佐藤“ことぶき”寿宏のレース通信

決勝は一週間後! 3年振りの鈴鹿8耐はどこが制するか!?

2022年8月4日~7日に開催される“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会。コロナ禍以前だった2019年大会から3年ぶりの開催だ。


●文/写真:佐藤寿宏

最強を誇っていたホンダ、8年振りの優勝なるか

さーって、いよいよ3年振りの鈴鹿8耐が迫ってきました。ここまで6月9日、10日、7月5日、6日と、それぞれ2日間のテストが行われました。以前ならメーカー占有でテストを行っていましたが、今年は、レースウイークの火曜と水曜に合同テストが組み込まれ、長いながーい8耐ウイークとなります。

2回のテストを終えて、やはり速かったのはワークスチームでした。トップタイムを出したのが、Team HRCの長島哲太で2分06秒232。ロングラン中に出したタイムであり、2分06秒台を数周記録。他も2分07秒台というハイペースでラップを刻んでいました。昨年からHRCの開発ライダーを務めている長島は、鈴鹿8耐仕様のCBR1000RR-Rを鈴鹿でコツコツと仕上げて来ました。昨年はオーリンズでしたが、今年からショーワとなり、サスペンション部分では、ふりだしに戻る部分もあったものの、安定した速さを発揮しています。

若いスタッフも多いHRC。ライダーラインナップも3年という歳月を感じさせる。Honda CBR1000RR-Rにとっても初めての鈴鹿8耐となる。

6月のテストのときには、ロングラン中にボクがS字のアウト側からイン側に移動して写真を撮っていたのを走りながら確認していたというからビックリ! それだけ余裕のあるマシンとなっている証拠ですし、耐久レースには、ピッタリの仕様に仕上がっているようです。高橋巧は、海外のレースを戦うようになり3年目。マシンとタイヤが変わり慣れるまで時間がかかるとは、言っていましたが、そこは鈴鹿最速男。すぐに対応してハイアベレージを刻んでいました。そして3人目に選ばれたイケル・レクオナは、まだ22歳。MotoGPを2シーズン戦い、今年からスーパーバイク世界選手権(SBK)を走っていますが、強豪ぞろいのSBKでも速さを見せているだけに、走るたびに速くなっていました。

今年は、マシン開発からチームを牽引する存在になっているのが長島。3年前はMoto2を走っていましたが、HRCのライダー候補になっていました。結局、オーディションで選ばれず、au・テルル SAG RTから出場。スタート直前のウォームアップ走行で転倒してしまい悔しい思い出しかありませんでした。そんな思いも今回の鈴鹿8耐にぶつけたいところでしょう。

今まではチームを引っ張る立場で参戦していた高橋は「少しでも長島の負担を減らしたい」と経験者ならではの思いやり。レクオナは、初めての8耐となるがレースウイークで、どこまでアベレージタイムを上げられるかが課題でしょう。かつて最強を誇っていたHondaが8年ぶりに勝利を飾ることができるでしょうか。

優勝経験者3名を揃えるカワサキ

そして前回、2019年の覇者であるKawasaki Racing Team Suzuka 8Hは現状で考え得る最強のメンバーで臨んできました。SBK現役レジェンドのジョナサン・レイを中心にアレックス・ロウズ、レオン・ハスラムというイギリス人トリオ。それぞれ優勝したことがあり速いだけに、経験値でもスピードでも最高のチームと言えるでしょう。5月下旬にロウズとハスラムがテストを行い、6月のテストはハスラムが一人でひたすら走りデータを取っていました。そして7月のテストでレイとロウズが仕上げるという流れでした。少し気になるのは、最高速がHondaに対して10km/hほど劣っていること。Hondaが速いとも言えますが、燃費的に厳しいため、かなり絞っている状態かもしれませんね。

7月のテスト2日目には記者会見を行ったKawasaki Racing Team Suzuka 8H。「優勝したことは過去のこと。何があるか分からないのがレース」と語り、もはや死角はない。

ワークス2チームだけじゃないぞ!

ワークスの2チームが速いのは当然といえば当然ですが、これに肉薄したのがYAMAHA YART YAMAHA EWC Official Team(YART)でした。ニッコロ・カネパ、マービン・フリッツ、カレル・ハニカというスプリントでも速いライダーたちは、2分06秒台を記録。ワークス参戦していなヤマハは、技術とチーム運営サポートを行いYARTとしてもヤマハトップチームとしてEWCレギュラー最上位、そして表彰台を狙います。まぁ、できればYAMAHA FACTORY RACING TEAMも参加して欲しかったですよね。ロッシ/トプラック/中須賀組なんて、見てみたかったですよね。

ヤマハのトップチームとして表彰台を目指すYART。ランデブーしながらハイペースで周回。EWCのレギュラーチームは、こうしてチームメイト同士で走る場面が多く見られた。

そして、チャンピオンチームとして凱旋するYoshimura SERT Motulは、渡辺一樹を中心にシルバン・ギュントーリ、ザビエル・シメオンで2連覇に向けてリードを広げたいところです。15ポイント差で追うF.C.C. TSR Honda Franceは、ヨシムラの前でゴールすることを掲げています。

7月のテストは、今ひとつの手応えだったという渡辺一樹。レースウイークで、何とかまとめて周りの期待に応えたいところだ。

他にもAstemo Honda Dream SI Racing、SDG Honda Racing、Team ATJ with 日本郵便、Honda Dream RT桜井ホンダ、S-PULSE DREAM RACING・ITEC、TOHO Racing辺りが、上位に食い込んできそうです。

伊藤真一監督率いるAstemo Honda Dream SI Racingは、チームとしては初の鈴鹿8耐となるが、スタッフはベテランばかり。3人のアベレージタイムが速いところが強みだ。

SSTクラスでは、NCXX RACING with RIDERS CLUBが速いですが、TONE RT SYNCEDGE4413BMW、Kawasaki Plaza Racing Teamなども虎視眈々とクラス優勝を狙っています。

コロナ禍と渡航費用の高騰もありEWCのレギュラーチームが少ないのが残念なところですが、開催に尽力された皆さんには感謝しかありません。さぁ、3年振りの鈴鹿8耐を楽しみましょう!


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