
KTCが開発した「トレサス」とは、さまざまな作業を単独で終わらせるのではなく、データを集積して分析を行い、安全を追跡可能にするシステムだ。その一端を担うのが、トルク測定を行う「トルクル」である。今回は、手持ちの工具を差し込むだけでトルクレンチにすることができるトルクルに、ドライブチェーン交換ツール/バルブスプリングコンプレッサーを加えたKTC製オススメ工具3点を紹介する。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:京都機械工具
トルクル:手持ちの工具を差し込むだけでトルクレンチに
「トルクル」は、ハンドル長に関わらず正確なトルク測定が可能で、トルク設定をスマホアプリ上で行う。既存のトルクレンチに慣れたユーザーには違和感があるかもしれないが、曖昧さがない機械式特有のデジタル測定は、作業者のスキルに関わらず同じ測定結果が得られる利点がある。
メタルケース入りのセット工具はトルクルの多様性をアピールしており、キャビネット内に収納しても出張用として持ち運ぶのにも最適だ。
【KTC 9.5sq.ソケットレンチセットトルクルモデル TB312TQ】8~80Nmという幅広いトルク測定範囲の差込角9.5sq.のトルクルに、3種類のハンドルと8/10/12/13/14/17mmソケット、2種類のエクステンションバーを揃えたセット。●税別小売参考価格:5万1600円
トルクル本体(右)とスマホアプリ(左)。トルクル単品の税別小売参考価格は2万9800円だ。
トルクルを操るには、スマホ/タブレットに専用アプリ「TRASAS Admin」をインストールして、Bluetooth機能で通信する必要がある。一度つながれば測定値の入力や計測値のリアルタイム表示が可能で、グリップ部分を回すプレセット型より測定値を簡単に設定できる。
スマホ画面の色と音と振動による到達表示は、カチン!と手応えのあるプレセット型に比べて頼りないと感じるかもしれない。だが機械式のトルクレンチはレンチを操作する速さによって実際の締め付け値が増減するため、デジタル式の方が誰が使っても正確な結果を得やすい利点がある。トルクル本体とスマホは離れていても構わないので、胸ポケットやバイクの上に置いておいても良い。
ドライブチェーンツールセット:420から632まですべてのサイズに対応
420から632サイズまでほとんどのドライブチェーンの切断/ジョイントプレート圧入/ジョイントピンのかしめができるセット。ガッチリした作りの本体がジョイント部をしっかり支え、かしめ作業時にも締め付けトルクが逃げることなくダイレクトに伝わる。安心して使える精度と剛性の高さが特長だ。
【KTC ドライブチェーンツールセット MCCU14】●税別小売参考価格:4万5100円
本体のゴムグリップ付きハンドルは握りやすく、ボルトを回す際もしっかりホールドでき、アウタボルトを回すメッキ仕上げの丸棒ハンドルも十分な長さがあるので、プレート圧入やピンかしめの際の力加減の調節が容易。全体的にゴツい仕上がりだが、その分長く使用できる。
かしめチェーンをカットしたり汎用チェーンのリンク数を調整するカッタピンは40/50系と60系の2種類で、耐久性を高めるため最適な熱処理を施した特殊鋼を使用。圧入プレートはチェーンサイズごとに異なるが、反対側で支えるかしめ受けプレートは共通。
車両に装着されたかしめチェーンの切断や新品チェーンのコマ数調整ではカッタピンを使用。目的のピンをアウタボルトで固定して、ラチェットハンドルなどでインナピンを送り出し、ジョイントピンを押し抜く。作業時の剛性感は抜群だ。
バルブスプリングコンプレッサー:ラチェット機構付きのラックで本体着脱時の効率が大幅アップ
シリンダーヘッドの上下からバルブの傘とリテーナーを挟むオーバーホールの必須工具は、C字フレームの逃げが深く、原付から大型車用ヘッドまで幅広く使えるロングセラー。スプリングリテーナーに接するアタッチメントのサイズはφ16.5/φ20/φ24/φ28の4種類。アタッチメントと対になる、バルブの傘を受けるラックは、コンプレッサー本体を素早く着脱できるラチェット機構付き。
【KTC バルブスプリングコンプレッサー MCVU5】●税別小売参考価格3万1400円
シリンダーヘッドを膝の上に載せてコンプレッサーをセットする方法もあるが、コンプレッサー自体をバイスで固定してバルブを着脱するやり方もある。アタッチメントの肉抜きが大きいので、バルブコッターの着脱が容易。
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