●文/写真:ゴーライド編集部 ●答え手:渡辺学先生
オフロードライディングを楽しむためには、いくつかの欠かせないアイテムがある。そうしたアイテム選びのポイントを、『オフロードマシン ゴー・ライド』編集部がプロフェッショナルに聞く。今回のアイテムは「ブーツ」。豊富なモトクロス経験と現在もエンデューロライダーとして活躍中の渡辺学選手に質問してみた。これからオフロードデビューする人はもちろん、なんとなくでブーツを選んでいた人も必見のポイントを紹介するゾ!
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【エンデューロライダー:渡辺学先生】’20年はディフェンディングチャンピオンとしてJNCCシリーズに参戦。’21年も戦い続ける「スキルアップラボ」院長。一方でモトクロスライダーを育成するツイスターレーシングの監督業も兼任。さらに本業であるマナブギョーザも随時承り中! 一度食べたらクセになる味なのだ。マナブ先生は今日もオフロードを走り、ギョーザを焼く。お求めはこちらから、twisterracing.com@gmail.com
ケガしたくないならオフロードブーツ
Q1:スニーカーで林道走行はダメですか?
林道ツーリングといっても、その行程は舗装路の走行が9割以上。それでもオフロードブーツを履いた方がいいですか? スニーカーではダメ?
A1:やっぱりブーツが安心ですよ!
林道が全走行距離のたった1割だったとしても、オフロードブーツを履くことをおすすめします。この1割の林道走行が、ケガをする原因の8割ぐらいを占めると思うからです。
オフロードブーツといっても、モトクロスブーツ/エンデューロブーツ/トライアルブーツ/ツーリングブーツ等、いろいろなタイプが発売されています。僕はずっとガエルネのブーツを履いていますが、林道ツーリングには「EDプロ」がおすすめですね。モトクロスブーツほどではないものの、ライディングシューズよりもプロテクション性が高く、操作性はモトクロスブーツより断然いいからです。それとソールのグリップ力がよく、バイクから降りた時の歩行性のよさもツーリング向きだと思います。
林道の走行割合がもっと少ないというのであれば、「Gミッドランド」「Gアドベンチャー」といったツーリングモデルも、さらに操作性が良くおすすめです。
用途で最低限絞ってからデザインで選ぼう
Q2:ブーツのタイプは好みで選んでもいいですか?
モトクロス/エンデューロ/トライアル/ツーリングといろいろなタイプがあるオフロードブーツですが、そのタイプは自分の好みで選んでしまっていいものですか?
A2:デザインで選ぶのもアリだと思います
気に入ったモノを身に着けると気分がよくなりますから、好みのデザインで選ぶのもアリだと思います!
ただ、ツーリングとレースは分けて考えています。ツーリングでは歩きやすさも多少考慮しますが、レースでは足首のホールド性を重視します。その中で、モトクロスの時はモトクロスブーツ、エンデューロの時はエンデューロブーツを履きます。これはプロテクション性の違いが理由。モトクロスはエンデューロよりレーススピードが速くて、ジャンプの着地で受ける衝撃も大きいので、足を守ることを重視したいんですよね。
あとはソール(靴底)のパターンも大事。モトクロスでは路面に足を着きながら走ることはほぼないので、路面との引っかかりが少ないフラットソールがGOOD。一方エンデューロでは、足を着きながらの走行や、バイクから降りて押すこともあるので、グリップ力の高いエンデューロソールが合っている。そういった点もブーツ選びのポイントになりますね。
歩行時のグリップ力を考慮したエンデューロソール(写真左)と、ソールを路面上で滑らせてコーナリング時の安定性を得るためのフラットソール(写真右)。ライディングスタイルの違いで、ブーツのソール形状も異なるのだ。林道ツーリングの場合はエンデューロソールの方がおすすめ。
ソール交換が可能なモデルで自分好みの一足を
Q3:クロスカントリーとハードエンデューロで使い分けていますか?
エンデューロにはスピードレンジの高いクロスカントリーと難所にアタックするハードエンデューロがありますが、マナブ選手はレース内容に合わせてブーツを使い分けていますか? 使い分けるとしたら、どういう基準ですか?
A3:ソールの変更で対応しています
僕はエンデューロでは「ガエルネSG10」を履いています。ハイエンドモデルの「SG12」はプロテクション性が高くブーツ自体の剛性も高いのですが、僕には少し硬く感じます。でも「ファストバック」よりはプロテクション性が欲しいので。プロテクション性が高ければ硬くなり、硬ければペダル操作性が悪くなりがちなので、このバランスについては実際に試し履きをして自分の好みに合わせるのがいいでしょう。
ハード系のエンデューロでは、エンデューロソールに交換したSG10を履きます。また雨の日などモトクロスソールでは滑るなと感じる時は、エンデューロソールで走ります。立ち止まれなくなりますからね。
写真左から、マナブ選手が愛用しているガエルネSG10(5万1700円)、ハイエンドモデルのSG12(6万9850円)、歩行性も考慮したエンデューロブーツのファストバック(3万9723円)。レースに合わせてプロテクション性を変更しているのがガエルネブーツの特徴でもある。
走行時のスタイルで試し履きすれば確実
Q4:ブーツのサイズ選びのポイントを教えてください
オフロードブーツのサイズはどこに合わせて決めればいいですか?
A4:試し履きでホールド性をチェックしてください!
僕の足のサイズは25cmですが、ブーツは26cmをチョイスしてます。足の指がブーツ内装に当たっていると、足の痛みの原因になり、ライディングに集中できなくなるからです。だから厚いソックスとインソールを使用して、フィット感を高めています。
フィッティングは足首のホールド感のよさで決めています。ブーツ内で足首の位置が決まっていれば、マシンホールドしやすく、繊細なペダル操作がやりやすくなりますよ。こうしたフィット感は、実際にブーツを履いてホールド性をチェックしないと分かりません。同じメーカーの同じサイズでも、モデルが変われば履き心地も変わることもあるからです。
また試し履きをする際は、自分のニーシンガードやニーブレイスを装着しておくといいですよ。プロテクターの大きさによっては、ロングストラップにしないと装着できないこともありますからね。さらにインソールを替えることで自分好みに近づけることもできます。
プロテクター装着を考慮したオフロードライディング用ガエルネロングソックス(価格2090円)。生地も厚手なので、フィット感を高める効果も期待できる。
インソールは力が入りやすくてバランスが取りやすい「IRERUDAKE」というブランドを使用しているマナブ先生。普段履き、トレーニングシューズ、ブーツと、すべてにこのインソールを使用しているというから効果は確かだ。
自分のスタイルに合ったオフロードブーツは必ず見つけられる
自分に合ったオフロードブーツを見つけるためには、とにかく購入前に必ず試し履き。できるならば、走行時に装着するであろうプロテクターやソックスなども持参していくとバッチリだ。そして足首を守るプロテクション性能やソール形状については、林道ツーリングやコース走行など各自の用途に合わせて選ぼう。その上でスタイルに合った好みのデザインで決めれば、自分にぴったりのオフロードブーツと出会えること間違いなし!!
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