”溶接”はサンデーメカニックの憧れの作業のひとつ。しかしなかなか手を出すことはできない。それは主にサンデーメカニックの作業環境、つまり家庭の電力事情によるところが大きい。今回、『モトメカニック』誌たぐちかつみ編集長が一般的な交流100ボルト環境で使用できるスズキッド製溶接機を体験使用。その実力と使い勝手などの感想を語る。
●文/まとめ:モトメカニック編集部(たぐちかつみ&栗田晃) ●外部リンク:スター電器製造
溶接機性能の向上は日進月歩
自動車ボディの生産技術に携わっていた前職では、普段から溶接仕事が多かった。事業者が利用する溶接電源は交流200ボルトで、状況によっては直流溶接機も利用。そんな職場環境で溶接を覚えたぼくにとって、”大は小を兼ねる”という概念があった。200ボルト電源の溶接機は、やっぱり良い仕事ができるし仕上がりも間違いない。
以前、友人の作業場で家庭用電源の100V溶接機を利用する機会があり、そのときには溶接条件出しに大変苦労した。何とか溶接できたものの、仕上がりはいつもと大違いで、到底納得できるものではなかった。その後、日進月歩で家庭用電源の100V溶接機は高性能化が進み、知り合いのプロ(溶接を仕事にしている)からは「昔とは大違いだよ!! 手棒でも半自動でも、初動から安定していて溶接ビードもしっかりしていて…」なんて話を聞いていた。
今回、スズキッドのラボを訪問する機会を得たので、「実際に部品作りさせてほしい!!」と申し出た。用意した材料はφ9ミリのSS材鉄棒と2ミリ厚のアングル材。レーシングスタンドの製作である。スズキッドではメタルバンドソーも取り扱っているのだが、溶接作業以前にこのバンドソーの実力にもも脱帽…。
利用した溶接機は、ノンガス仕様のフラックスインワイヤーの「アーキュリー80ノヴァ」という製品。100ボルト仕様のインバータ式ノンガス半自動溶接機で、トーチを付属品へ付け替えることで手棒溶接もできる製品だ。
材料段取りを終え、さっそく溶接作業を開始。まずはノンガスワイヤーの太さと溶接する鉄部品の厚さをコントロールパネルから選択してスイッチオン。実作業中に、もう少し溶け込ませたい、弱めたいなどなど感じた時には、設定を微調整することができる。
結局は、オート設定のまま最後まで溶接し終えてしまった。何の不満もなく作業は完了。セッティングが合っていないと、ワイヤー送給のゴツゴツ感や溶接不良のハリツキが発生するが、そんなことはなく最後まで溶接を楽しんでしまった。溶接ビードの上に被覆となって残るフラックスは、手棒溶接のように厚く硬くないので、ワイヤーブラシで簡単に除去することができる。
今回は鉄棒の溶接なので、「薄板の溶接は?」等様々な質問を技術担当スタッフへ投げかけると、「板厚0.6〜1.0ミリ程度なら十分な溶け込みと盛りもできます」との回答。ん〜、魅力的〜♪ 数多くのサンデーメカニックに、溶接の素晴らしさや楽しさを満喫してもらえる商品だと強く思った次第である。
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