中国製の自転車エンジン、取り付けにはブレーキの取り外しが必要だった…! スプロケット増設編〈自作モペット製作記 #4〉

バイクメンテナンス系YouTuber DIY道楽テツ氏がママチャリを改造し、バイクのDIYに挑戦する「自作モペット製作記」。第4回目はいよいよ本格的な改造に取り掛かる。まずはドリブンスプロケットの取り付けから。説明書によればポン付け、いわゆるボルトオンとのことだが、果たしてそんな簡単に付くのだろうか?


●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)

【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル)

目次

苦戦の予感しかしないよ!?「第二のスプロケット」を装着セヨ!

原付バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく、Amazonで「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買いしてしまいました。エンジン単体始動テストをして、実際に動くのを確認できたのが前回までのあらすじ。今回から本格的な作業に入ります。

原付バイクを自作できちゃうキットです

気分的にはね、まずはフレームにエンジン搭載! というド派手な作業から開始したいところですが、その前にやるべきことがあります。

それが後輪に「ドリブンスプロケット」を取り付ける作業。チェーンを通じてペダルの動力を後輪に伝える役割を持つ部品ですが、エンジンという第二の動力源を搭載するにあたって、新たにエンジン用のスプロケットを装着する必要があります。

ふと、ひとまとめにしちゃったほうが効率がいいのでは? と思ったのですが、すぐに間違いだと気づきました。もし仮にペダルのスプロケットと直結にした場合、アクセルを開けたらペダルがすごい勢いで回っちゃうわけですからね、それはあまりに危ない…!(汗) ということで、新たに別のスプロケットを増設する必要があるんです。

後輪の右側にはペダルに繋がるスプロケットが装着してあるため、反対の左側に増設。エンジンとペダルのスプロケットを別々に分けておけば、エンジンのパワーで走行中は坂を下るときと同じように走れるというスンポー。なるほど、これで納得です。

また、このドリブンスプロケットを先に取り付けないことにはエンジンの搭載位置を決めることができません。というのも、重要になってくるのが「チェーンライン」。後輪のどれくらいの位置にスプロケットが取り付くのかわからないと、エンジンの搭載位置を決めることができないわけです。ただでさえママチャリの細いフレームの隙間を縫うようにチェーンを通さねばなりません。この辺の調整はのちのちの課題になるかと思われます。

まずはスプロケットから!

最大の懸念ポイント「後輪ブレーキを外さないと載せられない!?」

それと忘れちゃいけない問題点がひとつ。このドリブンスプロケットの取り付けは、後輪ブレーキと引き換えになります!!

基本的にこの自作モペット用エンジンキットは、クロスバイクなどブレーキをフレームに取り付けるタイプの自転車を前提としています。しかし、今回ベースとするママチャリはハブに取り付けるバンドブレーキ仕様。したがって、同じくハブ部に取り付けるスプロケットを増設するためにはブレーキを取り外す必要があるんです。

これはママチャリにエンジン載せたい! と思った当初からわかっていた課題なのですが、こちらも後々、後輪ブレーキを新設しなければならないという作業が待っています。ちなみに、現段階ではどうするか考えてませんが、まぁ何とかなるでしょう(笑)

ブレーキと入れ替えにスプロケットが付きます

【難関その1】いきなり大苦戦→ブレーキドラムが外れない!!!

てことで、ドリブンスプロケットの取り付け作業の前に後輪をサクッと分解します。

このバンドブレーキを取り外すのですが…実はコレが大変。ブレーキ本体はねじを緩めれば簡単に外れますが、その中のドラムが異常なまでに固いのですよ!(外した経験がある方なら分かってくれるハズ)

もっとも、ココは新しい車体なら比較的簡単に外せます。しかし今回のように古い自転車になると特殊工具を使ってもそうそう外れるものではありません。プロの自転車屋さんでも嫌がられるポイントなので、苦戦するのはまぁ普通だと思います。

今回もかなり苦戦したのですが…それは今回の内容にはあまり関係なので省きます(笑)。かなりえげつない外し方をしましたが、興味ある方は記事末尾にあるリンクからYouTube動画のほうをご覧になってください~!

大苦戦。汗だくですが、なんとか外れました。

ドリブンスプロケットの取り付け開始! ボルトオンって本当?

お待たせしました。いよいよドリブンスプロケットの取り付け作業です。

どちゃっとひとまとめになっていた部品の分類から始まります。ボルトやらナットやらU字や平べったい金具などゴチャ混ぜだったのですが、説明書(英語)を頼りになんとか引っ張り出したのがコチラ。

思ったより大きいスプロケットとボルト/ナット/ワッシャーのセット。そして何やらゴムの円盤ふたつと湾曲した金属プレート三枚。なんかイメージよりも部品点数が多くない?

どうやらゴムのプレート二枚でスポークをサンドイッチして、その外側からプレートとスプロケットで挟んでボルトで締め付けて固定するらしい? ってとこまでは、説明書(英語)で何とか理解はできました。

ちなみに、説明書には日本語版も付属していたのですが、FAXで送られてきたものをさらにFFAXしたような潰れまくった白黒の写真なので、何が移っているのやらワケわからん状態。また、肝心の日本語もちょっと意味不明な文章なので、ぶっちゃけ写真が見やすい英語のほうがまだマシでした。

点数は妙に多いですが、部品構成自体はシンプルでした。

説明書がすでに難解という大陸クオリティ。写真はつぶれているし日本語も不思議な文体…。

スポークに挟むだけで大丈夫? 実は「ホンダカブF型」も同様でした

「おいおい、大丈夫なのかな?」と思ったのが、その「スポークに挟み込む」という構造について。

スポークですよ? 細いですよ?? 繊細ですよ??? それにゴムとはいえボルトで締め上げるなんて、ホイールの精度もナニもあったもんじゃないでしょ。とか思ったのですが、先日拝見した原動機付自転車のご先祖様、「ホンダカブF型」も似たような構造でした(笑)。

金属プレートで挟むという点ではやや違いますが、自転車にエンジンを後付けする、という点においてはこれが最適解なのでしょうと納得することにします。

この取り付け方法で大丈夫なの・・・?

ご先祖様も同じような作りだったので、これが最適解なのだと納得することにします。

取り付けるぜ、ドリブンスプロケット! 不器用なワタシにゃこれは難しい~!!

部品は揃った。取り付け方も(概ね)理解した。あとはひたすら作業するのみ! ってことで、取り付け作業に入ります。

まずはスポークをゴムの円盤で挟み込むわけですが、当然ながら内側にはそのままでは入らない。いきなりスポークを分解するのかい? と思いきや、どうやら「切る」そうです…。

そんじゃ、ハサミで…と思ったら、これが硬い、硬い…! そりゃまぁ、こんなハサミで簡単に切れるような強度だったらとてもじゃないけどドリブンスプロケットは固定できないのでしょうが、カッターも歯が立たず、ゴツい巨大ハサミも持ってないので、ウンウンと唸りながらなんとか切断しました。(できればこれは最初からカットしたものを入れて欲しい…と思うのは贅沢?)

なかなか切れない。強力なハサミが必要です。

切ったゴムプレートをスポークの内側に入れて、外側からもゴムプレートを重ねてみます。…かなりガタがあるので、最後の位置決めに苦戦しそうなだな~という予感を持ちつつも、内側には金属プレート、外側にいよいよ今回の主人公であるドリブンスプロケットを重ねてみます。

これ、写真だとサクサクッと作業出来るように見えてしまいますが、実際の作業はワチャワチャしてます(笑)。

まず、ゴムプレートが動くし、そこにもってきて金属プレートとスプロケットがあるわけですから、アチコチ好き放題動いてくれちゃいます。そして、もっと悪いことに内側にある部品たちはスポークの中にあるわけで、非常に手が入りづらい!!

ガチャガチャ、グラグラのなかでワッシャー入れて、スプリングワッシャー入れて、そしてナットを入れて締め込んでいくなんて、不器用なワタシにゃあまりに高度、あまりに難関な作業でした。

仮組みの時点ですら部品が不安定で、ナットを入れるだけでも大仕事です。

【難関その2】どこまで締めたらいいのかわからない無限地獄…そしてやっぱりスポーク曲がるぞ!

最終的にはドリブンスプロケットを下にして作業すれば比較的やりやすいことに気づいたものの、やっぱり複雑に絡み合うスポークの妨害工作(?)に遭い、何度ワッシャーを落としたか数知れず。もっとも、プロでもなんでもないのでゆっくりじっくり、焦らず作業すればいいのですけどね~。

そしてこのドリブンスプロケットは回転したときにブレがあると非常に具合が悪いので(最悪チェーンが外れる)、できるだけセンターに、しかも斜めにならないように様子を見ながら均等にボルトとナットを締めていきます。

に、してもだ。これってどこまで締めればいいのでしょうか??

なにせブ厚いゴムプレートが入っているので、どこまでも締められちゃいそうなのです。だったら全力で、締められるだけ…と思いきや、今度はスポークが曲がってきました。

緩いとドリブンスプロケットが外れたり固定位置からズレそうだし、かといって締めすぎるとスポークが歪んでホイール自体のブレが出るか、最悪ダメージを与えるかもしれない!?

加減がわからず締め→緩め→締めを繰り返して、できた! と思ったら今度はスプロケットがセンターから大いにズレているという(涙)。

その存在を恨みたくなるほど、スポークが邪魔で作業が進まない…。

どこまでもどこまでも締まります??? その代わりに、面白いようにスポークが曲がる。

大いに苦戦。だけどもやり遂げました、スプロケット取り付け完了!

ボルトオンと言いつつも、今回の作業はほぼ半日。ブレーキのドラム外しに1時間、スプロケット取り付けに2時間といったところでしょうか。何はともあれ、恐らくはこれで大丈夫かな? といったところでほぼセンターに取り付けることができました!!

後輪を取り付けて回転させてみると、意外と上下左右ともブレなく回ります。スポークが曲がった分ホイールのブレも気になるところでしたが、そちらへの影響もゼロではないにせよ、許容範囲に収まってくれました。

あくまで汎用品ということで、取り付けて実際に走った時に、どれくらいの精度で、どれくらいのスパンで増し締めをすればいいのか、また、耐久性がどれくらいかはまだ未知数ではありますが、何はともあれ、今はドリブンスプロケットが無事取り付けられてホッと一息つけました~。

というわけで、次回からいよいよフレームにエンジンを搭載する作業の開始です! 今回もご視聴ありがとうございました~!!

何とか取り付け完了!!

ブレもなく回ってくれました! いつ緩むか判らないけど…。

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動画解説はこちら↓

(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪


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