仕事に家庭に忙しい日々を送る我々ホリデーライダーにとって、バイクで出かける長距離の旅は、日常のストレスからいっとき解放されて新たな英気を養うまたとない機会。そんなロングツーリングを快適にする頼りになる相棒として欠かせないのが、旅の荷物をひとつに収める大型シートバッグだ。本企画では特に50~70Lクラスのバッグを6点セレクトして、各製品の特徴や機能性をつまびらかに。本稿では、ベテランも納得の高機能仕様を持つ「BWPラフクルージングバッグ RR9030」(ラフアンドロード)を紹介する。
他社製品とはひと味違う凝った作り
BWPラフクルージングバッグは他社製品にはない独自の高機能がウリ。構造としては箱型なのだが、メイン気室にアクセスできるのは天面からのみ。一見すると不自由なようだが、この形状は底面の防水性を重視したためだ。シートバッグは本体自体に防水性はなく、外側にレインカバーを被せるのは他社製品と同じだが、さらに本製品はメイン気室の下側に防水処理をほどこしたインナー(ボトムウォータープルーフ)を配置して、下からしみてくる水分から荷物を守り、雨天走行でも安心できる構造を採用している。
また独自機能のひとつにイージーマウントテープが挙げられる。シートバッグの固定には4本のベルトでテンションを掛けて安定性を生み出すが、本製品は2本のイージーマウントテープがさらに加わるため、都合6か所の固定ポイントで安定性を高めている。がっちり積みたい人におすすめだ。
容量アップは縦方向に
構造上、天面の開口部以外でメイン気室にアクセスできるところは、天面左わきのファスナー(開口部28cm)のみ。対称の右わきファスナーは平面状のポケットになっている。容量を拡張すると収納スペースが縦方向に伸び、+20L増えて75Lになる。
北海道仕様のフラッグホルダー
バッグ側面には携帯燃料缶用ホルダーや小型ポケットなどが充実。北海道で定番のホクレンフラッグを固定する専用ホルダーもある。また、メイン気室の底には縁の深いトレイ状の着脱式防水インナーが付属し、底面から侵入する水分で濡れないように工夫をしている。
シートバッグを取り付けてみる
(テスト装着車:CRF1000Lアフリカツイン アドベンチャースポーツ)
【POINT1】後ろ側の固定ベルトはバッグとキャリアの位置関係からアジャスターの引き代が少なかったため、クロスするよう右側に取り付け、左側のバックルへ装着した。
【POINT2】先に上の固定ベルトを取り付けたら、本体に付属するイージーマウントテープをキャリアやテールエンド、グラブバーなどに巻き付けて固定力を上げる。
【POINT3】傷付き防止フラップ付きのループをタンデムステップに取り付け、アジャスター付きベルトで長さを調整。
装着後はこんな感じに仕上がる
車体に装着してみるとバッグの高さが最も低く、グラグラすることがない。また6か所の固定ベルトによる安定感が秀逸。ただそれゆえにバッグの着脱に少々手間取ることも。そこはトレードオフの関係だ。
開口部は幅48cm×奥行34cmで最も広い(編集部計測)。また、レインカバーで唯一、脱落を防止する固定用ベルクロを装備。裾はドローコードで絞りを調節できる。
各サイズまとめ
幅46cm、高さ30cm(拡張時43cm)、奥行35cm
増量すると幅46cm、高さ43cm、奥行35cm。本製品は今回セレクトした他製品とは異なり、バッグをたたむことはできない。その分、耐久性と底面の防水性にこだわっており、その点は他製品を凌ぐ。また幅が狭くて拡張時も縦方向に伸びるため、積載時の安定性に優れている。
●重量:3860g(編集部計測)
●容量:55〜75L
●色:黒
●機能:上面サイドオープン、マットホルダー、ドリンクホルダー、燃料缶ホルダー、フラッグホルダー、レインカバー、ショルダーベルト、リフレクター、メッシュネット
●税込価格:2万5920円
●問:ラフアンドロードスポーツ TEL:045-840-6633 http://rough-and-road.weblogs.jp/
【大型シートバッグ6選比較レビュー】
#1:キャンピングシートバッグ2 MOTOFIZZ[タナックス]
#2:キャンプツーリングシートバッグ[イガヤ]
#3:HenlyBegins ツーリングシートバッグ DH-724[デイトナ]
#4:ツーリングリアバッグ78[ゴールドウイン]
#5:BWPラフクルージングバッグ[ラフアンドロード]
#6:テールバッグ レースパック[エスダブリューモテック]
●撮影:長谷川徹、松井慎、飛澤慎
●文:飛澤慎