二輪車利用環境改善部会レポート#26

三ない運動をやめて交通安全教育に転換した埼玉県。高校生向け運転講習が2年目に

三ない運動を撤廃し、保護者同意のもと学校への届け出制とすることで、原付・自動2輪車に関わらず高校生でも免許を取得し乗車できるようになった埼玉県。’19年度から実施されている交通安全講習は新型コロナ禍のなか2年目を迎えた。

今年度は新型コロナウイルスの影響もあり、8月初旬から12月下旬の間で全6回の開催が予定されている。感染対策としてマスクの着用や検温/消毒が徹底されるなか、8月3日には第1回となる秩父地区(参加者が多いため2回に分けられる)で、8月6日には第2回となる東部地区で開催された。県西部に位置し山間地でもある秩父地区では110名ほどが、春日部、越谷、羽生、蓮田、三郷といった東部地区では36名が参加した。

講習の内容は基本的には前年度を踏襲しているが、2輪車事故の傾向を鑑みて、教習所内の見通しの悪い交差点を使用し、出会い頭事故を防止するための項目が設けられた。一時停止してからしっかり覗き込むように左右を確認、それから右折するというものだ。’19年の埼玉県では高校生1名が2輪車事故で亡くなったが、こうした事故の傾向や対策といったものが実技/座学ともに取り入れられている。

また東部地区では、バイクを所有していない/乗ってこなかった(教習所でも貸せなかった)という生徒が10名以上となったため、まとまった数の生徒を相手に座学による安全運転講習が行われた。パンフレットと講習映像を教材に、ヘルメットのあご紐の締め方から加速・減速の仕方、カーブの曲がり方、さらには危険予測まで、コース内で行われている実技とほぼ同じ内容を講習することができた。

なお、新型コロナ禍中の開催だったため、救急救命法に関する講義の実技は行われなかった。AED等の器具を使い回すことの危険性を考慮したもので、代わりにスライドや講習映像を使った講義が行われた。

新型コロナ禍において講習内容に制限を受けた部分もあるが、安全運転は必要至急。次回も引き続きレポートしたい。

秩父中央自動車学校で開催された秩父地区・第1回目の様子。定時制を除けば県内でバイク通学が許可されている唯一のエリアだ。

感染対策は万全。来場時には生徒に対して、非接触型の体温検知器を使い検温を行った。消毒液も各所に設置。

運転講習の前には車両の点検が行われた。タイヤの空気圧が低い、タイヤの溝が少ないなど足回りは特に入念に。写真は指導員に空気を入れてもらう女子学生。

’20年度から追加された、見通しの悪い交差点での出会い頭事故を想定した危険予測講習。一時停止と左右の確認をしっかりしてから右折。

免許を取得したがバイクに乗っていない/バイクに乗ってこなかった生徒に行われた、座学による安全運転講習。とても重要な取り組みだ。

座学講習ではヘルメットのあご紐の正しい締め方から教わった。バックルタイプを使っている生徒の中にはDリングタイプを正しく使えない子も。

救急救命法は感染対策から実技はなく映像講習となった。ソーシャルディスタンスを考慮して着席。

実技に代わる映像講習は定着性が高いと言われている。


●文:田中淳磨(輪) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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