●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:山下工業研究所
ソケット工具メーカーならではのスリムな六角部が魅力
多ギア化が進むラチェットハンドルのように分かりやすい進化は少ないものの、実は製品ごとの特徴が明確なのがT型レンチだ。特にバイクのメンテナンスでは自動車整備より活躍できる場面が多いので、快適に使える製品を選びたいところ。
コーケン(山下工業研究所)製T型レンチの魅力は、ソケット工具メーカーならではのスリムな六角部にある。ソケット工具ではハンドルとソケットを組み合わせる構造上、強度が欲しい差し込み部はどうしてもかさばりがちだが、T型レンチのソケットは軸と一体化することでスリム化できる利点がある。
その上で六角穴のサイズごとに最適な外径を設定。早回しにも本締めにも使えるコーケン製T型レンチの愛好家が多いのも納得できる。
T型レンチ:使えば分かる肉薄六角部の魅力。スタンダードにして完成形
「なんの変哲もない」と言うと語弊があるが、T型レンチに必要な機能を高次元で製品化しているのがこの製品。六角部のサイズに応じて軸とハンドルの太さを設定してあるため、本締めの際のトルク感がしっかり伝わり、早回しで使う際のバランスの良さも絶妙だ。
ソケット根元にはダイレクトにトルクを加えられる六角部(ボルスター)を設けて、きつく締まったボルトナットに対応。六角部の寸法ごとに外径を細かく調整してスリムさを追求。もちろん六角部の精度はコーケン品質だ。 [写真タップで拡大]
T型ロングボックスレンチ:スタッドボルトもクリアするディープソケットタイプ
六角部12mm同士で比較すると、上のスタンダードタイプ(104M)の全長×ハンドル幅が250×250mmであるのに対して、こちらのロングボックスタイプは355×200mmと、長くて幅が狭いのが特徴。ハンドルが狭いのでチェストタイプの工具箱にも収まりやすい。
ソケット部の見た目はディープだが六角部は浅く、突き出しが長いスタッドボルトと組み合わされたナットを回してもソケット内に潜り込むことがない。サイズ刻印はソケット外周とハンドル上部の2カ所にある。 [写真タップで拡大]
T型ヘックスレンチ:早回しならL型を上回る、キャップボルト御用達のスリムフォルム
T型ヘックスレンチは、キャップボルトの着脱にL型レンチしか使ったことのないサンデーメカニックの多くが感動する工具だ。クランクケースカバーのように、何本ものボルトを連続して回す際に、指先でハンドルを回すだけで素早く作業できる快適性は圧倒的だ。
T型ハンドル:手持ちのソケットをフル活用。ユニバーサルいらずのオフセットが魅力
手持ちのソケットと組み合わせて使えるT型ハンドルにもいくつかのタイプがある。ショート型はスタンダードと同じ268mmの全長でスリムな190mmハンドルを採用(スタンダードは240mm)。オフセット型はストレートと首振りの2パターンで使えるのが特長だ。
差込角3/8インチのT型ハンドルには5種類の形状がある。オフセットタイプの差込部は根元に向かい若干くさび状に加工され、ソケットを浅く差し込むと15度までの首振りが可能。奥まで押し込めばまっすぐに固定される。 [写真タップで拡大]
T型ユニバーサルレンチ:超ロング&ナットグリップで分解作業にとりわけ強みを発揮
エクステンションバーを何本も連結しないと届かない場所で重宝する、全長600mmの超ロングタイプレンチ。角度調整できるユニバーサルジョイント内蔵のソケットにはコーケン独自のナットグリップを搭載し、取り外したボルトナットを確実に回収できる。
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