●文:ヤングマシン編集部(沼尾宏明)
専用のMパーツ満載! エンジン&電気にも+α
BMWの旗艦スーパースポーツ・S1000RRに、究極スポーツ版「M1000RR」が誕生した。従来もMパフォーマンスと呼ばれるオプションパーツや、それらで武装したMパッケージというグレードが存在したが、車名に”M”を冠した今回の仕様はまさに別格だ。
【’21 BMW M1000RR M MOTOSPORT/M COMPETITION PACKAGE】300km/hでダウンフォース値=16.3kgを発生する。 ●国内参考予定価格:500万円 ●発売時期:’21年初夏
【”M”=BMW伝統の特別仕様】BMWの4輪車において’70年代から続くモータースポーツ向け特別仕様がMモデル。妥協のない造り込みが特徴で、今回初めて2輪に設定された。
そもそもMモデルとは、BMWの4輪車に代々設定されてきたモータースポーツ向け高性能バージョン。本作もエンジン内部と車体を根本から磨き上げてはいるものの、サーキット専用のHP4レースと異なり、公道走行が可能。SBKの公認取得マシンとして投入し、勝利を狙うのが目的だ。
変更点はとにかく膨大! エンジン内部は専用パーツで軒並み変更され、最高出力は5ps増の212psに到達。レブリミットも500rpm上乗せの1万5100rpmに高めた。
パワーカーブは6000rpm以降ですべて上回り、ピークでもキッチリ上乗せ。最大トルクは変わらないが、中速域以降で厚みを増している。いずれも実戦向けの特性だ。
車体にはBMW初のウイングレットを投入。カーボン製のダクト形状で、なんと50km/hの低速域からダウンフォースを発生。300km/hでは前後で計16.3kgもの荷重を生み出す。実際、スーパーストック選手権参戦ライダーのテストタイムは、スペックで上回るSBKワークスマシン&ライダーと比べ、わずか2.1秒落ち。いかにウイングが効果絶大かが窺える。
電脳は最新の6軸IMUを採用。走行モードは既存の4種類に加え、レース向けの3パターンを追加。スロットルレスポンスの2段階切り替えや3段階のエンジンブレーキ調整なども可能だ。
さらにカーボンホイールを標準装備し、足まわりや各部の車体ディメンジョンも専用だ。これらの過激な内容ながら、USB電源や追従式クルーズコントロール、グリップヒーターは健在の模様。公道の快適性も損なわないのはさすがBMWだ。
【独特な形状のMウイングレット】BMW初のダクトウイングはカーボン製。独特な”M”字形状が低速から車体安定性に寄与し、最高速も犠牲になっていない。
【専用トップブリッジにアナログサスペンション】左が「M1000RR」で右が「S1000RR」。上下クランプは専用のアルミ削り出しで20g軽量化され、メーターはメインキーONで”M”のロゴが表示される。フロントフォークは26.5mmオフセットされたマルゾッキ製φ45mm倒立。RRの電子制御サスペンションに対して機械式となり、リヤサスペンションも新設計だ。前後トラベルはフロント=120mm/リヤ=118mm(RR:117mm)。
【内部パーツを軽量化】チタン製の吸排気バルブ&コンロッドのほか、軽量化したロッカーアームを新採用。2本リングのアルミ鍛造ピストンや吸気ポート、可変ファンネルも新作だ。
【純正風もアクラポビッチ】マフラーは一見して純正風だが、アクラポヴィッチのチタン製。トータルで計7780gと圧倒的に軽い。レース用キットも販売予定だ。
強化型のMブレーキ】4輪Mシリーズと同様にロゴが入る新設計キャリパー。ニッシンとの共同開発でRRよりも約60g軽量。ピストンには熱に強い亜鉛ニッケルコートを施す。
【Mパーツは質感も魅力だ】外装パーツは細部に至るまでカーボンを奢り、”M”のロゴ入り。見事な高級感だ。ステップは最新の回転アジャスタブル式となる。
【性能&品質抜群のMパーツでフル武装】エンジンは新設計パーツがテンコ盛り。0.1g単位で軽さを追求し、さらなる高回転化を実現した。軽いMキャリパーやMカーボンホイール(Mコンペティションパッケージ)、3657gの軽量化を達成したマフラーなどにより、全身では5kgマイナス。キャスター角の変更やリヤアームの延長で、軸間距離は17mm増となった。さすがにこの内容だけに、予定価格は500万円にアップしている。
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