自宅隔離期間がやっと終わりました!

世界GP王者・原田哲也のバイクトーク Vol.54「カタール2連戦と全日本開幕、そしてSLJへ…?」

TEXT:Go TAKAHASHI

1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第54回は、ついに開幕したMotoGPや全日本、そしてジギングについて。

日曜深夜のカタールGPとドーハGP、しっかり観戦しました

ついにモトGPが開幕しましたね! 今年は昨年とは違い、全クラスが一斉にカタールで開幕を迎えることができ、とりあえずはホッとしています。いちモータースポーツファンとしては、やはりレースが観られるのはうれしいこと。カタールは時差の関係で真夜中過ぎの決勝でしたが、連戦となった2戦ともしっかり観戦させてもらいました。

同じロサイルサーキットで行われた開幕戦カタールGP、そしてドーハGPともに、ヤマハが勝ちましたね。開幕戦はマーベリック・ビニャーレス、そして第2戦はファビオ・クアルタラロの優勝です。ただ、目立ったのはドゥカティのとんでもない速さ! 圧巻のストレートスピードでした。

第2戦ドーハGPでストレートを立ち上がる#63フランチェスコ・バニャイヤ選手。空力パーツがスゴイ……。 [写真タップで拡大]

開幕戦はスズキのジョアン・ミルが最終ラップに2位を狙ってドゥカティのヨハン・ザルコに仕掛け、結局ザルコとフランチェスコ・バニャイヤに抜かれてしまい4位になりました。ミルには「オレがチャンピオンだ」という自負も自信もあったのでしょう。昨年のように抑えることなく2位獲得に果敢に挑む姿勢は素晴らしかったですね。

ミル本人のコメントによると立ち上がりを重視してワイドなラインを取り、結果的にドゥカティの2台に抜かれてしまった、ということでした。でも、あの速度差はもはやラインとかそういう問題じゃない! 排気量が違うんじゃないかというぐらいのパワー差を見せつけられて、ミルはなす術もなかったというのが本当のところだと思います。今シーズンはエンジン開発が凍結されているので、ドゥカティは空力性能かトラクションが大幅に向上したのでしょう。

第2戦ドーハGPでは、ルーキーのホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング/ドゥカティ)が22周のレースで18周にわたってレースをリードし、3位表彰台を獲得しましたね! モト3からモト2にステップアップしてしばらく、彼はベタ寝かせで旋回スピードを稼ぐ走りでした。「大丈夫かな」と思っていましたが、すぐに寝かせすぎずにしっかり減速して早めにマシンを起こす走りに変更していました。モトGPはその走り方をさらに突き詰める必要がありますが、マルティンはいち早く適応していますね。モト2時代よりも旋回スピードを抑えて、より立ち上がりを重視の走りになっていました。今後にも期待できます。

モト2からモトGPへのステップアップは、かつての2スト250ccから2スト500ccへのステップアップに比べて、楽になっているのは確かだと思います。電子制御の恩恵で、モトGPマシン自体が乗りやすくなっていますからね。リヤタイヤが滑ればトラクションコントロールが、フロントが浮けばウイリーコントロールが利いてカバーしてくれます。昔の2スト500ccにはそんな制御はなく、滑ったら滑りっぱなし、浮いたら浮きっぱなしで、それは手強かったものです。

でも、結局は各時代のマシンのパフォーマンスをフルに使って走れる人が、トップライダーというもの。今と昔、どっちが優れているかなんて比べられません。今のモトGPマシンは乗りやすいので、ある程度のレベルまではすぐに速く走れるようになるでしょう。でも、重くてめちゃくちゃ速いマシンを乗りこなしてライバルに打ち勝つのは、やはり並大抵なことではありません。ルーキーのマルティンが2戦目で表彰台に立ったのは、素直に称賛すべき大殊勲だと思います。

まだドゥカティ勢には不安定なところがあり、ザルコが2戦とも表彰台に立ったものの、全体的には浮き沈みがあります。それでもライバルたちにとって脅威であることは間違いありません。ヤマハのビニャーレスとクアルタラロはタイミングを計ってかなりのプッシュをして、どうにかドゥカティ勢を引き離すことで優勝をもぎ取りましたが、あの勝ち方しかなかったと思います。タイヤを消耗するリスクはありますが、スリップストリームに入られてしまうような接戦をしていたら、最後に必ず抜かれてしまいますからね。

第2戦で勝ったクアルタラロは、昨年も前半戦で大活躍し、チャンピオンの最有力候補でした。さて今年はどうでしょう? 僕はまだ様子を見たいと思います。速さはありますが、何かをきっかけに調子を崩す可能性はまだあります。ただ、クアルタラロのブレーキングは絶品! 今、モトGPでもっともブレーキングがうまいライダーですね。短時間でギュウッと強くブレーキングして、的確に速度を落としています。

先行するのはドーハGPで勝利者となった#20ファビオ・クアルタラロ選手で、続くのは開幕戦カタールGPの勝者だった#12マーベリック・ビニャーレス選手。 [写真タップで拡大]

クアルタラロのようなブレーキング巧者の後ろにつくと、なかなか抜けずに後続はイライラするものです。懐かしい話ですが、やはりブレーキングが武器だったアレックス・バロスの後ろについてしまったノリックが、レース後、「なかなか抜けないんですよ〜」と口を尖らせていたのを思い出します。でも、イライラせずに待つしかないんですよね。ブレーキングが武器のライダーは、フロントタイヤのグリップが落ちると、その武器を失い、ミスが多くなる。それまでは後ろでジッと我慢です。速いクアルタラロに先行されると後続は焦りがちですが、落ち着いて待つことが重要だと思います。

モト2ではルーキーの小椋藍くんが頑張りましたね! 第2戦ドーハGPで早くも5位入賞です。初戦での問題点をきっちりと修正してきました。彼はまだ、モト2マシンに数えるぐらいしか乗れていないはず。チームも小椋くん自身も、手探りでセッティングを進めている段階だと思います。乗るたびに発見があり、チームは小椋くんの好みを理解し、小椋くんはチームのやり方を理解していることでしょう。そんな状態での5位ですから、これから理解が深まるにつれ、もっと上位進出できるはず。同じステップアップ組のラウル・フェルナンデスが3位表彰台を獲得していますから、小椋くんにも十分チャンスがあります。

全日本ロードレースも開幕し、YouTubeで観戦しました。便利な世の中になりましたね(笑)。ST1000クラスの高橋裕紀くん、ピットスタートからの優勝にはたまげましたよ! ウエットからドライへと路面が変わり、スリックタイヤをチョイスした高橋くんが有利だったのは確かですが、35台抜きなんてなかなか見られるものではありません。渥美心くんも頑張っていましたね。

JSB1000クラスは、「さすが中須賀克行くん、強いな!」というレースでした。渡辺一樹くんもかなりの頑張りですごいブレーキングを見せていましたが、中須賀くんが1枚上手でしたね。落ち着いてレースを組み立てていました。亀井雄大くんもトラブルでマシンを止めるまではとてもいい走り。各クラスとも若手が台頭してきて、頼もしい限りです。一方でST600クラスはベテランの小山知良くんが優勝。抜かれた後にもきっちり抜き返し、引き出しの多さを見せました。若手とベテランの争いは、全日本ロード自体のレベルアップにもつながるはずです。

釣りもバイクも、上達したければ教わるのが早道!

退屈な自宅隔離期間をモトGPや全日本ロードの観戦でどうにか乗り切った後は、楽しみにしていた釣りです! 外房・興津港の庄之助丸に乗って、初めてのSLJ(スーパーライトジギング)に挑戦しました。

今回は釣具メーカー、ジャッカルの吉岡進プロ(ヨッシー)と同船することができました。隣に並んで釣りをさせてもらったんですが、やっぱりうまい! 初めてのSLJでよく分からなかった僕に、竿のシャクリ方などいろいろ教えてくれたヨッシー。的確なアドバイスのおかげで、僕もサバやカサゴを釣ることができました。

改めて思ったのは、いい先生に教わることが上達の早道だ、ということです。僕は釣り経験がまだ浅いので、ヨッシーのようなプロに教わって、目からウロコがポロポロ落ちることばかり(笑)。やっぱりいい先生に教わった方が上達が早いということを、今回のSLJで体感できました。

これはバイクも同じです。上達したければ、スクールなどに行って先生に教わるのが1番。いろんなスクールがあり、いろんな先生がいるので、自分に合うスタイルを見つけるのも楽しいんじゃないかと思います。釣りの場合は我流を貫いてもせいぜい釣れないぐらいで済みますが、バイクの場合は痛い目に遭う可能性があるのが怖いところ。より安全に上達したいなら、スクールへの参加を強くオススメします。

プロのヨッシーに教わると上達が早い! [写真タップで拡大]

こちらが庄之助さんです! [写真タップで拡大]


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