欧州ヤマハは、テネレ700(Ténéré 700)にラリーエディションを設定し、2020年7月から発売すると発表した。懐かしい“ソノートヤマハ”のカラーリングを踏襲し、ラリーシートやアクラポヴィッチ製マフラーで装備を固める。オマージュするのは、1979年の第1回パリダカールラリーで優勝し、翌年も連覇を遂げたXT500だ。
モチーフは1982年のXT500、ソノートヤマハ仕様のファクトリーマシン
ヤマハのテネレ700は、MT-07系の689cc並列2気筒エンジンを新設計フレームに搭載したアドベンチャーマシン。2020年7月31日に日本で発売予定だが、欧州ではやや先行して発売されていた。実車に乗ってみたいと気がはやるところだが、欧州では早くも上位モデルとして「ラリーエディション(Rally Edition)」が発表された。
現在は南米やサウジアラビアで開催される「ダカールラリー」だが、元々は「パリ・ダカールラリー(通称パリダカ)」であり、フランスのパリを出発し、セネガルにあるアフリカ最西端の街・ダカールを目指すラリーレイドとして始まったもの。1979年の第1回から1980年代にかけては、現在のように競技色の強いものではなく、同じゴールを目指すアドベンチャーツーリングという雰囲気が色濃かったという。
ヤマハは伝統的にパリダカへの関わりが強く、第1回と第2回を連覇したのは現在のSR400の先祖でもある、空冷単気筒に2本ショックのリヤサスペンションを備えたXT500だった。この頃のマシンの、市販車にビッグタンクを装着し、前後足まわりを強化したような、シンプルなたたずまいは、今見ても美しい。
XT500は1982年までパリダカに参戦し、1983年に登場したXT600テネレの開発に大きな影響を与えた。のちに2気筒ライバル勢の台頭から1989年には水冷並列2気筒のXTZ750スーパーテネレが誕生しているが、古き良き時代のパリダカマシンといえば、やはりXT500の姿が瞼に浮かぶファンも多いのではないだろうか。
そんなXT500の1982年仕様のファクトリーマシンをオマージュしたのが、今回発表されたテネレ700ラリーエディションだ。“ソノートヤマハ”イメージののブルー×イエローにスピードブロックグラフィック、ゴールドリムで彩られた遺産的カラーリングに、ラリーシート、タンクグリップパッド、オフロード向けハンドルグリップを装備。アクラポヴィッチ製スリップオンマフラーにより、軽量化と豊かなサウンドを実現した。スキッドプレート、ラジエターガード、チェーンガードと、マシンプロテクションも万全だ。
パリダカのヒーローだったジャン・クロード・オリヴィエや、セルジュ・バクーが走らせた往年のマシンのエッセンスを取り入れたTénéré 700 Rally Editionは、欧州の各ディーラーで2020年7月より発売。イタリアにおける参考価格は1万1399ユーロ(STDは9799ユーロ)で、日本円で言えば137万円強となる。日本ではSTDの発売日が2020年7月31日となっているが、いずれラリーエディションの導入もあり得るのか、気になるところだ。
YAMAHA Ténéré 700 Rally Edition [2020 model]
【Ténéré 700 Rally Edition [2020 model]】主要諸元■全長2370 全幅910 全高1455 軸距1595 シート高875(各mm) 車重204kg(装備)■水冷4ストローク並列2気筒 689cc 73ps/9000rpm 6.93kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=90/90R21 R=150/70R18 ●イタリア価格:1万1399ユーロ(137万円強) ●欧州発売時期:2020年7月 ●日本への導入:未発表
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