原付二種と軽二輪スクーターの勢力図を瞬く間に塗り替えてしまったホンダPCXシリーズは、誕生から11年目。来たるユーロ5に対応するため全面的に刷新し、早くも第4世代となった。その進化ぶりを旧型と比較して徹底解明! まずはスペック上の相違点を洗い出して紹介する。
4バルブ化で車体まで刷新。死角なしのフルチェンジ!
原付二種と軽二輪の両クラスで快進撃を続けているホンダPCXシリーズ。フレームを大刷新した先代モデルは、量産2輪車では世界初となるハイブリッドや、フル電動のエレクトリックを追加するなど、常に話題の最先端にいた。ゆえに今回のフルモデルチェンジに対して「もう?」という声が聞こえてくるが、’00年デビューの初代から数えてすでに4世代目(初代をeSPエンジン以前と以降に分けるなら5世代目)であり、モデルチェンジのスパンとしては平常運転と言えよう。
今回のフルモデルチェンジのきっかけは、欧州のユーロ5や令和2年排ガス規制への対応だったという。新設計となったエンジンは、SOHCのまま2バルブから4バルブとなり、ボア径を拡大。また、摺動抵抗を低減するためにストローク量を短縮し、圧縮比を高めている。さらに、ピストンオイルジェットや油圧カムチェーンテンショナーリフターなどの採用も注目に値しよう。これらにより125ccモデルは、厳しい排ガス規制をクリアしながらも12psから12.5psへと微増。また、軽二輪クラスの150は排気量を7cc増やして156ccとなり、車名を「PCX160」に変更。こちらも15psから15.8psへと最高出力をわずかに高めている。
“eSP+”と名付けられたこのエンジン。先のeSPから懸架方式が変更されたことで、フレームも完全新設計に。タイヤ幅は前後とも1サイズずつ太くなり、リヤはADV150と同じ13インチに。ブレーキはリヤがディスク化され、さらに125も含めABSが標準装備となった。
エンジン:燃焼効率向上を目指して新開発
来たるユーロ5に対応しつつ競争力を高めるために、エンジンを新規に開発。現行の2バルブや3バルブなども含めて検討した結果、プラグがセンターにある方が燃焼効率がいいことから、最終的に4バルブが選択された。125と150で共通だったストローク57.9mmは55.5mmとなり、それぞれボアを拡大。圧縮比アップによりピストンがより高温となることから、耐久性を高めるためにピストンオイルジェットを新設した。さらに油圧カムチェーンテンショナーも導入。
シャーシ:乗り心地を徹底的にアップ
快適で上質な走りを実現するためにフレームを刷新。ホイールは新デザインとなり、リヤは14→13インチへ。タイヤ幅は前後とも1サイズアップし、リヤは2名乗車時のみ指定空気圧を225kPaから250kPaへ。リヤサスペンションはレシオを変更し、トラベル量を10mm増やして95mmへ。スプリングは線径を上げて、内側に樹脂ケースを追加して防塵性を高めつつ、外観に力強さを付加した。
装備:コスト度外視で利便性マシマシ
【PCX e:HEV:ハイブリッドも4弁化。先進の専用色をまとう】今回の比較試乗には含まれないが、世界初の量産2輪ハイブリッド車として誕生したPCXハイブリッドもモデルチェンジ。車名を“e:HEV”に変更した。車体色は先代の濃紺から白×青のツートーンに。
ヘッドライト/テールランプともブルーの差し色で純ガソリン車と差別化。さらに先代と同様にスマートキーの色も異なる。
リチウムイオンバッテリーを搭載しているためラゲッジスペースは狭いが、それでも容量は23Lから24Lへとアップしている。
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