林道ツーリングにピッタリの高機能なバックパック×11選〈後編〉

快適な林道ツーリングをサポートしてくれる高機能な防水&撥水機能バックパック…、とひと口に言っても装備や機能など様々な特徴や違いがある。そこでゴーライド編集部が厳選し11アイテムを2回に分けて解説。前編防水バックパック×7選に引き続き、後編ではレインカバー付き撥水バックパック×4選に加え、あると嬉しい装備やバックパックが長持ちする保管法を紹介するゾ!!


●文/写真: 小泉裕子(ゴーライド副編集長)

“あるかないか”で大きく変わる快適性と安定感

近年のバックパックには、背負い心地に関わる背面パッドをはじめ、バックパックの重心のブレを軽減する働きや荷重を分散させることで疲労を軽減する持つ各種ベルトや、バックパックと身体へのフィット感を上げるショルダースタビライザーなど、さまざまな機能を装備するものが多くなってきた。その中で、一般的に装備されるようになってきたウエスト(ヒップ)ベルト/チェストベルト/背面パッドの利点を説明する。

ウエスト(ヒップ)ベルト:荷物を腰で支える&走行中のバックパックの揺れを防ぐ

ちょっとした林道ツーリングや1泊2日ツーリング程度の荷物であっても、肩だけで荷物の重みをすべて受け止めると身体に大きな負担がかかってしまう。この時、ウエストベルトを装備したバックパックなら、 肩と腰の2点で荷物を支えることになり、肩の負担が減るだけでなく、ライディング中のバックパックのズレによる重心のブレや、そこで生じる疲労も防ぐことができる。さらに、しっかり腰をホールドしてくれる幅の広いタイプのウエストベルトなら、荷重を身体の中心で支えるよう設計されているためホールド力もケタ違いに上がり、重さの体感レベルが劇的に軽減するほど。腰骨あたりでバックパックがブレない程度の強さでベルトを締めよう。強く締めすぎると身体を圧迫したりスレたりするので注意。

チェストベルト:バックパックを身体にぴったり固定し安定させる

林道走行はもちろん通常時でも、バックパックのショルダーストラップが少しずつズレ落ちてくるという不快感を味わうことは多い。実際、ショルダーストラップの調整部分がゆるかったり経年劣化していたりすると、振動でどちらかだけが長くなってアンバランスになってしまうことも。その状態でいると気付かぬうちにどんどん疲労が蓄積していく。この時、両方のショルダーストラップを胸のあたりでつなぐように装着されているチェストベルトがあれば、背負ったバックパックがより身体にフィットし左右に揺れないようになることで、バックパックの重心を安定させてくれる。ただ、歩行時や高速走行時などは、荷物が軽量だったり、重くてもパッキングがしっかりしていればバックパックが安定するので、締める必要がないケースもある。

背面パッド:バックパックとの接触部を快適にし、フィット感を向上させる

バックパックが背中に接する部分にある背面パッドは、接する部分の荷重による負担を最小限にし、バックパックを身体によりフィットさせる役割を持つ。この背面パッドのある/なしや、機能性の高いものによる疲労軽減への貢献度は大きい。背面パッドがないと、バックパックに詰めた荷物の形状や詰め方によっては背中に違和感を覚えたり、硬いモノが当たることで痛みや集中力が散漫になることも。また、メッシュ仕様で汗による蒸れを防ぐものや、高いクッション性を持たせた背負い心地をより快適なものにする工夫がなされているものもある。

クシタニ K-3587バックパック

細身のシルエットながら広い開口部を持つメイン気室や大小合わせて5つのポケットを配置し、利便性に優れる。カラーの切り替えに合わせてサイドにメッシュポケットを装備するなど、デザイン性と機能性を両立した上質感あふれる外観はクシタニならでは。また調整可能なチェストベルトや腰に柔らかくフィットかつホールドするウエストベルトを備え、とくに背骨に沿って縦にフィットする背面部は秀逸。林道走行で汗をかいても快適さは不変だ。

【クシタニ K-3587バックパック】スタイリッシュで蒸れ知らずの快適フィット。技あり開口部に使い勝手抜群な機能はサスガ。●容量:約17L ●サイズ:W50×D25×H20cm ●カラー:ブラック ●重さ:1290g(編集部実測) ●価格:1万7600円|クシタニ

ウエストベルトあり/チェストベルトあり

デザインの一部のように湾曲する形状のメイン気室入口は、ドローコード+ファスナーで大きく開口し、荷物へのアプローチが非常に楽。

【左】上蓋を含めて5つのポケットを装備。その中のひとつにレインカバーを内蔵し、突然の雨でも対応する。【右】背面は、バックパックが身体に一切密着しない構造で暑い時期でも快適な背負い心地を約束する。また、荷物の中身が背中に干渉する不快感も皆無だ。

アルパインスターズ シティハンターバックパック

普段使いでも活躍間違いなしのスタンダードなバックパック。疲労軽減クッションパッド付きで快適な背負い心地に、止水ファスナーを採用した防水ポケットを備え、夜間走行時の被視認性を向上するリフレクターを前後に装備するなど安全面も考慮されている。シンプルな外観ながら、バッグ内部は細分化され、さまざまな用途に対応する。出勤前に軽く林道をひとっ走りしたくなる身軽さと利便性を持つ。

【アルパインスターズ シティハンターバックパック】ライディング時における快適さをプラスした、林道から日常まで溶け込むシンプルスタイルバックパック。●容量:約25L ●カラー:ブラックグレー ●重さ:890g(編集部実測) ●価格:1万8480円|岡田商事

ウエストベルトあり/チェストベルトあり

簡単にバックパックに装着できる便利なヘルメットキャリアーを備える。バイクを降りてからの散策時に両手が空くのは嬉しい。

ノートPCを安心して収納できるサイズのポケットに加え、スマホ用ポケットやモバイルグッズ入れなど、細かく区分されている。

ポケットにレインカバーを内蔵し、突然の雨から荷物を守ってくれる。被視認性の高いカラーリングを採用し、視界が悪くなる雨天でも安心だ。

ゴールドウイン GSM27011 X-OVERデイパック27

MA1を思わせるオレンジカラーで中身が見やすく、ガバッと荷物を出し入れできる広い間口や便利なセンターポケット、ノートPC&モバイルグッズを安心して持ち運べるクッション付きポケットなど高い利便性を持つ。両サイドのベルトでバッグサイズを調整可能なので、荷物の量に合わせてコンパクトに収納可能。また、両サイドポケットに設けられたメッシュの上蓋付きのポケットにより、激しい上下運動でもポケットに入れた物が落ちる心配がない。自然の中でテレワークをしたいオフ車乗りにオススメ。

【ゴールドウイン GSM27011 クロスオーバーデイパック27】抜群の機能性で林道をオフィスにも変える、ミリタリーテイスト溢れるバックパック。●容量:約27L ●サイズ:H50×W34×D16cm ●カラー:オリーブ、ブラック、デジタルデザート ●重さ:890g(編集部実測) ●価格:1万5180円|ゴールドウイン

ウエストベルトなし/チェストベルトあり

中身が見やすい鮮やかなオレンジカラーを採用した内装。ノートPCや書類などを入れるだけでなく、しっかりと衝撃から守ってくれるクッション付きのポケットなど装備する。

背面には身体にフィットするパッドを装備。

バックパック本体に、付属のX型装着ベルトを使ってマシンに簡単に装着できる専用のバックルが取り付けられている。被視認性に優れた蛍光色のレインカバーも付属。

ナンカイ BA-309デイリーユース シート&バックパック

杢調生地が目を引くスクウェアフォルムのバックパック。バックパック時には上からメイン気室にアプローチでき、横に置いた時はいわゆるシートバッグのように上面を開口できるので、用途に合わせたパッキングをすれば、必要な荷物だけを簡単に取り出せる。なお、身体へのホールド類はなくショルダーストラップのみだが、背負い心地は驚くほど快適だ。H型固定ベルトにつなぐためのバッグ前面の4つのバックルは収納可能。

【ナンカイ BA-309 デイリーユース シート&バックパック】積載でも背負っても抜群の安定感と強度で、箱を感じさせない背負い心地の2WAYバッグ。●容量:約25L ●サイズ:H45×W28×D22cm ●カラー:ブラック ネイビー グレー ●重さ:1340g(編集部実測) ●価格:1万1880円|南海部品

ウエストベルトなし/チェストベルトなし

シートバッグとして装着する際に、ショルダーストラップを背面スリットに収納できる。

ガパっと開けられるメイン気室は鮮やかなオレンジカラーで荷物を探しやすい。

バックパック本体に装備する4つのバックルと付属のH型固定ベルトにより、簡単にマシンに装着可能だ。レインカバーも付属しているので、突然の雨でも安心だ。

保管方法をしっかり決め、バックパックと長く上手に付き合おう

林道ツーリングや長距離ツーリング旅などで使うバッグなどは、ほとんどの人がその時にしか使わず普段はしまったままということが多いだろう。「普段使いもしてるよ」という人は別として、いざ使おうと思って引っ張り出した時に、使ってもいないのに妙にヤレていたり、せっかくの防水生地が加水分解を起こしてペリペリになっていた…と切ない思いをした人は少なくないハズ。その大きな原因として、しっかりとバッグが保管できていなかった可能性が高い。さまざまな保管方法はあるが、無事に次のシーズンを迎えられるように、保管のポイントを2点だけでも押さえておこう。

直射日光を避け、湿度の少ない風通しのいい場所で保管

湿度は、バッグの素材の加水分解だけでなく、カビの繁殖も後押ししてしまう。どうしても風通しを良くできないのであれば、使い捨ての湿気取り剤や除湿パックなどを使おう。直射日光も日焼けしてしまうのでNG。

収納場所を作るのに、無理な折り曲げやギュウギュウ詰めをしない

せっかく保管場所を除湿しても、ギュウギュウ詰めで収納すると部分的に風通しが悪くなり、カビの原因になるので注意しよう。また、折り曲げると型崩れの原因になり、せっかくのいいバックパックでも背負い心地が悪くなることは確実だ。


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