KTM 250/390アドベンチャー試乗比較【ディテール編|取り回し軽快な単気筒マシン】

1290/890/390/250と4種類の排気量をラインナップしているKTMアドベンチャーシリーズ。今回は普通二輪免許で乗ることができる390と250の2台を、オフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』の編集長オガPと副編集長コイが乗り換えつつ林道ツーリング敢行。その2台の紹介とインプレッションを前後編で紹介するゾ!!


●まとめ:ゴー・ライド編集部(小川浩康) ●写真:長谷川徹

デュークシリーズをベースにオフロード走破性能を高めた2台

ダカールラリーで前人未到の18連覇を達成するなど、’53年のバイク生産開始以来、オフロードメーカーとして活動してきたKTM。’90年代後半からはロードモデルもラインナップし、最近ではモトGPでも大活躍している。

そうしたレース活動を大きな軸とし、”READY TO RACE”を標榜するKTMのマシン作りは、レースで得たノウハウが惜しみなく注ぎ込まれた、まさに買ってすぐにレース参戦できるほどの高い戦闘力が大きな特徴。またその一方で、そうした走りの良さは損なわないまま、一般公道での扱いやすさも身につけたストリートリーガルモデルの開発にも最近は力を入れている。

今回試乗した「アドベンチャー」シリーズは、ダカールラリーマシンをベースに開発されたオフロードツアラーをルーツに持つが、より厳格化された法規制に適合させるために最新テクノロジーが盛り込まれ、最新のダカールラリーマシンとは異なる進化を遂げている。1290/890アドベンチャーは高速巡航性能も考慮し2気筒エンジンを採用しているが、390/250アドベンチャーは軽快な取り回し重視にて単気筒エンジンを採用している。この390/250アドベンチャーの単気筒エンジンとフレームは同社のロードスポーツモデル「デューク」シリーズをベースとしていて、前輪を17インチから19インチへサイズアップすることでオフロード走破性能を高めている。

390/250アドベンチャーともにABSを標準装備しているが、390はコーナリングABS/リーンアングルセンサー付きトラクションコントロール/調整可能な前後サスペンションを装備。LEDヘッドライト/フルカラー液晶メーターといった装備面も異なり、車両価格は390の方が10万円高い。

KTM 250アドベンチャー

【KTM 250 ADVENTURE】■最低地上高200 シート高855(各mm) 車重159kg ■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 248.8cc 30ps/9000rpm 2.4kg-m/7250rpm 変速機6段 燃料タンク容量14.5L ■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/80-17 ●価格:72万9000円

ボア72mm×ストローク61.1mm。低中速域で粘る特性がトレールマシンのような扱いやすさになっている。

オーソドックスなデザインのヘッドライトはハロゲン球。

液晶メーターはモノクロ表示だが視認性は良好。速度/エンジン回転/ギヤポジション/ガソリン残量/時計などを表示。メーター下にはシガーソケット。テーパーハンドルはスチール製。

フロントブレーキはバイブレ製。ABS解除はできないが、オフロードモードにすると介入がやや遅れる設定となる。

リヤブレーキのみABS解除ができる。スイングアーム前方内側のパーツはエキゾーストパイプ。ここを大容量にしている分、サイレンサーを小型化。重量マスを車体中心に集中させている。

【左】フロントサスはWP製APEX43。ストローク量は170mm。調整機能は省略されている。【右】リヤサスはWP製APEXモノショック。ストローク量は177mm。プリロード調整のみ可能。

KTM 390アドベンチャー

【KTM 390 ADVENTURE】■最低地上高 シート高855(各mm) 車重161kg ■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 373cc 44ps/9000rpm 3.8kg-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量14.5L ■タイヤサイズF=100/90-19 R=130/80-17 ●価格:82万9000円

ボア89mm×ストローク60mm。中速域から伸びる特性は高速道路で余裕の巡航性能を発揮。

LEDヘッドライトは1290/890と同一イメージの左右2分割のデザインを採用。

フルカラー表示で見やすい液晶メーター。250同様の機能に加え、トラクションコントロールとABSのモードも表示。メーター下にはシガーソケット。テーパーハンドルはアルミ製。

クラッチ側ホルダーにメーターの操作スイッチを配置。操作性は良好。

アクセル操作はボッシュ製ライドバイワイヤーを装備。軽い操作性に貢献し、レスポンスも良好だ。

フロントサス左側の白いダイヤルはスプリングの縮み方、右側の赤いダイヤルはスプリングの伸び方を調整する。ストローク量は170mm。

スプリング下のネジで、リバウンドする際のダンパー効果を調整できる。ストローク量は177mm。

テスト車両は純正オプションのクイックシフター+(価格:3万3660円)を装備。

後編では、オフロードマシン専門誌『ゴー・ライド』の編集長&副編が、林道ツーリングにおける2台の走りや特徴などを実走インプレッションする。


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