素材を傷つけずに汚れやサビを落とす

環境に優しいレストア方法「重曹ブラスト」による絶版バイク復活術

  • 2020/1/13
EZブラスト

レストア作業に欠かせない車体やパーツのサビや汚れ落としを効率的に行うために、専用の機械でエアーや水でガラスビーズなどをパーツに吹き付け研磨する「ブラスト」作業。本稿では、水に溶ける性質を持つ重曹メディアを使用する「EZブラスト」を紹介する。吹き付ける粉体メディアは人体に無害で、もちろん環境にも優しい。ドライ/ウェットのどちらでも使用できる特徴を持ち、幅広い使い方ができる。

●文:モトメカニック編集部 ●写真:たぐちかつみ(モトメカニック編集長)●取材協力:EZブラストジャパン

「水に溶ける」重曹を使った洗浄の特徴とは?

食品添加物や入浴剤、医薬品にも使われている炭酸水素ナトリウム、いわゆる重曹の粉末によって洗浄を行う「EZブラスト」。ブラストと聞くとアルミナやガラスビーズを思い浮かべるサンデーメカニックも多いだろうが、重曹を用いることで既存のブラストとは異なる価値が生まれる。

その特徴は「そこそこの研削力のメディア」が「水に溶ける」こと。塗装の剥離やサビ落としが目的なら、研削力は強いに越したことはない。しかしアルミナやガラスに比べて柔らかい重曹は相手素材に食い込まず、エンジン内部のカーボン汚れやクロームメッキ表面のくすみや赤さびだけを除去できるのだ。

またEZブラストはドライ/ウェットのどちらでも使用可能で、水道水を併用したウェットブラストとして活用すれば、吹き付けたメディアを溶かしながら流せる。これがシリンダーヘッドの燃焼室やポートのカーボン除去やキャブレターの洗浄に絶大な効果を発揮する。

バイクやクルマはもちろん、建築物や船舶関係の洗浄などメディアの回収が難しい作業でも活用されているEZブラスト。メンテナンスやレストアの強力な助っ人になるのは間違いない。

EZブラスト使用中

不溶性のメディアを用いたブラストでは残留分が心配。だが重曹メディアなら、お湯洗いで完全に溶解するため摺動部や潤滑経路にも安心して使える。

重曹メディアは表面汚れを除去して素材のありのままの質感を蘇らせる

アルミナが下地を研削し、ガラスは表面に光沢を与えるのに対して、重曹メディアは表面汚れを除去して素材のありのままの質感を蘇らせる。重曹メディアによる塗装の剥離も可能だが、作業時間とメディア消費量を考えたらアルミナの方が現実的。

ガラスビーズほど硬くないから摩耗の心配は不要

硬いカーボンが付着したピストントップやブローバイガスで焼けたリング溝も一瞬でクリーニング。ガラスビーズほど硬くないから摩耗の心配は不要だ。

クロームメッキパーツの洗浄とサビ落とし

クロームメッキパーツの洗浄とサビ落としでは、ウェット仕様のEZブラスト効果が顕著に表れる。ケミカル+ウエス手磨きでは時間は掛かるし磨き傷も付くサビ落としがあっという間にできて感動!

ガソリンタンク専用ノズルで快感のサビ取り効果

ガソリンタンクのサビ落としで、ケミカルの前段階でEZブラストを使う。専用ノズルでタンク天井の給油口付近を狙い撃ちすれば快感のサビ取り効果!

船舶メンテナンスにも最適

停泊中に張り付くフジツボや水あか、デッキの洗浄は船舶のメンテナンスでも手間の掛かる作業。船体がFRP製でも重曹ブラストなら攻撃性が弱く、残留メディアが河川に流れても悪影響もない。

ドライとウェットを切り替えできるEZ WETスタートキットは5万5800円(税・送料別)。空気の使用量が多いのでコンプレッサーは3馬力以上を推奨。

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モトメカニック編集部

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