ホンダ新型「PCX」「PCX160」「PCX e:HEV」ディテール解説
エンジンは4バルブ化することでバルブ面積を拡大し、吸排気効率を高めることで高出力化を達成。さらにボア×ストロークをややショートストローク化することで、摺動抵抗の低減と圧縮比を高めたほか、ピストン裏側にエンジンオイルを噴射するピストンオイルジェットなどを採用することで高出力化に対応している。油圧式カムチェーンテンショナーリフターの採用やスロットルボディアック大、マフラーの排気抵抗低減なども、力強い走りと優れた環境性能に寄与。
フレームは新設計となり、軽量化を実現しつつ剛性バランスを見直した。フロントまわりはヘッドパイプの角度変化を抑えるために、ねじれ中心を考慮することでスムーズな旋回性能を実現した。リヤまわりは、ヘルメット収納スペースを拡大しつつリヤショックの作動性を向上させるため、リヤショックの固定携帯をブラケットタイプに。また、ハンドルホルダーにラバーマウント構造を採用することで不快な振動を低減している。
シート下ラゲッジボックスは、PCX/PCX160は30Lへ,PCX e:HEVは24Lへと、それぞれ容量を拡大。USBソケットをフロントインナーボックス内に新たに標準装備した。また、標準採用のスマートキーは、純正アクセサリーの「トップボックス 35L スマートキーシステムタイプ」にも連動可能だという。
ABSは従来の有無を選べるラインナップから全車標準装備へ。さらに、ホンダセレクタブルトルクコントロールを新たに採用。エンジントルクを制御することで後輪のスリップを抑制するものだ。このクラスにトラコンは不要というユーザーもいるが、雨天走行中に不意に現れたマンホールや、欧州などでよく見られる濡れた石畳などでひっそりと活躍するためのもの。普段はあって邪魔になるものではなく、価格上昇も最小限なのだから歓迎してもいいだろう。
PCX e:HEVは、新設計のエンジンeSP+にモーターアシストを組み合わせることで、燃費向上というよりは俊敏な加速や低速域のトルク向上と静粛化を両立。走行状況やライダーの好みに合わせて、快適な走行と適度なアシストを両立した「Dモード」と、アシストを強めてよりスポーツ性を高めた「Sモード」の切り替えも可能だ。ボディデザインにも、ハイブリッド仕様独自のブルーを差し色に配し、「e:HEV」専用のエンブレムを装着している。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]パワーユニットは新設計エンジンのeSP+を採用。4バルブ化やショートストローク化によるバルブ面積拡大、高圧縮化、クランクまわりの高剛性化、ピストンオイルジェット機構の採用で出力を向上した。また、油圧式カムチェーンテンショナーリフターの新採用と、ローラーロッカーアーム/オフセットシリンダー/スパイニーシリンダースリーブ/ダブルコグベルトの継続採用によりフリクション低減を追求している。
[出力特性イメージ(左:PCX / 右:PCX160)]124ccエンジンのPCXは、低中速トルクをそのままに高回転側の出力を上乗せ。149cc→156ccとなったPCX160は、排気量拡大の恩恵を活かすことで全域での出力向上を達成している。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]ボア×ストロークはPCX=φ52.4×57.9mm→53.5×55.5mm、PCX160=57.3×57.9mm→60.0×55.5mm(圧縮比11.0→11.5)へとショートストローク化。PCX150→PCX160では149cc→156cc(圧縮比10.6→12.0)と、排気量は7cc(約4.7%)拡大された。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]駆動系では、クラッチの形状変更およびミッションシャフトのサイズアップにより、クラッチの接続特性と振動特性を向上。よりなめらかな発進が可能に。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]吸気経路も新設計され、エアクリーナーからインレットパイプ、そしてスロットルボディ系(φ26→28mm)も拡大。スロットル低開度から力強いドライバビリティを実現するため、あらたに整流板を設けている。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]シート下収納スペースの拡大など、日常の使い勝手をさらに進化させた車体パッケージを実現するため、フレームを完全新設計とした。収納スペースは、PCX / PCX160では30L、PCX e:HEVも24Lに拡大された。ブレーキはフロントのみが作動する1チャンネルABSを全タイプに標準装備。リヤはディスクブレーキを新採用した。
[PCX / PCX160/ e:HEV]リヤサスペンションは、サスペンションがストロークするときのベンディング応力の発生を低減するために、エンジンリンクとサスペンションの取付角度を最適化。レシオを変更することで、アクスルストロークを従来モデルから+10mmの95mmとした。タイヤは従来の前110/80-14、後120/70-14から、前110-70-14、後130/70-13へとワイド化。リヤはインチダウンしながらワンサイズ太くなっているので、外径は保ったままエアボリュームが増し、ストロークアップしたリヤサスとともに乗り心地と接地性の向上に寄与している。。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]フレームは完全新設計。リヤまわりはシンプルな1本のパイプで構成しながら、リヤショックのマウントをブラケットタイプとすることで作動性の向上に寄与する。CAE解析により、各部を構成するパイプ径や肉厚、材質の選定や接合位置を最適化することで、フレーム単体で-760gの軽量化を達成した。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]新たにラバーマウント構造のハンドルホルダーを採用。ラバーサイズ、硬度の最適化と新規エンジン懸架方式により車体からライダーの手に伝わる不快な振動を低減した。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]フロントのインナーボックスにはUSB Type-Cソケット(5V, 3A以下)を新設。従来は12Vのアクセサリーソケットだった。ボックス容量は1.7Lを確保している。
[PCX / PCX160]シート下ラゲッジボックスは容量28L→30Lへと拡大。フルフェイスヘルメット1個を収納可能だ。ちなみにリヤにグラブレールは形状、肉厚を最適化することで-310gの軽量化を達成している。
[PCX e:HEV]e:HEVタイプは23L→24Lの拡大。こちらもフルフェイスヘルメット1個を収納可能だ。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]燃料タンク容量は8.1L。給油時に外したキャップを置いておけるスペースを燃料タンクリッドに新たに設定した。
[PCX]灯火類はフルLED。軽量コンパクト化と省電力化などで各性能の向上にも寄与する。
[PCX]こちらはリヤのテールランプまわり。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]新設計のメーターは大型で視認性のの高い大型液晶を中央に配置し、各種インジケーターをバランスよく配置し、豊富な情報量を分かりやすく表示。また、新たにバッテリー電圧低下警告灯(e:HEVタイプはエラー警告灯)を設定した。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]スマートキーを継続採用し、メインスイッチも引き続きシーソー式。右手元にはアイドリングストップのON/OFFスイッチも。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]各タイプのメーター詳細。
[PCX / PCX160 / PCX e:HEV]Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を新採用。前後輪の車輪速センサーにより、後輪のスリップ率を算出し、スロットルポジションセンサーで検出したスロットルバルブ開度に応じて燃料噴射量制御をおこなう。
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