
BMWの「Kナナゴー(K75S)」が『モトメカニック』編集部ガレージの仲間に加わったのは、’20年の年末。実は、ぼくの手元へ来る数日前に継続車検を取得していた。当然ながら購入直後にぼくの名義に変更しましたが、まだ一度たりともナンバーを取り付けていない。雑誌の記事ネタとしてレストアを始める前に、やっぱりまずはキレイにしないとね〜♪
●文:モトメカニック編集部(田口勝己) ●写真:栗田晃 ●外部リンク:EZプラストジャパン
コンディション良好のK75Sを入手
1985年当時、西ドイツのBMWは、主力モデルをボクサーツインから水冷直4のK100シリーズへとバトンタッチしようと考えた。ところが各方面から否定され(!?)、その後のモデル戦略を変更せざるを得なかった…。
’90年代にすでに不人気車扱いされていたK100を走らせる機会を得てから、同モデルの歴史を改めて振り返ったときに、そのような出来事があったことを知った。
ボクサーツインを愛し続けてきたファンにとって、メーカー自身から”ボクサー愛”を否定されたかのようで、それは残念なことだったに違いない。今現在のBMWモトラッドのラインナップを見ても理解できるが、当時の出来事が影響しているのは明らかだろう。ぼく個人的には、ボクサーツインも個性的で楽しいが、似た感じの縦置きエンジンモデルで比べるのなら、より一層個性が強い’70〜’80年代の空冷モトグッツィの方が、どちらかと言えば好みである。
さてさて、そんな経緯があって購入したK75Sだが、そのコンディションは決して悪くなく、走行距離は3万5000キロ程度で、まだまだナラシ段階のようなもの。ロングツーリングなど走りに徹したBMWライダーに話を聞くと、この年式なら10万km以上走っていても不思議ではないらしい。
たしかに、K100系の中古車を探していたときは、走行7~8万キロ、時には10万キロ以上走っているものも決して珍しくなかった。個人的な印象としては、仮にエンジン自体はタフで長持ちしても、車体関連部品がその走行距離に追い付くことができないはず。だからこそ、足まわり部品やその他の外装部品に目立ったダメージがあるのは後々の仕上げが大変。目立った転倒痕や欠品部品のない車両を探そうと思っていた。
油汚れやアルミ部品のサビ落としに最適なEZブラスト
そういった意味でも、このK75Sはかなり程度が良かった。走行距離はたいしたことなく、目立った欠品部品もない。しかし細部を覗き込むと、油汚れやアルミ部品の腐食が目立つ。ここはこのような汚れ落としに最適なウエットブラスト「EZブラスト」に頼るのが一番。そう考え、同商品の開発現場へ連絡。実践テストを行う形でBMWの車体を持ち込み、EZブラストを特別に使うことができた。本当に助かりました~♪ 重曹由来のメディアなので、作業後は普通にお湯を流し洗浄すれば良い。お湯がメディアを溶かしてガス化するのだ。
クランクケース/ミッションギヤボックス/スイングアーム/インジェクションユニット周辺をEZプラストで徹底的にクリーニングした。ビフォー/アフターの違いは写真以上に現物を肉眼で見た方がわかりやすい。フレームペイントのダメージ部分はタッチアップで補修クリーニングしようと思う。ヘッドカバー/クランクカバー/フロントカバーなどはすべて取り外して、ガンコートペイントで仕上げようと思う。 [写真タップで拡大]
そしてEZブラストを実践した数日後(正確には3日後)に、自動車鈑金業を営むバイク仲間の工房を訪ね、自動車ボディ/足まわり/床下をクリーニングするための高温高圧スチーム洗浄機をお借りして、EZブラスト後のBMWを徹底的に洗浄した。さらに帰宅後、徹底的なエアーブローと天日干しを数時間行った。今後しばらくはこの裸姿が続くので、頻繁に車体を干して各部を徹底的に乾燥させてから、各部の整備に着手しようと思ってます。
強烈な勢いで高温のお湯を噴射するため、重曹由来のメディアはもちろん、油汚れもあっと言う間に洗浄してくれる。裸にしたK75Sは、アルミ鋳物のクランクケース/スイングアーム/デフなどの部品が目立つ。だからこそEZプラストとスチーム洗浄の組み合わせで、圧倒的な汚れ落としを考えたのだ。このやり方+エアーブロー+完全乾燥後に通電すれば、トラブルは起こらないと判断した。 [写真タップで拡大]
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