軽二輪ネオクラ希少な選択肢

五羊ホンダCB190SS試乗インプレッション【走りで語れる良質ネオクラシックモデル】


●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史

中国の五羊ホンダが’19年6月に発売した「CB190SS」が、バイク館SOXを通じて販売されている。国内4メーカー正規ラインナップの軽二輪クラスにはないネオクラシックモデル、その走りとは?

[◯] 倒立は飾りじゃない! 峠道でこそ進化を発揮

’16年にスポーティネイキッドのCB190R、’19年にアドベンチャーモデルのCB190Xを試乗している私にとって、このCB190SSは期待の1台だ。先の2モデルが共通デザインのアルミキャストホイールを履くのに対し、SSはネオクラシックモデルらしくワイヤースポークホイールを選択。その一方で、フロントフォークにはCB190Rと同様のモダンな倒立式を採用するなど、ややちぐはぐな印象もある。ところが……。

【五羊ホンダ CB190SS】■全長2025 全幅795 全高1090(各mm) 車重146kg ■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 184cc 15.9ps[11.7kW]/8000rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量15.3L ■ブレーキF/R=ディスク■タイヤF=110/70-17 R=140/70-17●色:黒 緑 赤 ●価格:36万9000円

倒立フォークによって形成されるハンドリングが想像以上に楽しいのだ。標準装着タイヤが表記サイズより少し太く見えることもあってか、倒し込みや切り返しはやや手応えがあるものの、このクラス特有の軽々しさを抑えたと捉えることもできる。特に光るのはタイトな下りコーナーで、フロントブレーキを残しながら自由自在にラインを選択できる。このフロントに荷重が移ったときの安心感は高剛性な倒立フォークならではのもので、CB190Rで実績があったからこそ採用したのだろう。これは飾りではないのだと言わんばかりだ。ハンドリング自体はニュートラルで扱いやすく、スロットルのオンオフによってスムーズにピッチングが発生する。荒れたアスファルトでもタイヤのグリップ力が高く、このポテンシャルをオーナーはぜひ峠道で引き出してほしい。

前後のディスクブレーキはキャリパーにニッシンを採用。ABSはフロントのみだが前後ともコントロール性が高く不満なし。制動力もこのマシンコンセプトなら十分だ。

倒立フォークにリンクレスのリヤモノショック、36本ワイヤースポークホイール、前後ディスクブレーキ(ABSはフロントのみ)を採用。

エンジンは184ccの空冷SOHC2バルブ単気筒で、約16psの出力など基本的な仕様は先の2モデルと共通だ。バランサーによって振動は適度に抑えられており、心地良い鼓動感を伝えながらレッドゾーンの始まる9500rpmまでスムーズに吹け上がる。ミッションは5段で、各ギヤの変速比が離れている分だけ息の長い加速感が楽しめる。高速道路では上り勾配の区間でも100km/h巡航を余裕でこなし、オールステンレス製のマフラーが力強いサウンドを聴かせてくれるのだ。

PGM-FIやバランサーを採用する184cc空冷SOHC2バルブ単気筒を搭載。ミッションは5段だ。15.9psの最高出力などスペックはCB190Xと共通。マフラーはオールステンレスで、サイレンサーは車名ロゴ入り。

CB190R、CB190Xと並び、五羊ホンダの最大排気量シリーズにおける第3弾で、初の本格的ネオクラシックモデルだ。カラバリエーションは3種類あり、異なるのはタンクの塗色のみだ。

シート高は未発表だが、足着き性はご覧のとおり良好。ハンドルは絞り気味だが違和感なし。[身長175cm/体重62kg]

やや絞り気味のバーハンドルを採用。ミラーはクラシカルなラウンドタイプ。メーターは指針式の回転計と液晶画面の組み合わせで、左横にはUSBソケットを設けている。

灯火類は全てLED。ヘッドライトは中央と外周にポジションランプを配置。ウインカーは外側に流れるシーケンシャルタイプだ。

15.3Lと大容量のタンクは高輝度塗装仕上げ。シート表皮はダイヤパターンで、車載工具の内容は標準的だ。

五羊ホンダ CB190X
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【五羊ホンダ CB190X】同じく五羊ホンダが販売するアドベンチャーモデルがCB190X で、空冷エンジンやダイヤモンドフレームなどはこれをベースとする。兄弟モデルとしてスポーティなCB190Rも存在。●価格:37万9000円

[△] 不満らしい不満なし。これは侮れないぞ!

シート表皮が少し滑りやすいとも感じたが、これはパンツとの相性もあるので不満にあらず。シート下のスペースが狭いのでETC車載器が入るのかなと思った程度で、本質的な部分は感心することしきり。正規で販売されたらヒットしそうだ。

[こんな人におすすめ] 軽二輪ネオクラが欲しい人には希少な選択肢だ

高速コーナーでは「安定性が高いね」という平凡な感想しかなかったが、つづら折りのタイトかつ荒れた路面の峠道で印象が一変した。初心者にスポーツライディングの何たるかを見せてくれ、まさにネオクラシックの皮を被った秀作だ。


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