並列とV型に大別できる4気筒
もっとも日本車らしいと言えるのが並列4気筒かもしれない。「欧州車に負けない高性能車を」と追求した結果に行きついたのがこのエンジン型式であり、まずは高回転高出力が持ち味。低回転域からスムーズでトルクもあり、回転上昇とともにパワーを増していき、“超”のつく高回転域ではレーシングマシンを思わせるサウンドとともに2次曲線的にパワーを絞り出していく。最高出力の領域を使うかはともかく、馴染みやすく扱いやすい。特に慣れ親しんだ日本人にとっては最もクセがなく感じられ、この点をもって“無個性”と揶揄されることも多かったが、海外から見れば「これこそが日本車の個性じゃないか!」と言われることもあるのが面白いところ。
並列4気筒の排気量分布は250cc~1400ccクラス。かつて存在した250cc4気筒の系譜はいったん途絶えていたが、2019年秋の東京モーターショーに登場したニンジャZX-25Rで劇的な復活を遂げたのも記憶に新しいところだろう。さらに、2023年2月1日にはニンジャZX-4RRまで登場している。
一方のV型4気筒は、並列4気筒に比べるとトルクがあってパワーも出しやすい一方で、サウンドは野太く、パルス感のあるものとなり、好みが分かれる部分にもなっている。ホンダ、ドゥカティ、アプリリアとも爆発間隔は異なるが、ざっくりいうと並列4気筒よりもトルクがあって吹け上がりも軽く、またハンドリングは軽快な傾向にある。
ヤマハYZF-R1系のクロスプレーン並列4気筒だけは少し例外で、上記の並列4気筒的な安定感とV4エンジン的なトルク特性(およびトラクション特性)を併せ持っている。
6気筒のシルキーなフィーリングは格別!
現在新車で買える6気筒のバイクは、ホンダのゴールドウイングと、BMWのK1600シリーズのみ。どちらもロングツーリングに適した旗艦モデルで、4気筒以上のウルトラスムーズな回転感覚と上質かつ鋭い吹け上がりが特徴だ。どちらもそれなりの車重があるため、トルクが太いようには感じないかもしれないが、巨大な車体をスルスルと推進していくエンジンには上品さすら感じる。BMWは並列6気筒を搭載し、高速域での鋭いピックアップも持ち味のひとつ。ゴールドウイングは比較的ゆったりめの速度でも気持ちいい。いずれも特別なバイクといえ、置き場所や用途など、所有するにはある程度の割り切りも必要だろう。
※本稿は2019年7月13日公開記事を再編集したものです。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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