モリワキGB350鉄馬プロジェクトレポート#1【一般公募のライダーでワンメイクレースに参戦】

モリワキGB350鉄馬プロジェクト

「モリワキレーシングライダーになりたい」 というライダーの夢を実現する「GB350鉄馬プロジェクト」。’22年元日にWEBヤングマシンにて一般公募を告知して以降、関係各位の熱意と努力により、ついに5月1日に行われたレース「鉄馬」に参戦を果たすことと相成った。その詳細をお届けする前に、このプロジェクトのそもそもの成り立ちや、初期開発テストの模様を振り返りたい。


●文/まとめ:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●CG:SRD ●写真/取材協力:モリワキエンジニアリング

応援してくれたファンへ、モリワキからの恩返し

モリワキエンジニアリングは、鈴鹿8時間耐久や全日本選手権に参戦し、数多くのプロフェッショナルライダーを輩出した日本屈指のレーシングコンストラクター。かつてはオリジナルフレームでモトGPに参戦するなど、我々ライダーに多くの夢を与えてくれた。’23年で50周年を迎えるモリワキは、「長くレース活動を続けてこられたのは、ファンが支えてくれたから」と言う。夢を原動力に数々のレースに挑んできたモリワキが、支えてきてくれたファンに恩返しをしたい。それがこの「GB350鉄馬プロジェクト」だ。

「鉄馬」とは、HSR九州で開催される、鉄フレーム車によるイベントレース。モリワキは’20年からZ900RSで参戦しているが、これもファンやユーザーとの交流を目的としている。

【Z900RS MORIWAKI改】HSR九州で開催される鉄フレームバイクのレース・鉄馬に、モリワキは’20年からZ900RS MORIWASKI改で参戦している。足まわりのセットアップも、大きな振り幅で変化を楽しみながら走りを追求。このノウハウがGB350プロジェクトにも受け継がれる。

そんな折に、2輪レースの門戸拡大を目的とするGB350ワンメイクレース開催の連絡が鉄馬関係者から届き、参戦依頼を快諾したモリワキ。しかし、Z900RSでライダーを務める森脇尚護副社長は、鈴鹿8耐で総合3位の経歴も持つ国際ライセンスライダーで、入門クラスのレースには参戦できない。そこで社内から出たアイデアが”ライダーの一般公募”だった。「モリワキのレーシングライダーになりたい」という夢を叶えるプロジェクト。かつて、こんな途方もないファンサービスが存在しただろうか。

【モリワキエンジニアリング森脇護社長:仰天企画も名伯楽は大賛成】ライダーを”一般公募”してレース参戦という突拍子もないアイデアには、社員も驚愕。しかし森脇護社長は、「鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしとるぞ! おもしろいやないか!!」と大賛成。”夢”を原動力に数々のレースに挑戦し続けてきた、モリワキならではの大英断だ。

そして、モリワキが参戦するからには、入門レースとはいえ自社開発の本格マシンを用意する。開発ライダーを務めるのは、このプロジェクトのリーダーでもある尚護副社長だ。

「GB350は、パーツ開発などですでに公道で乗っています。空冷単気筒はマイルドなのにパンチがある、っていう感じでしょうか。街乗りでは扱いやすいエンジンですよね。でもサーキットではどうなんだろう? 実は19インチ初体験なので(笑)、少し不安もあったのですが、これが違和感なく気持ちよく走れるんです!」と、サーキット初テストは好感触だった。

「鉄馬に向けてマシンをしっかり仕上げることが目標ですが、このプロジェクトで開発するパーツやマシンのスタイルが、今後のGBカスタムの方向性のひとつになったらいいな、と思います」 これはGBユーザーにとって吉報ではないだろうか。

【初テストは鈴鹿。急ピッチの開発進行】プロトタイプのセパレートハンドル/ステップキット/マフラー(もちろん“モナカ”)などを装備した状態で初テスト。マフラーや車体の接地確認なども行った。レーサーとしては異質の“前輪19インチ”にもかかわらず違和感なく走れ、まずは好感触。

【モリワキエンジニアリング・森脇尚護副社長】「モリワキはトリプルツリーやスイングアームといった操安系のパーツをはじめ、サーキットという最高の実験場でテストしてレースに投入し、ストリート製品にも反映してきました。これは社長がモリワキを創業した当時のZ1レーサーの頃から変わりなく、CBR1000RRのようなスーパースポーツはもちろん、Z900RSやGB350にも引き継がれています。独創的なモノ作りは夢があって楽しいじゃないですか。GBは今後、様々な方向性のカスタムが登場すると思いますが、その選択肢のひとつに、サーキット走行やレースがあってもいいですよね。ベースに魅力があるんですから!」

そして、本年元日にWEBヤングマシンに掲載された一般公募告知を経て、ライダーは東京都の金子美寿々さんに決定した。 次回#2では、金子さんのモリワキやレースへの思い、テストライディングの模様をお届けする。

【選ばれたライダーは3児のお母さん】’22年の元旦にWEBヤングマシンで告知した「モリワキレーシングライダー・一般公募」で、多くの応募者の中から厳選な書類選考とWEB面接を経て選ばれたのは、東京都在住の主婦・金子美寿々さん。バイクへの熱い想いや取り組みに、モリワキ側が強く心打たれた結果だ。


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