’19年モデルで84ccアップ&可変バルブタイミング機構を導入したBMW R1250RTが、’21年型でスタイリングを一新するなどモデルチェンジ。ACC(アクティブクルーズコントロール)をはじめとする先進デバイスの強化がポイントだ。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:BMWモトラッド
’21 BMW R1250RT
[◯] ACC&テレレバーのコンビが育む安心感
今回のモデルチェンジで追加された主な先進デバイスは、前走車との車間距離を一定に保つACC、バンク角に応じて制動力を最適化するフルインテグラルABSプロ、次世代型へと進化した電子制御サスペンションのダイナミックESA、そしてエンジンブレーキコントロールなどだ。それでは最も注目度の高いACCから。
基本的なスイッチ操作は通常のクルーズコントロールと同様で、前走車に接近すると自動的に捕捉して追従走行に入る。車間距離の調整は3段階で、これを切り替えるボタンが独立しているので操作しやすい。追従は非常にスムーズで、少なくとも往復200km以上の移動で危険を感じるシーンは一度もなく、ただただ楽チンだった。特に感心したのは急減速時の安定性だ。100km/hで追従中に前走車が渋滞に近付いたので60km/h付近まで減速。ブレーキが自動的に作動したのだが、車体はほとんどピッチングせず、スッとスピードを落としたのだ。これはテレレバーサスペンションだからこそ成せる業で、同じタイミングでACCを採用した他車との違いがここに集約される。
136psを発揮する1254ccの空水冷フラットツインは、新たにエコモードが追加された。これでレイン/ロード/ダイナミックと合わせてライディングモードは4種類になったわけだが、どのモードでもスロットル開け始めのレスポンスが優しいので非常に扱いやすい。吸気カムが切り替わる5000rpmから上はさすがに元気が良く、290kgもの巨体を軽々と加速させる。その一方で、低回転域では連綿と続いてきたフラットツイン特有の規則正しい鼓動感があり、実に味わい深い。
ハンドリングもいい。空油冷時代のR1200RTはフロントカウルの高い位置に重量物があるような雰囲気があり、旋回力は高いものの倒し込みや切り返しがやや重かったのだが、この新型にそうしたネガは皆無。峠道でのスポーツライディングがさらに楽しくなり、それをダイナミックESAやフルインテグラルABSプロがさりげなくサポートしてくれる。これぞ舗装路の王者だ。
[△] いよいよ300万超え。だがその価値は十分にある
日本で販売されるのは、本国ではオプションとなるACCなど各種装備をほぼすべて盛り込んだプレミアムラインで、車両価格は300万円をオーバー。とはいえ、この安全安心のパフォーマンスを体験すると、この価格設定に必ずや納得するはず。
[こんな人におすすめ] いつの時代も先進システムの見本市がRTだ
次世代ダイナミックESAは、特に高速巡航時の動きがスカイフックに近いと感じた。さまざまな先進システムが追加されたが、そのほとんどが当たり前に機能するので、ライダーは存在を意識することがない。この進化には脱帽だ。
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