約35年の歴史に幕が下りる

ヤマハ セロー250はこのまま消えてしまうのか?【ファイナルエディション発売】

225㏄時代/250㏄時代を合わせて約35年の歴史を持つヤマハ セロー250の生産終了というニュースは、バイク業界および一般ライダーの間で衝撃をもって受け留められた。その最終モデル・ファイナルエディションは豪華装備を盛り込んだ特別仕様。新車を手に入れられる最後のチャンスとあって、人気が集中することが予想される。


●文/写真:谷田貝洋暁 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

登場から35年。ヤマハのラインナップでもロングセラーのセローがついにファイナルを迎えることになった。二輪二足で野山に分け入るマウンテントレールという新しい文化を日本に持ち込んだセロー。その軽さ、扱いやすさ、足つき性からオフロード、ひいては、オートバイそのもののエントリーモデルとして愛されていただけに、これでファイナルとはとても残念なこと。 

生産終了という決断は、今後たて続けにやってくる灯火器やABS、排出ガスといった各種規制に対して、セローらしさを保持したまま現実的な価格で提供するのが難しくなることが最大の理由だ。

【YAMAHA SEROW 250 FINAL EDITION】主要諸元 ■全長2100 全幅805 全高1160 軸距1360 シート高830(各mm) 車重133kg(装備) ■空冷4スト単気筒 249cc 20ps/7500rpm 2.1kg-m/6000rpm 変速機5段 燃料タンク容量9.3L ブレーキ形式F=ディスク R=ディスク タイヤサイズF=2.75-21 R=120/80-18 ●色:パープリッシュホワイトソリッド1(ホワイト/レッド)、パープリッシュホワイトソリッド1(ホワイト/グリーン) ●価格:58万8500円

2018年モデルと構造的な仕様は変わらないが、フレーム塗装をはじめとするスペシャル外装がほどこされ、価格は従来モデルの57万5300円から1万3200円高となる。

【ヤマハツーリングセロー】スクリーン&ベー ス、ハンドルガード、大型キャリア、アン ダーガードの純正オプションを装備したアクセサリーパッケージで3万円以上お得! ●価格:64万4600円

果たして、ヤマハから「セロー」というブランドは消えてしまうのか? それとも新たなセローが誕生する可能性があるのか? 今後の展開について関係者は「このエンジンと車体での新しいセローはない」と語る。よって、’18年型でカムプロフィールや圧縮比、サイレンサーなどの変更を施してより熟成度を増したこのパッケージを、新車で買うチャンスはこれが最後となるのだ。 

【(左)初代’85セロー225 (右)’20セロー250ファイナルエディション】野山に分け入るためにセルスターターなしで、乾燥重量98㎏の軽さを誇った初代。250化してからもFI 化など様々な熟成がはかられた。

さて、このファイナルエディション。やはり目新しいのは1985年に登場した初代を彷彿とさせる緑&赤のカラーリングだ。初代と同じように、フレームまで赤と緑に塗装されておりスペシャル感は満点! 担当デザイナーの太田晴美さん曰く、「赤は、インターカラーのイメージや戦闘的なイメージが強くなりすぎないように注意した」という。グラフィックも「線が途中でなんども折れ曲がるようなデザインはレーサーではできませんが、この『山型フローライングラフィック』はセローならではの手法ですね」と語る。特徴的なフレームのカラーリング発色が各部位で塗装部門ごとに差が出てしまい、同調させるのに苦労したとか。

上がって下がってまた上がるグラフィックデザインは、“マウンテントレール”らしく山並みのシルエットがモチーフ。

メインフレーム、リヤフレームも特装色。塗装層を増やした柔らかみのある発色が特徴。“ 苦労した” 色味だけにかなり特別感がある。

セローのアイデンティティ=持ち手でありガードでありフックポイントでもあるハンドルスタンディングも特装色。

上面にディンプル加工が施された仕様は変わらないが、赤は縁に赤パイピング。緑はサイドの表皮がシルバーとなっているシート。

また、このファイナルエディションには225時代を象徴するカモシカマークをモチーフにしたエンブレムがタンクに配される。

タンクには、225世代にはおなじみのカモシカマークのファイナルエディション立体エンブレムを装着。

セローファイナルエディションまでの系譜

’85 セロー225:乾燥重量103kgで登場

軽さのためのセルなし、荷重のかけやすいステップ位置、激下りでエンストさせて使うデコンプレバーなど、”走る、曲がる、止まる”性能に加えて、マウンテントレールとしての”登る、下る、転ぶ”を徹底追求。●223cc/20ps

’00 セロー225:225cc時代の最終型

セルスターター装備、燃料タンクの7.6L→8.8L→10L増量、リヤのチューブレスタイヤ化、リヤブレーキディスク化などなど、無印→W→WEと15年かけて”深化”してきた225世代の集大成。●223cc/20ps

’05 セロー250:排気量改変

高速道路100km/h 化時代の到来など、時代に即するため250ccの新型エンジンを搭載し、舗装路での性能を強化。現代のプラットフォーム戦略の先駆けであり、トリッカー、XT250Xといった兄弟モデルとともに登場。●249cc/21ps

’08 セロー250:FI搭載

排ガス規制に対応するため、キャブレターを廃してフューエルインジェクション化しディスコンを回避。この当時、ヤマハのFIセッティングの技術は群を抜いてよかった。またトレール量も見直されている。●249cc/18ps

’18 セロー250:キャニスター装備

一度カタログ落ちするも、キャニスターを装備し復活。カムシャフトや圧縮比、ECU、テールまわり、サイレンサー内部構造など、実はかなりの箇所を改変しており、登場までに時間がかかった。●249cc/20ps

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