●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:山内潤也 ●取材協力:トリックスター デジスパイス ラピッドバイクジャパン(JAM)
世界最強のニンジャZX-25R計画を進めているトリックスター。これまでの解析によって明らかになったパワーアップへの糸口の数々を結集して、実証する新ステージに到達した。その一発目として、エンジンはノーマルのまま、吸気系/マフラー/サブコンピューターのポン付けチューンだけで、世界初の実測200km/hオーバーに挑む。後編ではいよいよトリックスターが手がけた吸排気フルチューン仕様車が登場だ!

[写真タップで拡大]
【テスター:(左から)丸山浩/鶴田竜二/山本剛大】実測200km/hアタックに挑むのは、ヤングマシンのメインテスターとしておなじみの丸山浩氏に加え、トリックスター代表の鶴田竜二氏、そしてアジア選手権AP250クラス初代チャンピオンの山本剛大氏という3人だ。
ノーマルより7psアップのフルチューン仕様で挑む '20年末の某日。トリックスターとヤングマシン本誌取材班からなる特別チームが集ったのは、茨城県にある城里テストコース。最大45度のバンクと全長5500[…]
真打ち登場! トリックスター吸排気フルチューン仕様車
前ページでまとめた通り、まずフルノーマルでのテストは実測180.0km/h。次にアクラポヴィッチとイカヅチの2本のJMCAマフラーでテスト。ファイナルもロングにしたイカヅチ装着車では実測191.9km/hへとポンとスピードアップしてしまった。これなら吸気系までイジった本命フルチューン仕様なら楽勝のはずだ。
カラーペイントも施された、トリックスターのフルチューン仕様車。レーシング仕様のイカヅチマフラーに特製ラムエアダクトをプラス。さらにラピッドバイク・レーシングで燃調&バタフライに加えて点火タイミングも制御。前後スプロケットも変更し、タイヤもハイグリップタイプを履く。
【JMCAと基本は共通のレーシング】異型6角断面サイレンサーが特徴のイカヅチマフラーは公道不可のレーシングバージョンを装着。公道用JMCA版との違いは触媒の有無や消音機能くらいでエキゾーストパイプレイアウトはほぼ同一。そのため公道版でもこれに迫る性能を発揮する。
最高速を伸ばすために前後スプロケットを換えて最終減速比をロングにしている。最終的にフロント15T&リヤ46Tでトライ。チェーンはDIDのゴールドチェーンを使用した。
ラムエアダクトはトリックスター製(2万680円)。開口部の面積はグッと大きくなり、容量も純正より約1.4倍ほど増えている。
フルチューン仕様にはラピッドバイクの最上級版である「レーシング」を使用。エボに加えて点火タイミングやトラクションコントロールなどまで制御できる全部入りFIサブコンピューター。テストにはラピッドバイクジャパン(JAM)の成毛浄行氏が同行してくれた。
【念入りに最終調整】フルチューン仕様でのアタック本番計測に備えて山本剛大選手のライディングで最終調整。RAPiD BIKEやスプロケのファイナル調整などが念入りに行われた。公道仕様で195km/hだったので、フルチューンならイケるはず!
「あと2km/h…」がどうにも詰められない
そして、いよいよフルチューン仕様での本番アタックがスタート。さすがに出だしから速い。メーター読みでも軽々と200km/hに到達する。
だが…、メーターの動きは最高速に近づくにつれて鈍くなり205km/hから上に行ってくれない。これだと実測では微妙なところか…。デジスパイスの実測データを確認すると、やはり実測では198.1km/h。あと2km/h足りない…。
アタックした山本選手によると、タコメーターはレブリミットまでまだ1000rpm以上残した1万7000rpmでストップ。パワー不足を指摘する。次に丸山浩がトライするも、やはり同様の結果。ファイナルを換えてみるか? しかし丸山は「ファイナルはすでにいいところにある」と指摘。軽量化のために外せるものは何かないか? それももう見当たらない…。
【本番アタック。だが…パワーが足りない】山本選手が満を持して本番計測にトライ。メーター読みで205km/hまで到達したが、実測では198.1km/hとあと一歩というところで200km/hに及ばず。山本選手は「レッドゾーンより手前の1万7000rpmあたりから上に到達してくれない。わずかにパワーが足りない」と嘆く。
【あと2km/hなのに】ファイナルはこれ以上ロングにしても無理と判断。「何か軽くできるものは?」とスーツのバンクセンサーまで外して丸山/鶴田が挑むも、最後の2km/hが詰められない。
ならば奥の手=H2Rスリップ作戦発動!
あと2km/h…。邪魔なものは”空気の壁”だ。ならばと、鶴田代表が引っ張り出してきたのが、なんとボンネビルチャレンジ用のニンジャH2R改。これのスリップストリームでZX-25Rを引っ張ろうという奥の手作戦だ!
【こんなこともあろうかと!】「ならば奥の手だ!」と登場したのが、ボンネビル最高速トライ用のニンジャH2R改。400km/hを目指すモンスターマシンのスリップストリームでZX-25Rを引っ張ろうという掟破りの作戦だ。
【ジャマする空気の壁をH2Rが露払い!!】鶴田選手の乗るニンジャH2R改が空気の壁を切り裂く。丸山浩の乗るフルチューンニンジャZX-25Rは、スリップストリームに入ると「伸びる! イケルぞ!」ちなみにこのトリックスターニンジャH2R改は、’21年のボンネビルで最高速記録塗り替えに挑む。今回はそのシェイクダウンも兼ねていたのだ。
見せた鶴田の意地。ついに実測200km/h達成!
そしてラストトライ。最後のひと伸びに賭けた実測値は…、やったぞ202.3km/h! 念願のニンジャ ZX-25R世界初200km/hオーバーを達成だ。
実測198.1km/h/スリップストリーム併用で202.3km/h(後輪実測出力:44.52ps)
【25Rで世界最速の男に!】ミラーのないニンジャH2R改を、後ろを振り返りながら駆る鶴田代表とフルチューンニンジャ ZX-25Rを駆る丸山浩の息の合ったコンビネーションでスリップストリームを最大限に活用。エアポケットから飛び出し、最後のひと伸びに賭けた25Rに搭載したデジスパイスの実測パネルが「202.3km/h」を指し示す。ついに目標を達成だ!
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
もちろん動画もアリ!
あなたにおすすめの関連記事
ノーマルより7psアップのフルチューン仕様で挑む '20年末の某日。トリックスターとヤングマシン本誌取材班からなる特別チームが集ったのは、茨城県にある城里テストコース。最大45度のバンクと全長5500[…]
ヨシムラ 機械曲R-11チタンサイクロン:ミッドレンジの力強さに感動 助走区間を排除することで守備範囲を大幅に拡大 排出ガス/騒音規制が厳しくなった昨今、アフターマーケット製マフラーの主な美点は音質と[…]
オリジナルの素性の良さに高級感と機能をプラス 高性能スクリーンや外装パーツでおなじみのマジカルレーシングが、2月末から待望のカワサキ ニンジャZX-25R用ボディパーツをリリース。いずれもオリジナルの[…]
2021新車バイクラインナップ>日本車>車検レス軽二輪126〜250cc 最新潮流解説 KAWASAKI:ニンジャZX-25R|ニンジャ250|Z250|KLX230|ヴェルシスX250ツアラー HO[…]
ブラックエディションやステンカーボンなど、4色のパリエーションを展開 トリックスターがリリースするニンジャZX-6R用スリップオンマフラーは、重厚なサウンドとブランド史上最高の性能を秘めるIKAZUC[…]
最新の記事
- 1
- 2