[◯] 誰もが体感できる圧倒的な安心感と速さ
ツインリンクもてぎで開催されたCBR1000RR-Rの試乗会に参加した日の夜、筆者はなかなか眠れなかった。その理由は、ライディング中の興奮が頭と身体に残っていたからで、「5コーナーの立ち上がりは最高に気持ち良かった」「ヘアピンは途中から上手く回れるようになった」などとニヤつく一方で、「ダウンヒルストレートはもっと開けられた」「90度コーナーはビビッていた」という反省もあって、脳内はぐるんぐるん。
いずれにしても試乗会の後に、こんな気持ちになるのは初めてで、RR-Rは僕のような普通のライダーでも「スゴい!」「ありがたい!」と言いたくなる性能を備えていたのだ。なお今回の試乗会の前に、僕はこのバイクで公道を約1000km走り、あまりに市販レーサー然とした乗り味に、そこはかとない疑問を抱いていた(ライポジがツラすぎる)のだが、国際格式のサーキットを走ることですべてが腑に落ちた気がした。
圧倒的なパワーやMotoGPレーサーを彷彿とさせるウイングレットなど、RR-Rはとにかく話題が多いモデルだが、実際にサーキットを走った僕が感動したのは、”超”が付くほど絶大な安心&安定感である。
具体的には、ストレートでの全開加速中にフロントが何度も浮きそうになっても、コーナー手前でかなり強引なシフトダウンをして、ヤバイ!と感じる速度で旋回姿勢に入っても、フルバンクからどんなに豪快に誰もが体感できる圧倒的な安心感と速さアクセルを開けても、RR-Rは破綻の気配を見せないのだ。だから乗り手としては、どんどん新しいことにチャレンジしたくなる。意外なことに、旋回性には軽快とかシャープといった雰囲気はないのだけれど、この件に関しては「安定性は十分以上に確保してあるから、曲がるほうはライダーの技量で何とかしろよ」ということなのだと思う。
ちなみに、RR-Rには3種のライディングモードが存在し、最もヤル気の”1″とやや穏やかな”2″は、公道では大差とは思えなかった。ところが、サーキットでは完全な別モノ。開発のメインとなったトラック用の”1″のほうが、圧倒的に走りやすかった。
[△] ブレーキの不満は乗り手によりけり?
周回を重ねるうちに、ブレーキタッチがやや曖昧になって来たことは、少々気にならないでもない。もっとも試乗会に参加していた他のエキスパートライダーからそういう意見は出ていなかったので、これは筆者の技量の問題なのだろう…。
[こんな人におすすめ] サーキットでタイムアップを目指す人に最適
ストリートがメインのライダーに推奨しないが、サーキットでタイムアップを目指すライダーにとって、RR-Rは現時点で最高のバイク。基礎体力が高いから、サーキット用として仕立てる費用も、ライバル勢より安く済むはずだ。
●まとめ:中村友彦 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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