日本では’17年モデルを最後にラインアップから消えていたが、’21年型で3代目に生まれ変わったスズキ ハヤブサ。新型は販売店の予約開始からあっという間に年内の日本国内向け販売台数が完売してしまった。相変わらずの超絶的人気を誇る”最強の猛禽類”を、旧型2代目と比較しながら公道/テストコースで徹底試乗。テスターはヤングマシンおなじみの丸山浩氏が務める。本記事ではワインディングのインプレッションをお届けする。
●テスター:丸山浩 ●まとめ:田宮徹 ●写真:長谷川徹 真弓悟史 山内潤也 ●取材協力:スズキ
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前後輪ベッタベタの接地感。じつはハンドリングマシン!
ハヤブサはこれまでも、コーナリングが楽しいハンドリングマシンだった。この点があまりフィーチャーされてこなかったのは、’99年型としてデビューした初代の”市販車実測300km/h超”や’08年型として新登場した2代目の”200馬力に迫る最高出力”など、目を奪われやすい衝撃的な数字が並んできたことも要因のひとつだったのかもしれない。
しかしスズキの開発陣は、ハヤブサが持つ本当の魅力をちゃんと理解していた。だからこそ新型は、ハンドリングも徹底的に磨かれている。
新型でワインディングに突入すると、まず感じるのは自在性。よくもまあ、こんなに重くて巨大でホイールベースも長いバイクが自分の意思どおりに動くものだと、タイトな峠道を走らせていて感動さえ覚えるほどだ。
まず、よく寝る。たとえばコーナーへのアプローチでは、進行方向を意識するだけで車体がバンクを開始する感覚。そしてその状態でほんの少し待つと、あとは勝手に車体が旋回していく。そして、よく寝るだけでなく前後輪の接地感が非常に高い。狭くてツイスティな峠道でタイトターンを切り返しても、途中でマシンがふわっと浮き上がる瞬間がなく、前後輪が「ベタッ、ベタッ…」と地面を捉え続けながら曲がっていく。これがとにかく気持ちいい!
GSX‐R1000Rのようなリッタースーパースポーツは、コーナリングのイメージが”寝る”ではなく”寝かす”。そして、前後のピッチングを旋回力につなげる走りが求められる。対して新型ハヤブサは、常にリヤを重視しながら路面に吸い付くように曲がる。この点において新型ハヤブサとスーパースポーツは完全に異なっている。
方向性としては、旧型ハヤブサも新型と同じなのだが、接地感は新型のほうが圧倒的にあり、それでいてバンクさせるときの軽さでも新型のほうが勝る。また、前後サスの設定は旧型のほうがハードで、高速コーナーではギャップで振られやすい。
ただしここで旧型をフォローしておくと、今回試乗した旧型はメーカー広報車で(生産終了後も所有していてくれてありがとうスズキさん!)、タイヤは新品ながら銘柄はOE装着指定のブリヂストン バトラックスBT015だった。このタイヤが開発されたのは約15年前。新型に装着されている最新のバトラックス ハイパースポーツS22と比べるとだいぶ旧世代だ。この違いが接地感やハンドリングに与える影響はかなり大きいはず。つまり旧型のオーナーも、タイヤを交換することで多少はその差を埋められる。
とはいえ乗り比べると、やはり新旧の違いはタイヤによるものだけではないと思わざるを得ない。電子制御/車体/前後サスペンション…。あらゆる部分の積み重ねによる差なのだろう。
なおドライブモードセレクターで切り替えられる出力特性は、それぞれ3タイプあるが、私は峠道でももっともシャープなモードを使うことをオススメしたい。高速道路編で述べたように、低中回転域では唐突にパワーが立ち上がるわけではなく、制御下に置きやすい。新型のパワー抑制は自然な感覚が増している、とはいえコントロール性の高さと気持ちよさという点では”モードA”が一番だろう。
丸山浩の10点満点評価
新型:10/10|旧型:7/10
ワインディングのポイント
その1:サスペンション/ブレーキ/タイヤ
その2:クイックシフター
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