ヤマハは海外で2021年モデルを発表。これらのうち、クロスプレーンコンセプトの「MT-09」および「TRACER9 GT」、「MT-07」については2021年春頃に国内販売予定と公表されていたが、その後の調査で詳しい発売時期が明らかになった。また、北米発表の「MT-03」の新色も日本への導入が確実視される。
2021年モデルの国内販売予定車は今のところ3機種
ヤマハは、2021年モデルとして欧州と北米で発表したモデルのうち、「MT-09 ABS」と「TRACER9 GT」、「MT-07」を日本で2021年春以降に発売予定と発公表している。また、MT-09 ABSの数日後に発表されたMT-09SPや、北米で新色を発表済みのMT-03についても、日本への導入はほぼ確実と言えそうだ。
欧州では、ほかにもMT-125やXSR700、テネレ700/ラリーエディションのように、2021年モデルをもってエンジンのみをユーロ5に切り替えるモデルも発表。現状でユーロ5適合エンジンへのモデルチェンジが発表されていないXSR900、YZF-R3などについては、2021年末にユーロ5に適合させたモデルを発表するとしている。XSR900はベースモデルとなるMT-09がフルモデルチェンジしていることから、同様に新エンジン&新フレームを得て生まれ変わることになるだろう。
今回明らかになったのは「MT-09」「TRACER9 GT」「MT-07」の日本国内における発売時期だ。ヤマハ公式HPでは2021年春頃とされていたが、本誌調査によれば「MT-09」と「MT-07」については2021年5月、「TRACER9 GT」は2021年6月になるという。また、大掛かりなモデルチェンジではあるものの価格上昇は最小限になりそう、とのこと。
ちなみに北米市場のMT-09はすでに価格が発表されており、従来型の8999ドル=日本円換算で約93万8000円に対し、新型MT-09は9399ドル=換算約98万円と、価格上昇は本当に最小限と言っていいレベル。この価格上昇率を国内現行モデルの102万3000円に掛け合わせると約106万9000円になることから、110万円切りは大いに期待できそうだ。
国内仕様のスペックや装備については正式発表を待って改めて情報をお届けしたい。以下に各機種をダイジェストで紹介しよう。
【Model Change】MT-09 ABS
エンジンの排気量を45cc拡大するとともにユーロ5に適合し、全域パワーアップ。最大トルクの発生回転数を1500rpm下げた7000rpmとし、低回転域のトルクは7%向上した。ピストン、コンロッド、クランクシャフト、カムシャフト、クランクケースなど主要パーツの多くは新設計となり、マフラー込みのエンジン重量を1700g軽量化されている。
電子制御は待望の6軸IMUを搭載した。これは2015年型のYZF-R1が採用していたものよりも50%小さく40%軽い。
フレームは新型のCFダイキャスト・デルタボックスとし、軽量化と強度向上を両立。サブフレームはスチールからアルミへと変更され、フレームと併せて2.3kgの軽量化を実現した。アルミ製ホイールはスピンフォージドという製法で、鋳造素材ながら鍛造並みの強度を持ちながら前後で合計700gの軽量化を達成し、リヤホイールでは完成モーメントを11&減少させている。
LEDプロジェクター採用のヘッドライトなどデザインも刷新。さらに、北米で発表された価格により従来モデルからの価格上昇率も判明し、日本仕様でもリーズナブルな価格設定が期待できそうだ。
【Minor Change】MT-07 ABS
全世界で12万5000ユニットを販売してきたMT-07は、ユーロ5適合エンジンとしながらライトまわりのデザインなどを一新したマイナーチェンジが施された。ヘッドライトはMT-09と共通イメージの“Yシェイプ”と呼ばれるLEDポジションランプをLEDプロジェクターライトに組み合わせ、ウインカーもLEDに。
フレームは従来を踏襲し、並列2気筒エンジンも従来を下敷きにしながらユーロ5に適合した。燃料タンク容量は13→14Lへと増量され、ウイングレットスタイルのエアインテークがサイドに存在感をもたらしている。
【Brand New!】TRACER9 GT
新型MT-09ベースの全面刷新となる2021年モデルの「TRACER 9」および「TRACER 9 GT」は、従来から車名まで一新してブランニューモデルとしての登場だ。スタンダード仕様とGTがラインナップされるが、このうち日本への導入が予定されているのは電子制御サスペンションやコーナリングランプ、クイックシフトを追加装備する上級仕様。電制サスはKYBと共同開発した「KADS(KYB Actimatic Damper System)※Actimatic: ActiveとAutomaticから成る造語」というタイプだ。
エンジンはストロークを3.1mm伸ばすことにより排気量を45cc増大。燃費は従来比9%改善し、3psのパワーアップと0.6kg-mのトルクアップを達成した。新たにアクセルポジションセンサーグリップ=APSG、および完全にワイヤーを排した電子制御スロットルも採用している。
軽量なCFアルミダイキャストフレームはMT-09用に新設計されたものだが、トレーサー9用に専用のチューニングを施し、スポーツツアラーに必要な剛性バランスとした。また、サブフレーム(シートレール)とスイングアームは専用設計で、ホイールベースは新型MT-09の1430mmからトレーサー9は1500mmに。これらにより優れた高速安定性とタンデム居住性を確保している。
ヘッドライトはLEDで、ヤマハのスーパースポーツ「YZF-R1」を思わせる、鋭いポジションランプを組み合わせる。メーターは3.5インチTFTをツイン装備。また、ステップとハンドルバー、シート(ライダー側)はそれぞれ2ポジションに調整可能だ。
XSR900やYZF-R6、YZF-R3はどうなる?
ヤマハは欧州でXSR900やYZF-R3といった、現行モデルやユーロ5に適合していないモデルの一部を2021年末にモデルチェンジすることを明らかにしている。すでにMT-09がフルモデルチェンジしていることから、XSR900に関してはエンジンとフレームを刷新しての登場が期待される。
YZF-R3/YZF-R25に関しては2021年モデルとして国内でも新色が発表されたが、その次がどのようなモデルチェンジになるのかは不明。また、YZF-R6は2020年モデルをもって生産終了、その代わりにR6 RACEなるサーキット専用モデルが登場している。
MT-125YZF-R125、XSR700はエンジンをユーロ5適合に切り替えたのみ。TRACER700はTRACER7と名を変え、GTをバージョン追加した。YZF-R1/Mはすでにユーロ5適合の2021年モデルが日本国内においても発売済みだ。
欧州だけでなく北米でもYZF-R6は販売終了、「R6 RACE」として存続する ヤマハのスーパースポーツファンにはショッキングなニュースだ。欧州および北米でYZF-R6は2020年モデルをもって販売終[…]
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
↓↓追加情報が出ました↓↓ 排気量は3.1mmのストロークアップで847→890ccへ|IMU+電子制御スロットル採用 欧州ヤマハは新型MT-09を発表。エンジンは排気量を45cc拡大するとともにユー[…]
↓↓続報はコチラ↓↓ 北米価格は7599(約79万5000円)→7699ドル(約80万5000円)、日本でも価格上昇は最小限か ヤマハは欧州および北米で新型「MT-07」を発表! 今までに全世界で12[…]
各部をブラックアウトし、ダブルステッチのシートやシルバーアルマイトのスイングアームも ヤマハは欧州で新型「MT-09 SP」を発表した。先日発表されたばかりの新型MT-09をベースに特別装備を与えたモ[…]
トルクフルな新890ccエンジンに新設計フレーム、独自製法の軽量ホイール ヤマハはMT-09、MT-07に続いて2021年モデルの「TRACER 9」および「TRACER 9 GT」を欧州で発表した。[…]
人気のブルーは継続販売、価格は据え置きでABSが標準装備に ヤマハは普通免許で乗れる人気のスーパースポーツモデル「YZF-R25 ABS、YZF-R3 ABS」に新色を設定。継続販売のブルーと合わせて[…]
最新の記事
- ホンダが電動トライアルバイク「RTLエレクトリック」で全日本トライアル参戦! ライダーは元世界チャンピオンの藤波貴久
- 独尊の水冷V型2気筒クルーザーに待望の250が登場! ヒョースン「GV250」シリーズ3機種を一挙発売
- ヤマハの新型モデル「YZF-R9」日本発売は2025年春以降! ウイングレット装備の3気筒スーパースポーツ
- 【正式発表間近】カワサキが「W230/メグロS1」「KLX230/S/SM」の発売時期を明らかに!
- 【SCOOP特別編】ホンダ新型CB400は…こうなる!! プロがその姿を大胆予想〈③装備&デザイン編〉
- 1
- 2