●文/写真:ヤングマシン編集部(輪/田中淳磨)
新指導要項に基づいた県教委から各校へのサポート
’20年10月13日、埼玉県教育委員会において高校生の自動二輪車等の交通安全に関する指導について報告があった。内容は、’19年の7月から12月までに行われた県内の5地区6回(秩父は参加生徒が多いので2回開催)に及ぶ講習内容と実施状況、その際に生徒が記入したアンケートの結果、さらには県内高校生の交通事故死傷者数の報告や2月に開かれたモニタリング組織による検証までを含んでいる。埼玉県が三ない運動をやめて”乗せて教える”教育に切り替えた初年度の振り返りが報告されているのだ。資料の冒頭には、改訂された指導要項も掲載されており、今回はその内容についても触れつつ、不明点についても紹介したい。
まずは、下記の’19年4月に施行された新しい指導要項を読んでほしい。’16年12月から9回にわたって開催された「高校生の自動二輪車等の交通安全に関する検討委員会」で議論された内容が踏まえられている。これは県教委から各校に通達されたものであり、各校はここにある大枠に従って、生徒や保護者への対応をしている。
高校生の自動二輪車等の交通安全に関する指導について
1. 高校生の自動二輪車等の交通安全に関する指導要項(平成31年4月1日施行)
(1) 目的
本指導要項は、高校生の原動機付自転車および自動二輪車(以下「自動二輪車等」という)の交通安全に関する基本的な事項について定め、高校生の命を守り、充実した高校生活を通じて高校生の健全育成を目指すことを目的とする。(2) 交通安全指導
ア 県教育委員会は、生徒が在学中のみならず生涯にわたり交通事故の当事者とならないよう、学校における交通安全指導の充実を図る。
イ 各学校では、本要項の目的等を踏まえ、生徒および保護者に対し、交通安全指導を実施する。(3) 自動二輪車等の運転免許の取得、車両の購入および運転
ア 自動二輪車等の運転免許の取得、車両の購入および運転を希望する生徒は、保護者の同意のもと、学校に書面をもって届け出る。
イ 学校は、生徒およびその保護者に対して、面談等を実施し、交通社会の一員となる自覚や高校生としての本分、保護者の責任等について説明し、共通認識を図る。
ウ 自動二輪車等の運転免許取得等の具体的な手続については、別途定める。(4) 自動二輪車等による通学
ア 次のいずれかの場合に限り、校長は、自動二輪車等による通学について許可することができる。
・通学に関し、利用しうる適当な交通機関がなく、かつ、遠距離のため自転車通学が困難である場合
・その他特に校長が必要と認める場合
イ 通学用の自動二輪車等は、原則、原動機付自転車(排気量50cc以下)とする。
ウ 通学に関する手続については、別途定める。(5) 交通安全講習
ア 各学校は、運転免許取得等の手続に従って、運転免許取得者等を把握するとともに、県教育委員会等で主催する自動二輪車等の交通安全講習の受講を積極的に促す。
イ 交通安全講習の詳細は、別途定める。(6) その他
埼玉県教育委員会
ア 本指導要項の施行の日において、自動二輪車等の免許を取得している者については、本指導要項で定める各種届出等の手続を行わせる。
イ この指導要項に定めがないことについては、各学校において定めることができるものとする。
さて、読んでいると気になる点がある。それは、免許取得とバイク通学に関する手続きについて「別途定める」という言葉だ。これは県教委から各校へ手続きに関する通知が出ており、それに準じて学校ごとに定められているということ。その通知に関しては、免許取得届/取得報告書/購入等報告書/運転誓約書/通学許可願等があり、原付バイク用と自動二輪車用、それぞれに様式がある。県教委は各校に対して、これらの書類のひな型を送付しており、各校がそれを活用しているのだ。この”ひな型”というものはとても重要であり、検討委員会でも教育現場へスムーズに落とし込むためのツールとして議論されていたものだ。
また、県教委は、免許取得/バイク購入時に使用する、学校側と生徒/保護者との面談用チェックリストや交通安全リーフレットも送付している。三ない運動を長く続けてきた学校現場が混乱しないよう、各校へ手厚いサポートがなされているのだ。こうした県教委の尽力も評価すべき点だ。
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