2017年モデルで空冷のモンスターが復活。’93年の初代モンスター900の古き良きデザインを踏襲した伝統のモデルを岡崎静夏選手と丸山浩さんがテストした。 ※ヤングマシン2017年9月号より
優雅にテイストに浸る、これが最高の楽しみ方
第一印象は「さわやかなイケメン」とモンスター797のデザインをお気に入りのシズちゃん。でも、実際に走り出すと「性格は自己チューだった(笑)」と言う。その理由の多くは、ライポジに起因する。モンスターのシンボルであるワイドで遠いバーハンドルは、シズちゃんでは手が届きにくい。また、ゼロ発進からのトルクが強烈でクラッチのつながりに気をつかう。小柄な人だと腕で抑えづらく、ヒザでのホールドが利きにくい造形のため、加速で体がのけぞってしまうのだ。それでも、発進さえしてしまえばOK。空冷Lツインは低回転域から粘り、3000〜4000rpmはパワフルながらレスポンスが穏やか。緊張感はなく、右手を捻るたびにスムーズなトルクとダカダカッとしたパルスが湧き出る。いかにも空冷らしく高効率を求めない、味わい深いフィーリングだ。
ハンドリングも実にナチュラル。倒し込みが軽い上に、最新のスポーツモデルでは珍しいリヤから曲がっていくフィーリングで安心感抜群だ。そして、意のままに操れる中低速トルクによって、イメージどおりのラインを描ける。5000〜6000rpmからトルクやパルス感がフラットになるので、むしろ飛ばさない方が楽しい。2人とも「流している時の気持ちよさ、面白さは国産のライバルより上」と口を揃える。足まわりはややハードで、前後のピッチングで接地感を出す走りはあまり得意ではない。797は芦ノ湖スカイラインのような中速コーナーがメインの峠を優雅に流すのが似合う。一方で、その気になれば速さは相当なもの。軽い車体や高性能ブレーキはライダーの入力に対して忠実に反応するため、ダイレクトな走りも可能だ。そして、意外だったのがタンデム性能。座面がフラットで持ち手もあるため2人乗りが快適だった。
モンスターシリーズで最も身近な存在を担う
’93年登場の初代モンスターによってもたらされたシリーズの原点に立ち戻るイメージをまとうと共に、もっとも親しみやすいドゥカティ・ネイキッドモデルを目指して作られたブランニューモデルがモンスター797だ。エンジンはオリジナルモンスターを彷彿とさせる空冷Lツイン。これには同社のスクランブラーに搭載されるユーロ4に対応した803cc系ユニットを採用し、冷却フィンも新設して往年の雰囲気を醸し出した。また、トレリスフレームもモンスター1200のような分割タイプではなく、ステアリングヘッドからテールピースまで一体型の伝統的な構造とし、これにカヤバ製フロント倒立フォークとザックス製リヤショックユニットで懸架する両持ちスイングアームを備えることとしている。
最高出力は76㎰、最大トルクは7・0㎏‐mを発揮。φ50㎜のシングルスロットルボディで、バタフライ下に2つのインジェクターを装備する方式となり、このあたりからは高回転パワーを追求するのではなく誰にでも扱いやすいキャラクターを目指しているのが見て取れる。トラコンや高度な電子制御デバイスは装備されないが、アシスト&スリッパ—クラッチやボッシュ製ABSといった快適&安心機能は標準装備は忘れない。
Ducati Autumn & Winter キャンペーン実施中
期間は、2018年8月24日~12月31日まで。記事で紹介したモンスター797シリーズでは、デスモプラン(残価設定ローン)を利用し、期間中に成約&登録した場合に頭金をサポート。また、20万円分のアパレルやアクセサリーのプレゼントが受けられる。他にも、モンスター797は対象外だが、デスモプランで金利0%になるメニューもあり。詳しくは最寄りのドゥカティジャパン・ネットワーク店まで。
テスター:丸山浩/岡崎静夏
撮影:真弓悟史