を「(2輪やハイブリッドを含む)内燃機関事業の体質強化で創出する」と語ったことだ。ホンダは2040年のEV/FCV率100%(4輪)、2050年のカーボンニュートラルを掲げているが、その過程においては内燃機関の必要性が逆にクローズアップされた形となる。
とはいえその内燃機関(ICE)も「各種規制が厳しさを増しており、新しいデバイスを投入しないと対応できないレベルに来ているICEは、環境対応コストがさらに上がっていくことは避けられない。現状ではまだコスト的にEVの方が高いものの、これからEVのコストが下がると…」と、三部社長も逆転の可能性を隠さない。
ホンダが難しい局面を迎えていることがひしひしと伝わってくるし、それに立ち向かう苦悩も相当なものだろうと察せられるが、ライダーにとってはホンダの動向が業界の動向。是が非でもいい方向に進んで欲しいと切望するものだが……。
世の中の流れというか動きに対し、いちバイク好き、クルマ好きの目線として、どうにもモヤモヤ感を拭い去れないのは筆者だけだろうか。「何とも難しい時代だな……」というのが率直な印象だ。
会見の冒頭では、ハイブリッドや2輪を含む内燃機関事業を体質強化し、そこで得た利益をカーボンニュートラル化を筆頭とする5つの課題に投資していくと発表。ブランドスローガンの「Power of Dreams」も再定義され「How we move you」の副文を追加することも発表された。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
パスを創造したヤマハとは異なる路線で自転車ライフを豊かに ところで何が新しいの? コネクテッド化によるメリットは? アシストユニットは、ギヤクランクにモーターの力を伝えるクランク合力タイプ。クランク軸[…]
ヤマハがホンダ製「ホンダモバイルパワーパックe:」を搭載した汎用プラットフォームコンセプトを展示 2023年3月15日~17日に開催される「第13回スマートグリッドEXPO 春」に、ホンダとヤマハがそ[…]
最高速度25km/h以下の“EB”に分類される3車 「Honda Cub e:(ホンダ・カブ・イー)」「Dax e:(ダックス・イー)」「ZOOMER e:(ズーマー・イー)」の3モデルが一気に発表さ[…]
エンジン車の中間排気量に相当。さらに増殖の可能性も? 当日はホンダ2輪事業の責任者である野村欣滋(のむら・よししげ)二輪事業本部長が登壇、2040年にホンダの全2輪製品のカーボンニュートラル実現を目指[…]
ホンダ二輪のカーボンニュートラルに向けた第一歩 今年の9月にホンダは「2025年までに全世界に10車種以上の電動二輪車を投入する」と発表したが、ホンダEM1 e:はその皮切りとなる電動スクーターで、同[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、20[…]
根強い人気のズーマー 2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフ[…]
グローバルサイトでは「e-アドレス」「アドレス125」と表記! スズキが新型バッテリーEV(BEV)スクーター「e-ACCESS(e-アクセス)」、新型スクーター「ACCESS(アクセス)」、バイオエ[…]
400ccクラス並みのスタートダッシュを誇るパワーユニット搭載 カワサキは、原付二種クラスに同社が初めて投入した公道走行可能な電動スポーツバイク「ニンジャe-1」およびネイキッド版「Z e-1」の20[…]
PEV600のおすすめポイントをご紹介 さて、本題に入る前に昨今の電動車事情について簡単に触れておきますね。 乗り物の電動化が徐々に加速していく中で、昨年夏には特定小型原付が新たな車両区分として加わり[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
新色はパールオーガニックグリーン アップマフラーに大型リヤキャリア、前後スポークホイール、スチール製フェンダー、そしてアンダーガードなど、アウトドアレジャーに対応した装備の数々を採用するCT125ハン[…]
ファイナルエディションは初代風カラーでSP=白×赤、STD=黒を展開 「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツ」を具現化し、本当に自分たちが乗りたいバイクをつくる――。そんな思いから発足した「プ[…]
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ! ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。 V3だけでも[…]
オールラウンドにFUNライドを楽しめる カラーはCB1000 HORNET (STDタイプ)が「パールグレアホワイト」。 より充実した装備を持つCB1000 HORNET SPに「マットバ[…]
1998年モデル:初代1300はとにかく巨大だった ヤマハXJR1200、カワサキZRX1100といった、CB1000SFを超える排気量のライバル出現で、ビッグネイキッド界は重厚長大化していった。そん[…]
人気記事ランキング(全体)
いざという時に役に立つ小ネタ「結束バンドの外し方」 こんにちは! DIY道楽テツです。今回はすっごい「小ネタ」ですが、知っていれば間違いなくアナタの人生で救いをもたらす(大げさ?)な豆知識でございます[…]
V3の全開サウンドを鈴鹿で聞きたいっ! ここ数年で最も興奮した。少なくともヤングマシン編集部はそうだった。ホンダが昨秋のミラノショーで発表した「電動過給機付きV型3気筒エンジン」である。 V3だけでも[…]
1978 ホンダCBX 誕生の背景 多気筒化によるエンジンの高出力化は、1960年代の世界GPでホンダが実証していた。多気筒化によりエンジンストロークをショートストトークにでき、さらに1気筒当たりの動[…]
ファイナルエディションは初代風カラーでSP=白×赤、STD=黒を展開 「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツ」を具現化し、本当に自分たちが乗りたいバイクをつくる――。そんな思いから発足した「プ[…]
ガソリン価格が過去最高値に迫るのに補助金は…… ガソリン代の高騰が止まりません。 全国平均ガソリン価格が1Lあたり170円以上になった場合に、1Lあたり5円を上限にして燃料元売り業者に補助金が支給され[…]
最新の投稿記事(全体)
オートレース宇部 Racing Teamの2025参戦体制 2月19日(水)、東京都のお台場にあるBMW Tokyo Bayにて、James Racing株式会社(本社:山口県宇部市/代表取締役社長:[…]
Schwabing(シュヴァービング)ジャケット クラシックなフォルムと先進的なデザインを合わせた、Heritageスタイルのジャケットです。袖にはインパクトのある伝統的なツインストライプ。肩と肘には[…]
新レプリカヘルメット「アライRX-7X NAKASUGA 4」が発売! 今シーズンもヤマハファクトリーから全日本ロードレース最高峰・JSBクラスより参戦し、通算12回の年間チャンピオンを獲得している絶[…]
小椋&チャントラの若手が昇格したアライヘルメット まずは国内メーカーということで、アライヘルメットから。 KTM陣営に加入、スズキ、ヤマハ、アプリリアに続く異なる4メーカーでの勝利を目指すマー[…]
王道ネイキッドは相変わらず人気! スズキにも参入を熱望したい 共通の775cc並列2気筒を用い、ストリートファイターのGSX-8S、フルカウルのGSX-8R、アドベンチャーのVストローム800系を展開[…]
- 1
- 2