マシン・オブ・ザ・イヤー2018
ハイブリッドに続く第3弾は完全電動バイク

ホンダのPCXエレクトリック(EV)がついに販売開始!【試乗速報&車両解説】

ホンダは企業や個人事業主に向けて、原付二種の電動二輪車「PCXエレクトリック(ELECTRIC)」のリース販売を11月30日(金)より開始する。’17年の東京モーターショーで発表されたときから、ほぼそのままの姿での登場だ。3月のPCX125/150、そして7月のPCXハイブリッドに続いてのシリーズ第3弾となる。

ガソリン車やハイブリッドと比べると?

今回の試乗記は編集部員「ヨ」による速報であり、本格的なインプレッションは大屋雄一テスターがあらためて誌面とWEBヤングマシンで展開予定。そのあたりを踏まえつつ読んでいただければ幸いである。

今年の春に新型となったPCXは従来型から全面的な変更を受け、ダブルクレードル式となったフレームによる安定性の高さや、スマートキーなどの便利な先進装備が好評となっている。ガソリン車は3月、続いて7月には量産二輪車初のハイブリッド車が発売。PCXハイブリッドは加速をはじめてから4秒間続くモーターアシストによって、クラスを超えた加速力を見せつけた。また、一瞬でもスロットルを閉じればもう一度4秒ルールが適用されるという裏技が話題になるなど、燃費やエミッションといったエコ性能だけではない、パフォーマンスや遊び心でも語れる1台となっている。

【HONDA PCX HYBRID】’18年7月に発売された。「Honda二輪EV取扱店」での取り扱いとなる。価格:43万2000円

マフラーがない見た目は新鮮

さて、PCXエレクトリックである。見た目には白基調に青の差し色でエコな感じを表現してはいるが、ほぼ普通にPCXだ。が、EVだけに当然マフラーはなく、そのぶん右側スイングアームは凝ったデザインとされているほか、モーターを内蔵しているスイングアーム左側も明らかに細身に見える。シート下にバッテリーを2個収納できるようにしたため収納部分の下側が膨らみ、リヤタイヤとの干渉を避けるためにスイングアームが65mm伸びているのも特徴ではあるが、マフラーがないことに目がいってしまうので、言われなければ気づかないかもしれない。リヤショックの取り付け角度がSTDよりも寝ているのと、スイングアームマウントのナンバープレートホルダーの採用は、スイングアーム延長との兼ね合いもあるそうだ。

【HONDA PCX ELECTRIC】青い差し色とスイングアームまわりの造形が目を引く。フロントのみ働くABSやフルLEDの灯火類などはガソリン車に準じる。

車重増は、ほとんど気にならない

取りまわしでは、センタースタンドを上げる際と大きめに車体を傾けたときに、やや重さを感じる。車重はSTDの130kg(125)に対して144kgとなっており、バッテリー搭載位置の関係で重心も高くなっているとのこと。ただし、これを感じたのは取りまわし時だけだった。また、静止状態から押しはじめる際にはモーターならではの抵抗を一瞬感じるが、ホイールが転がりはじめてしまえば全く違和感はない。

スマートキーを持ち、メインスイッチで電源を入れるとメーターに起動画面が表示される。そこから走行可能状態にするにはスタータースイッチを押すのだが、電源オンにしてから数秒待つ必要があるのはスマホなどの感覚に少し近い。

静かで必要十分な動力性能

跨ってしまえば、アイドリング音がしないこと以外は普通のスクーターだ。シート高はスペック上でガソリン車よりも4mm低くなっているものの、誤差の範囲と言っていいだろう。しかし、やはりスロットルをひねればEVならではという感覚になる。低回転域で最大トルクを発生するのがモーターの特徴だけに、スタートダッシュでスロットルを大きく開けると、わずかなギヤ鳴りとともに静かで力強い加速がはじまるのだ。クラッチ機構を持たないため、モーターの回転がはじまる際にはシートにわずかなショックが伝わってくるものの、スロットルの開け方次第でそれを収めることは可能だし、そもそも慣れれば全く気にならない程度。

たまたま信号待ちで普通の125ccスクーターに並んだのだが、およそ30km/hまでは同等の加速を見せ、そこから速度がさらに上がると、ガソリン車のほうに分がありそうだった。モーターの特性ゆえか40km/hあたりから加速力は少しずつ弱まり、ストレスなく加速できるのは60km/hあたりまで。市街地では必要十分な動力性能だ。1充電あたりの航続距離も41kmとなっていることから、市街地や観光地などでの使用に適していると言えそう。

スロットルを戻した際のエンジンブレーキ(モーターブレーキ?)はごく自然で、周囲の音がよく聞こえるのは新鮮。ものは試しと、人通りの多い裏路地エリアを走ってみたが、静けさゆえに周囲を観察する余裕が大きいように思えた。ただ、半面では静けさゆえに歩行者に気づいてもらいにくい点に留意する必要がある。横断歩道のない場所でヒョイっと飛び出してくる歩行者がいたのだが、こちらの存在に気付いたときのリアクションが大きく、明らかに意外そうな顔をしていたのが印象的だったからだ。

通常の交通では違和感なく運用できる。歩行者が多い場面ではやや注意が必要。

乗り心地は良好、接地感はやや独特だ

車重に関しては、走り出すと全く気にならない。一般的に高めの重心はむしろ運動性が高まる方向性で、それをロング化したホイールベースによる安定性向上でニュートラルなバランスとしている印象だ。ガソリン車と同じユニットスイング方式ではあるが、マフラーなどがなく、リヤのユニットスイング部では約5kgの軽量化となっている。これの恩恵で、明らかにリヤの追従性は増していて、乗り心地はスムーズ。相対的にフロント寄りにライダーが着座することになるので、むしろフロントタイヤが近い感覚になり、路面からの衝撃が伝わりにくいリヤに比べるとフロントにはややゴツゴツした印象を覚えた。バッテリー搭載やリヤの軽量化、ロングホイールベース化により、前輪荷重はガソリン車やハイブリッド車よりも増えているという。

少しキビキビ走ろうとするとリヤタイヤが遠い感覚になり、接地感が薄いのは気になった。記者は身体が大きいこともあって、もう数cm後ろに座れたら……と思わないでもない。ここはシート形状をSTDと同じとせず、ライダー側のシートの前後長にもう少しだけ自由度があったら嬉しいところではある。

記者が都内を走り回った際の電費はというと、10kmの走行で電力を23%消費していたことから、おおよそ発表値どおりの40~45km程度の走行が可能だろう。満充電には最長で6時間ということなので、通勤などであれば十分。配送などでの使用であれば予備のバッテリーを用意しておきたいところだ。

モーターはスイングアームに内蔵。減速のためのギヤを1枚挟んで、リヤホイールを駆動する。クラッチ機構などは持たない。ユニットスイング部ではガソリン車比で約5kg軽量になっている。ちなみにスイングアームピボットがホイールアクスルよりも低い位置にあるのと、リヤショックに3段バネを採用しているあたりも独特な接地感の要因になっていると思う。

バッテリーの取り外しはワンタッチで、レバーを下げると押さえのバーが引っ込む。ちなみにオプションのトップケースなどはガソリン車と同じものが装着可能とのこと。メットインスペースがないことから、これはけっこう重要かもしれない。

バッテリーを外した状態では接続端子が引っ込んでいて、装着してレバーを上げると端子がせり出してくる。多少乱暴に扱われても問題ない設計にした、とのこと。

バッテリーはこんな感じ。1個あたり約10kgあり、可搬性や今後の汎用性などを考慮して2つに分けて搭載する形にしている。48Vを直列繋ぎとして96Vで運用するが、充電時には並列繋ぎとして各バッテリーに最適化した充電を行うという。

オプションの別売り充電器。モバイルパワーパック(バッテリーのこと)を1個あたり4時間で充電できる。

車両単体での充電は、電源コードを引き出して家庭用電源プラグに差し込んで行う。0%から満充電まで6時間。手元写真は今回の取材時のもので、車両写真は東京モーターショー発表時のもの。

メーター。ブルーを基調としたラインでエコを表現する。中央表示部分にはバッテリー残量を1%単位で表示。

〈主要諸元:HONDA PCX ELECTRIC〉

●全長1,960 全幅740 全高1,095 軸距1,380 シート高760mm 車重:144kg
●電動モーター 5.7ps/5,500rpm 1.8kgf・m/500 リチウムイオン電池 50.4V-20.8Ah×2個
●ブレーキF=油圧式ディスク R=機械式ドラム
●タイヤF=100/80-14 R=120/70-14
●価格:未発表/11月30日よりリース販売


※ニュース提供:ホンダモーターサイクルジャパン

「ホンダPCXハイブリッドは純ガソリン車とココが違う」はこちら

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ヨ

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帰ってきたネイティブ足立区民。ヤングマシン、姉妹誌ビッグマシンで17年を過ごしたのち旅に出ていた編集部員だ。見かけほど悪い子じゃあないんだぜ。
■1974年生まれ
■愛車:MOTOGUZZI V7 SPECIAL(2012)

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