国内4メーカーの正規ラインナップでは唯一となる、スズキのフルカウル原付二種スポーツ「GSX-R125 ABS」に、ブルー×シルバーのスズキ100周年記念カラーが追加された。3シーズン目を迎えるシリーズの末弟を、ヤングマシンテスター・大屋雄一が初試乗する。
[◯] フロントから強く旋回。水冷シングルエンジンも元気だ
ヨーロッパでは、125cc以下で15psを上限としたA1ライセンスで乗れるカテゴリーが激戦区となっている。おそらく偶然だろうが、ホンダのCB125R、KTMの125デューク、そしてSWMのヴァレーゼ125らが搭載する水冷シングルの諸元を調べると、ボア58mm×ストローク47.2mmというデータが共通なのだ。これが現時点の125ccにおいて基準となるボア×ストローク比と言えそうだが、では今回試乗したGSX-R125はというとボア62mm×ストローク41.2mmであり、これは兄貴分のGSX-R1000Rよりもショートストローク比なのだ。
実際に乗ってみると、確かに8000rpmを超えてレッドゾーンの始まる1万1500rpmまでグングンとパワーが増していく高回転型ではあるが、その一方で低中回転域でのトルクが薄いかというとそうでもない。実用域での力強さは、その領域での扱いやすさを重視した空冷125ccモデルほどではないが、街乗りで不足を覚えることはなし。使うギヤを慎重に選びつつパワーバンドをキープするという、小排気量車ならではの楽しみ方ができ、さらに適度なスロットルレスポンスがスポーツ心をかき立ててくれるのだ。
ハンドリングは、完全にスーパースポーツのそれだ。車体の傾きに対する舵角の入り方が素早く、フロントタイヤにしっかり面圧を掛けながらグイグイと向きを変える。車体のピッチングを生かすなど操縦次第でさらに高い旋回力を引き出すことができ、それに対して標準装着のダンロップ・D102がいい仕事をしてくれる。ただ、気をよくしてペースを上げ過ぎてしまうと、フォークの細さゆえかフロントまわりに頼りなさが出ることも。それに、リヤサスペンションはリンク式のため奥で踏ん張ってくれるが、ショックユニットの減衰力不足が露呈することも。だが、すぐに破綻を来すことはなく、柔軟なフレームが過剰な入力をうまくいなしている。限界域は決して高くないものの、そこに至るまでのバランスが優秀で、誰もがスポーツライディングを楽しめることを称賛したい。
[△] 攻めすぎると減衰力不足だが、この価格なら許そう
先にも触れたが、前後サスの減衰力不足は否めない。だが、車両価格が40万円を切っていることを考えると納得もできるだろう。ブレーキについては、フロントが強力でリヤがコントローラブルと、こちらもスポーツモデルのお手本的な設定だ。
[こんな人におすすめ] 伝統のGSX-Rを名乗れるだけのスポーティさだ
レースベース車としても人気のモデルであり、確かにミニコースを走らせてみたくなる旋回力の高さだ。試乗車の100周年記念カラーは写真から受ける印象以上にインパクトがあり、限定ではないものの欲しい人は早めにゲットを。
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