モリワキGB350鉄馬プロジェクトレポート#2【ワンメイクレースに向け、人車ともに進化】

モリワキGB350鉄馬プロジェクトレポート

HSR九州のイベントレース「鉄馬(てつうま)」にて、GB350のワンメイクレースが開催された。そこに日本屈指のレーシングコンストラクターであるモリワキエンジニアリングが、一般公募ライダーで参戦。本記事では、そのレースの模様をお届けする前に、4月に行われた鈴鹿ツインサーキットの走行会=ピレリファントラックデイにて、ライダーに選ばれた金子美寿々さんが行なった練習走行の模様を振り返る。


●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:モリワキエンジニアリング

【一般公募ライダー:金子美寿々さん】5〜12歳までポケバイやミニバイクレースに参戦し、プロライダーを目指したものの、諸事情で夢を断念。16年を経て復帰し、HRCグロムカップに参戦。熱い夢がモリワキに認められた!

GBワンメイクの本番へ向け、着々と準備が進む

モリワキが手がけたGB350レーサーは、一見するとカフェレーサー風カスタム車の域を出ないが、じつは大幅に進化。その最たる部分が、フロント17インチ化だ。3月のサーキット初テストでは、GB350プロジェクトのリーダーで国際ライダーでもある森脇尚護氏が19インチの状態で走行し、予想外の好感触だったという。しかしながら、19インチでは装着できるハイグリップのラジアルタイヤが存在しない。17インチ化はタイヤの選択肢を得るための必然というわけだ。

鈴鹿ツインで2回目の練習走行となる金子さんも、「前輪が手元にある感触で乗りやすい」と、1本目の走行から良いフィーリングを得たようだ。

しかし今回のプロジェクトは、単純にモリワキが製作したレーシングマシンを貸与するというモノではなく、「モリワキレーサーになる夢を叶える」がコンセプト。モリワキがファクトリー体制でライダーをサポートするのだ。

「たとえばコーナーに入ってから腰をズラすのはダメで、進入前のブレーキングまでに準備しておく必要があります。金子さんが筑波1000で走る動画を見たら、きちんとできている。だけど、鈴鹿ツインではできていない。初めて走るコースや慣れていないコースでは、自分で明確に意識しないとできないんです。HSR九州も金子さんは初めてですから、意識することをアドバイスしています」と尚護氏。このように、プロが走りのクセをしっかり観察し、データロガーで分析。それを走りの向上につながるようライダーに伝える。まさに夢のような体験だろう!

【2度目の鈴鹿ツインでタイムも着々と向上!】初めてのGBレーサー走行時は、ミニバイクと異なる大きさや重さに馴染めず、3回も転倒した金子さん。2度目の走行は「バイクと友達になろう!」を目標に、森脇尚護氏から受けた数々のレクチャーを試しつつ走りを修正。フロント17インチ化も好感触で、初回よりタイムを3秒以上短縮。レースまでGBレーサーでの走行は残り2回、さらに上を目指す!

【データロガーですべて解析!】モリワキではモータースポーツ用データロガー「Drogger」を、HRCグロムに装着できるキットとして販売中。そのDroggerをGBレーサーに装備し、マフラー開発の空燃比(A/F)計測と、金子さんの走り解析に活用している。●価格:4万2614円

スロットル開度や車速などを、GPSで測位した走行ラインと合わせてスマホで確認。走行中はラップタイマーとして機能。

【気分はワークスライダー!? 手厚すぎるサポート体制】練習走行は、モリワキの敏腕メカニックと、GBプロジェクトのリーダーを務める副社長の森脇尚護氏が帯同。マシンのチェックやセットアップはもちろん、走行ごとに尚護氏の目視やデータロガーで走りを分析し、金子さんのクセや修正点を丁寧にアドバイス。抽象的でなくきわめて具体的なレクチャーは理解しやすく、ライダーである金子さんもギヤ選択や開けるポイントなど疑問をぶつける。確実に走りが向上するさまは、まさにワークス体制だ。

鉄馬に向け熟成進むモリワキGBレーサー

セパレートハンドル/バックステップ/シングルシートでカフェレーサーイメージが際立つモリワキGBだが、17インチ化やハイグリップタイヤなど装備は最新。モリワキカラーのナイトロン製リヤショックは、セットアップできしだいコラボモデルとして販売される予定。ISAのスプロケット(STDおよび前後のT数を用意)はすでに販売中と、プロジェクト協賛メーカーからもGB350用パーツが続々登場!

【ラジアルを履く17インチ】ホンダ他機種用ホイールにフローティングディスク(ノーマルはソリッド)をセット。キャリパーはSTD。タイヤはピレリのディアブロ・スーパーコルサSC(SC1)を装着。F:110/70-17/R:140/70-17で、後輪はGB350SのSTDより1サイズ細い。

【公道用も熱望!のモリワキモナカ】フルエキゾーストのモリワキモナカは、バンク角を稼ぐためにエキゾーストパイプを車体センターにレイアウトしたレース用。ステップも、バンク角の確保と金子さんの体格に合わせるためのレース用プロトタイプだ。

セパレートハンドルに無段階でアジャスト可能なレバーをセット。トップブリッジはMORIWAKIロゴ入りのアルミ削り出しで、市販化も検討中とのこと。

ノーマルのシートベースを用い、FRPで製作したシングルシート。シートカウル後部にはDroggerでラインやタイム計測するためのGPSレシーバーを装着。

【取材協力:ピレリ ファントラックデイ】ピレリジャパンが開催する一般ライダー向けのサーキット走行会。’22年は今回の鈴鹿ツインを皮切りに、袖ケ浦フォレストレースウェイやHSR九州で開催。プロカメラマンによる走行撮影や美味しいランチなど、一日中サーキットを楽しめる!

プロライダー鈴木大五郎氏が講師を務める、街乗りやツーリングが楽しくなる「やさしいバイクレッスン」も同時開催される。https://pmfansite.com/pirelli/


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