
●まとめ:ヤングマシン編集部(高橋剛) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:ホンダモーターサイクルジャパン

【’22 HONDA CBR400R】■全長2080 全幅760 全高1145 軸距1410 シート高785(各mm) 車重192kg ■水冷4スト直列2気筒DOHC4バルブ399cc 最高出力46ps/9000rpm 最大トルク3.9kg -m/7500rpm 6段リターン 燃料タンク容量17L ■タイヤサイズF=120/70ZR17M/C R=160/60ZR17M/C ●色:マットジーンズブルーメタリック グランプリレッド マットバリスティックブラックメタリック ●価格:84万1500円 [写真タップで拡大]

【ライディングポジション】ハンドルまでの距離があるので、ちょっと大きめのバイクにまたがっている感覚。広々としていて快適だ。スポーティな走りをすると挟みやすいタンク形状がしっくりくる。両足のつま先が着くので足着き性も安心。 [写真タップで拡大]
扱いやすさはそのままにスポーティさが大幅アップ
交差点をひとつ曲がっただけで分かりました。’21年末に登場した新型CBR400R、かなりスポーティーです!
交差点を曲がる時は、バイクをほどんと寝かせませんが、それでも接地感の高さとクルッと回ってくれる軽快感が感じられます。
ワインディングはもう水を得た魚という感じで、走りが楽しい! CBR250RRのような”トガったリアルレーシングパフォーマンス”という感じではありません。基本キャラクターはあくまでも街乗り対応のマイルドさと扱いやすさで、そこにいいバランスでスポーツ要素が盛り込まれている、という印象ですね。
新型はフロントフォークが倒立式のショーワ製SFF‐BP(セパレートファンクションフロントフォークビッグピストン)になっていますが、その効果はかなり大きそう。
正直、街乗りレベルでSFF‐BP本来のパフォーマンスを引き出し切れるとは思いませんが、「スポーティー!」と感じさせてくれる大きな要因であることは間違いありません。

【乗り手の操作にナチュラルに反応してくれる】公道レベルのスポーツライディングにはちょうどいい機敏さを備えているCBR400R。バイクとのキャッチボールを楽しみながら、ニュートラルなハンドリングを味わうのがベスト! [写真タップで拡大]
そして自分が特に注目したのは、ブレーキなんです。CBR400Rのフロントブレーキはダブルディスク&ラジアルマウントキャリパーになったんですが、このセットがものすごくコントローラブル! これがハンドリングをかなり楽しいものにしてくれているぞ、と思いました。
フロントブレーキって、バイクの挙動にかなり大きく影響する重要パーツなんですよね。しっかりと制動してくれることは基本中の基本ですが、コントローラブルであることが相当大事。
フロントブレーキレバーを握り始めた瞬間のタッチが柔らかいと車体の挙動は安定するし、そこから握り込んでいった時に握った分だけ効力を増してくれると、ライダーは望むだけの接地感が得られるんです。
CBR400Rのブレーキは、まさにそういうコントローラブルさ。しかも剛性感の増したSFF‐BPとの組み合わせで、安心感も高いんです。公道のワインディングを走るぶんには、何の不足も不満も感じませんでした。
車体をほとんど寝かさない交差点から、ある程度車体を寝かせながらコーナーを駆け抜ける峠道まで、同じような接地感と安心感を感じながら走ることができるCBR400R。文字通りに”ストリートからワインディングまで”幅広く楽しめる1台です。
自分はバイクで走っている時、この乗り物と会話しているような気分でいます。実際に言葉を交わすわけじゃありませんが、こちらの操作に対するバイクの反応って、会話のように感じるんですよね。
バイクによっては、こちらの働きかけにあまり応えてくれずそっけなかったり、逆に反応しすぎて大騒ぎだったり(笑)、いろんなキャラクターがあります。そういう意味で、CBR400Rはすごく素直。乗り手とバイクが親しげに会話してる感じで、距離が近いんです。
昔から仲のいい親友との会話って、何の引っかかりもなくてひたすら楽しいですよね? ああいう感じ。気兼ねなく付き合えて、ただただ気持ちいい時間を過ごすことができます。
気持ちよさで言えば、エキゾーストノートもかなり作り込まれてますね。低回転域では、単気筒に似た歯切れのよさ。いかにも「単車!」という感じがして、自分は好きです。そしてエンジン回転が上昇していくにつれ、トルク感のあるサウンドに。音質が太く、音域が幅広くなっていきます。
この音色の変化も、すごく楽しいんですよね。表現は難しいし、自分だけの感覚かもしれませんが、CBR400Rのエキゾーストノートは機械音や電子音ではなく、”バイクの音”なんです。
シフトアップの時、スロットルを戻すと一瞬だけ音が途切れ、次の瞬間には歯切れのいい低音が響く。そしてシフトダウンの時は、回転数とともにエンジン音も跳ね上がりますが、悲鳴ではなく、「バイクってこうだよね」と感じさせてくれる”エンジンらしい音”がします。
…我ながら、つい熱く語ってしまいました(笑)。CBR400Rが”バイクらしいバイク”を目指して作り込まれていることが分かるポイントなので、力が入りますね…。
運動性能は間違いなく高まっているCBR400Rですが、レーシングマシンではなく、あくまでもバイク。フルカウルをまとっていても、”単車好き”のマインドをくすぐってくれる絶妙なバランスだと自分は思います。
SHIZU’s評価
- スタイリング:どこからどう見てもCBRというスポーティさ。エアロダイナミクスを考慮したフルカウルがすごくクールです。
- スポーツ性:レーシング、というよりはカジュアルスポーツという感じ。公道のペースで意のままになる操縦感覚を楽しめます。
- ツーリング:走ることがすごく楽しいので、ツーリングにワインディングを組み込むといったプラスアルファをしたくなります。
- 街乗り:低回転域からトルクのあるエンジンで、発進停止も苦になりません。こちらの操作によく反応してくれるからラク!
- コストパフォーマンス:従来モデル比で約3万円アップですが、フロントまわりを中心としたアップグレードの満足度はとても高いですよ!
※本記事は”ヤングマシン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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