
ハーレーカスタムのスペシャリスト・サンダンス(東京都世田谷区)が技術の粋を集めた究極のスポーツスターが「スーパーXR1200-5」だ。’95年の正式発表以来、進化と熟成を繰り返し、その性能の高さと唯一無二の機能美でファンを魅了し続ける。そんな車両を『ウィズハーレー』誌の青木タカオ編集長が走らせてきた。その乗り味を報告する。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:磯部孝夫 ●外部リンク:サンダンスエンタープライズ
6000回転を超えても淀みなくパワーを発揮!
手足のごとく、思い通りに操れる。重いはずのスポーツスターがこんなにも軽快だなんて、何度乗っても驚きを隠せない。ベース車両はフロントに21インチホイールを履く1200カスタムというから、これもまたびっくり。しかしその変貌ぶりも、車体を隅々まで見ていけば納得できる。ほとんどのパーツが、サンダンス製に換装されているのだ。
それでいながら、ハーレーらしさ、スポーツスターらしさをまったく損なっていない。その姿は誰が見てもハーレーであり、スポーツスター系であることがわかり、違和感がどこにもない。
これはつくり手のこだわるところで、ハーレーありきのスタイルづくりに徹した結果だ。車体色はXR1000の’83年式初期型と、その後に発売したデイトナ勝利記念カラーの黒×赤をミックスしたオリジナル。純正そのままと言われても、疑いようのない”らしさ”である。
XR1000がそうであるように、前後シリンダーとも前方排気/後方吸気としたことで、車体の右側にキャブレターとエアクリーナーが張り出している。しかし、内ももに存在を感じるのは足を地面に出したときだけで、走行中は気にならないことも付け加えておきたい。
こだわるのはハーレーらしいスタイルだけでなく、エンジンフィーリングもまたしかり。サンダンスの”ZAK”柴崎代表はこう考える。
「スポーツスターにドゥカティのエンジンを載せれば、それはドゥカティのカスタムになります。逆にドゥカティのフレームにスポーツスターのエンジンを載せれば、それはハーレーと言えるでしょう。つまり、エンジンがそのオートバイのキャラクターを決定づけます。ハーレーはエンジンが魅力であり、その良さをより色濃くしたいんです」
’94年にプロトタイプをつくって以来、スポーツスター系だけで100台以上を世に送り出したスーパーXRだが、今回の仕様はその最新作に限りなく近い。
近年のモデルでは、ガソリンのオクタン価が下がったことから11:1だった圧縮比を9.5~9.8にアジャストしている。圧縮を適正にすることで、エンジン出力120馬力/後軸100馬力のハイパワーを維持しつつ、街乗りで多用する低中速トルクもじつに力強い。スロットルワークに従順で、決して乱暴ではない。ライダーが求めた分だけ出力を引き出してくれるから、冒頭で述べたように手足のごとくコントロールできるのだ。トルクは分厚く2000回転も回せばシフトアップでき、6000回転を超えても淀みなく回って強烈に加速していく。
あえて言いたいのは、120馬力が限界ギリギリではなく、公道で長く乗ってトラブルが起きないよう余裕を持った数値であることだ。その証拠に100台の中にはサーキットでのみ使用する車両もあり、その最高出力は160馬力をゆうに超す。公道仕様では街乗りからツーリングまで快適に使え、さらに燃費に優れることまでも考え尽くされている。
ZAK柴崎氏は「ただ速いマシンをつくるのは簡単」だと言う。筆者はスーパーXRにはこれまで何度も試乗したが、共通して言えることは、味わい深さ、そして面白みがある。
「安心と安全はもちろん、飽きのない楽しさを具現化できるよう、これまで40年間やってきました」と言うZAK柴崎氏の言葉には、極めて大きい説得力がある。
サンダンス製のパーツで組み上がったスーパーXR1200。3500回転以下では従順かつトルクフルに、そしてその回転域を超えると、図太いトルク感はそのままに鋭いレスポンスを発揮する。 [写真タップで拡大]
足まわりはフロント19インチ/リヤ18インチ。70年代のバナナキャリパーを彷彿とさせるミニバナナキャリパーは、最高級のシンタードメタルパッドの採用などで、他を圧倒する最高の制動力とコントローラブルな特性をボルトオンで発揮。 [写真タップで拡大]
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