ホンダは企業や個人事業主に向けて、原付二種の電動二輪車「PCXエレクトリック(ELECTRIC)」のリース販売を11月30日(金)より開始する。’17年の東京モーターショーで発表されたときから、ほぼそのままの姿での登場だ。3月のPCX125/150、そして7月のPCXハイブリッドに続いてのシリーズ第3弾となる。
ガソリン車やハイブリッドと比べると?
今回の試乗記は編集部員「ヨ」による速報であり、本格的なインプレッションは大屋雄一テスターがあらためて誌面とWEBヤングマシンで展開予定。そのあたりを踏まえつつ読んでいただければ幸いである。
今年の春に新型となったPCXは従来型から全面的な変更を受け、ダブルクレードル式となったフレームによる安定性の高さや、スマートキーなどの便利な先進装備が好評となっている。ガソリン車は3月、続いて7月には量産二輪車初のハイブリッド車が発売。PCXハイブリッドは加速をはじめてから4秒間続くモーターアシストによって、クラスを超えた加速力を見せつけた。また、一瞬でもスロットルを閉じればもう一度4秒ルールが適用されるという裏技が話題になるなど、燃費やエミッションといったエコ性能だけではない、パフォーマンスや遊び心でも語れる1台となっている。
マフラーがない見た目は新鮮
さて、PCXエレクトリックである。見た目には白基調に青の差し色でエコな感じを表現してはいるが、ほぼ普通にPCXだ。が、EVだけに当然マフラーはなく、そのぶん右側スイングアームは凝ったデザインとされているほか、モーターを内蔵しているスイングアーム左側も明らかに細身に見える。シート下にバッテリーを2個収納できるようにしたため収納部分の下側が膨らみ、リヤタイヤとの干渉を避けるためにスイングアームが65mm伸びているのも特徴ではあるが、マフラーがないことに目がいってしまうので、言われなければ気づかないかもしれない。リヤショックの取り付け角度がSTDよりも寝ているのと、スイングアームマウントのナンバープレートホルダーの採用は、スイングアーム延長との兼ね合いもあるそうだ。
車重増は、ほとんど気にならない
取りまわしでは、センタースタンドを上げる際と大きめに車体を傾けたときに、やや重さを感じる。車重はSTDの130kg(125)に対して144kgとなっており、バッテリー搭載位置の関係で重心も高くなっているとのこと。ただし、これを感じたのは取りまわし時だけだった。また、静止状態から押しはじめる際にはモーターならではの抵抗を一瞬感じるが、ホイールが転がりはじめてしまえば全く違和感はない。
スマートキーを持ち、メインスイッチで電源を入れるとメーターに起動画面が表示される。そこから走行可能状態にするにはスタータースイッチを押すのだが、電源オンにしてから数秒待つ必要があるのはスマホなどの感覚に少し近い。
静かで必要十分な動力性能
跨ってしまえば、アイドリング音がしないこと以外は普通のスクーターだ。シート高はスペック上でガソリン車よりも4mm低くなっているものの、誤差の範囲と言っていいだろう。しかし、やはりスロットルをひねればEVならではという感覚になる。低回転域で最大トルクを発生するのがモーターの特徴だけに、スタートダッシュでスロットルを大きく開けると、わずかなギヤ鳴りとともに静かで力強い加速がはじまるのだ。クラッチ機構を持たないため、モーターの回転がはじまる際にはシートにわずかなショックが伝わってくるものの、スロットルの開け方次第でそれを収めることは可能だし、そもそも慣れれば全く気にならない程度。
たまたま信号待ちで普通の125ccスクーターに並んだのだが、およそ30km/hまでは同等の加速を見せ、そこから速度がさらに上がると、ガソリン車のほうに分がありそうだった。モーターの特性ゆえか40km/hあたりから加速力は少しずつ弱まり、ストレスなく加速できるのは60km/hあたりまで。市街地では必要十分な動力性能だ。1充電あたりの航続距離も41kmとなっていることから、市街地や観光地などでの使用に適していると言えそう。
スロットルを戻した際のエンジンブレーキ(モーターブレーキ?)はごく自然で、周囲の音がよく聞こえるのは新鮮。ものは試しと、人通りの多い裏路地エリアを走ってみたが、静けさゆえに周囲を観察する余裕が大きいように思えた。ただ、半面では静けさゆえに歩行者に気づいてもらいにくい点に留意する必要がある。横断歩道のない場所でヒョイっと飛び出してくる歩行者がいたのだが、こちらの存在に気付いたときのリアクションが大きく、明らかに意外そうな顔をしていたのが印象的だったからだ。
乗り心地は良好、接地感はやや独特だ
車重に関しては、走り出すと全く気にならない。一般的に高めの重心はむしろ運動性が高まる方向性で、それをロング化したホイールベースによる安定性向上でニュートラルなバランスとしている印象だ。ガソリン車と同じユニットスイング方式ではあるが、マフラーなどがなく、リヤのユニットスイング部では約5kgの軽量化となっている。これの恩恵で、明らかにリヤの追従性は増していて、乗り心地はスムーズ。相対的にフロント寄りにライダーが着座することになるので、むしろフロントタイヤが近い感覚になり、路面からの衝撃が伝わりにくいリヤに比べるとフロントにはややゴツゴツした印象を覚えた。バッテリー搭載やリヤの軽量化、ロングホイールベース化により、前輪荷重はガソリン車やハイブリッド車よりも増えているという。
少しキビキビ走ろうとするとリヤタイヤが遠い感覚になり、接地感が薄いのは気になった。記者は身体が大きいこともあって、もう数cm後ろに座れたら……と思わないでもない。ここはシート形状をSTDと同じとせず、ライダー側のシートの前後長にもう少しだけ自由度があったら嬉しいところではある。
記者が都内を走り回った際の電費はというと、10kmの走行で電力を23%消費していたことから、おおよそ発表値どおりの40~45km程度の走行が可能だろう。満充電には最長で6時間ということなので、通勤などであれば十分。配送などでの使用であれば予備のバッテリーを用意しておきたいところだ。
〈主要諸元:HONDA PCX ELECTRIC〉
●全長1,960 全幅740 全高1,095 軸距1,380 シート高760mm 車重:144kg
●電動モーター 5.7ps/5,500rpm 1.8kgf・m/500 リチウムイオン電池 50.4V-20.8Ah×2個
●ブレーキF=油圧式ディスク R=機械式ドラム
●タイヤF=100/80-14 R=120/70-14
●価格:未発表/11月30日よりリース販売
※ニュース提供:ホンダモーターサイクルジャパン
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