『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第16回は、伊豆半島西部の海岸沿いを南北に延びる国道136号線。距離的には短いが、ロケーションは最高なのだ。
TEXT:Hidetoshi KANDA
西伊豆特有のダイナミックな海岸風景 富士を遠望しつつ断崖絶壁をトラバース!
伊豆半島西部の海岸沿いを南北に連絡する大動脈でもあり、ライダーにとっては定番のツーリングロードとも言える国道136号線。その中で最もハイライトと呼べるのがこの“富士見彫刻ライン”だ。総延は、松崎町から雲見温泉までの約4km。距離的にはかなり短めで、一見物足りない印象すら感じてしまいがちではあるが、小粒ながら驚愕のロケーションを誇る絶景ロードなのである。
その一番の見どころは、西伊豆の特徴でもある豪快な海岸だ。数十mにもなる断崖絶壁上をトラバースするワインディングより見渡す、荒々しい岩礁風景は見事の一言。古来より手つかずの自然海岸の美しさとマリンブルーに輝く海の美しさに絶句する事に違いない。
また、その道路線形もライダーにとっては大きな魅力だろう。土日や連休中も比較的混雑の少ない国道136号線ながら、その大部分はリエゾン区間とも言え、ほぼ冗長な様相だ。しかし、松崎町を過ぎ富士見彫刻ラインに入るなり、その様相は一変する。ブラインドカーブの連続に加え、豪快なアップダウンの連続。路面は整った完全舗装の為、大型ツアラーでも全く問題としないが、勾配とタイトコーナーが連続する古い道路線形は初心者ライダーにとっては少々手強さを感じる場合もあるだろう。
しかし、この連続コーナーこそ、このルートのメインディッシュ。車体を軽快に切り返し、一つ一つ丁寧にコーナーをクリアする。潮の香りを微かに感じつつ、松の隙間より望む駿河湾。その先には雄大な富士。
絶景の要素を全て満たした抜群のロケーションの中を、ワインディングロードと格闘するこのルートは、終着の雲見温泉まで走ると、若干身体の暑さすら感じてしまう程、ライダーの本能に突き刺さるアツい道なのだ。
ちなみに“富士見彫刻ロード”のネーミング由来は、地元の彫刻家や学生さん達が沿道に数々の彫刻を設置している事からきている。彫刻そのものは評価の分かれる所ではあるが、このロケーションと走り応えは間違いなく国内屈指の見事さ。伊豆旅では絶対に外せないルートの一つだろう。
さくら
静岡県賀茂郡松崎町松崎22-3
TEL:0558-43-1532 11:00~20:00 不定休
ロード情報
交通量:伊豆周遊の大動脈かつ、観光地の雲見温泉付近ながら休日や連休中でも交通量は比較的少ない。アップダウンが激しくやブライドカーブが多い為、見通しには注意だ。
路面:舗装は大変綺麗ながら、小落石には注意が必要。完全2車線ながらカーブが多い為、はみ出しには互いに細心の注意をしよう。路肩が狭く、駐車スペース以外での停車は厳禁。
~富士見彫刻ライン~
秘境感★★★
天空感★★
潮風感★★★★★
爽快感★★★★
根性感★★★
開放感★★★★
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