東モ参考出品車を徹底解剖

’20カワサキ Ninja ZX-25Rスタイリング解説【250cc4気筒の復活を待て】

脳天を貫くフォーミュラサウンド、2万rpmに迫る超高回転域…。長らく途絶えていたハイメカの極致、250cc4気筒が現代に甦る。2019年東京モーターショーで発表されたカワサキNinja ZX-25Rは、ヤングマシン本誌では’20年10月頃の発売を予想。モーターショー以来、新情報がなかなか出回らない状況ではあるが、ここであらためて現時点で判明していることをまとめておこう。まずはクラスを超越した造形美にあふれるスタイリングから。


●まとめ:沼尾宏明 ●写真:真弓悟史、編集部 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

よりシャープで軽快なZX系のイメージに

2019年の東京モーターショーで展示されたカワサキNinja ZX-25Rの車両は、参考出品ながらまるで量産車のような完成度だった。まず目を惹いたのは、4気筒ながら車体がスリムである点。さすがに2気筒よりサイドのボリュームはある印象だが、コンパクトで扱いやすそうな雰囲気だ。

加えて、Ninja 250より一段と高級感や鋭さが増した点に注目。デザインは最新Ninjaシリーズの流れを汲むものだが、同じNinjaと言えどカワサキではNinja 250や650などを「ファンライドスポーツ」、Ninja ZX-10Rや6RらZX-R系を「スーパースポーツ」として区分している。後者に属するZX-25Rは、Ninja 250比でミドルカウルやサイドカバーの面積を減らして一層軽快になった。

さらに大型クラスと同様の足まわりはもちろん、センターダクトとトガッた形状のアッパーカウルがクラスレスの高級感とスポーティさを主張している。

【KAWASAKI Ninja ZX-25R(参考出品車)】主要諸元 ■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 249cc 出力ほか未発表 ■ハイテンスチール製トレリスフレーム ■フロントサスSFF-BP ■リヤサスホリゾンタルバックリンク ■ブレーキFシングルディスク+ラジアルマウントモノブロックキャリパー ■タイヤF=110/70R17 R=150/60R17 ■電子制御KTRC(カワサキトラクションコントロール)、KQS(カワサキクイックシフター)、パワーモード ●参考出品車 ■本誌予想税込価格:KRT98万円 ■車体色:KRTカラー(ライムグリーン系)■本誌予想発売時期:’20年10月頃

本格250SSに相応しいキレ感のあるサイドビュー

低く構えた面構えからリヤに向かって伸び上がる、まさにスーパースポーツ然としたスタイル。逆スラントノーズとキバ状のチンスポイラーは、H2を筆頭にNinja250、ZX6Rらと同様のイメージながら、複雑な面構成を施す。また、サイドカウルの面積を減らし、シートレールが露出するデザインとしたのが特徴。ミドルカウルからテールまでカバーで覆ったNinja250より一層シャープで軽快なイメージだ。

また、サイレンサーを車体下に収めた、近頃珍しいミッドシップマフラーを採用。リヤビューのスリムさとNinja250より一段と引き締まったテールが際立つ。同時に湾曲スイングアームをアピールできるデザインとなっている。なおサイドのハニカム柄は、’20年型Ninja250やZX-10Rらも採用する。

ボリュームはあるがスリム。タイヤはラジアル標準

ZX-25Rのフェイスは、鋭い2眼にZX6Rを思わせる額部分のダクトが印象的。スクリーンはSSらしく若干小ぶりで、高さも抑えめ。下部はNinja250と同様抜けており、走行風をライダーに流す。横幅は2気筒のNinjaより張り出しているが、十分スリムだ。

タイヤは前後ともダンロップ製ラジアルのGPR-300。250SS勢で唯一ラジアルを履くCBRに並ぶ装備となり、25Rの本気度が窺える。前輪は他車と同じ110/70R17ながら、リヤはワンサイズ太い150/60R17。リヤビューの迫力も十分だ。

クラスを超越。手の込んだ造形美

見る角度で表情を変える複雑な面構成

ヘッドライトはNinja250と似た4灯LED+下部にポジションの構成だが、目尻は一段と鋭い(点灯状態は不明)。多面的なエッジ構成と、トガッたサイドのアッパーカウルにより、見る角度によって大きく印象が異なる。

センターのダクトはラムエアと判明

中央のダクトはラムエアであることが判明した。’89ZXR250が当時珍しいラムエアを搭載し、ライバルと差別化を図ったが、現代でもカワサキがクラス唯一の装備を与えることになるだろう。

ビルドインウインカーは踏襲

前ウインカーはNinja250と同様、ビルドインタイプ。250フルカウルではNinjaのみの装備だ。電球はリヤと同様ハロゲン。

個性的なサイド側ダクト

ハンドル下方に、蜂の巣グラフィックに似たダクトが4つ並ぶ。25R独特の意匠で、エンジン上部の熱気をサイドに逃がす役目を持つハズ。4つなのは「4気筒」を意識している?

快適性を高める大型インテーク

サイドの左右に、Ninja250にはない大型のエアインテークを備える。走行風を積極的に取り入れ、直4エンジンの冷却に活かす構造、もしくは熱を外側に逃がす設計と思われる。

スポーツするために最適化されたタンク形状

筋肉質なタンクは恐らく専用設計。Ninja250より高さが抑えられ、形状も滑らか。スポーツ走行を想定したデザインで、上体が伏せやすく、ハングオフした際に外ヒザを引っ掛けやすそうだ。容量は未発表。

スーパースポーツ譲りのシートレイアウト

テールとの段差が深く、大型のシートストッパーを装備。ライバルよりSS然とした設計だ。シートはフラットかつ後方が広く、自由度が高そう。シートは肉厚も確保され、座り心地は良好だろう。

ZX-10Rと同様のLEDテールライト

テトラポット型のテールライトもLED。旗艦ZX-10Rと同じユニットと思われる。一方、ウインカーはクリアレンズ+オレンジの電球式でコストを抑制。東南アジアがターゲットのせいか、この辺のバランスが興味深い。

官能の250cc4気筒・カワサキ Ninja ZX-25Rが’20年に復活! 次ページでは核心となる心臓部・エンジンまわりについて解説する。お楽しみに。

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