商用からパーソナルユースへ舵を切った歴代初のスーパーカブと言えるC125。エレガントで上質なデザインの中にはなかなかのスポーティさが潜んでいた! ※ヤングマシン2018年11月号(9月22日発売)より
つい引っ張りたくなるエンジンの特性
意外なほどスポーツ寄せ、というのが率直な印象だ。例えばスーパーカブの110であれば、低回転からの粘りを活かしてポンポンとシフトアップし、ヒューンというカブ特有のメカノイズや、滑らかで牧歌的なエンジンフィールを楽しむ……といった走りのイメージだが、プレミアムな新顔・C125では少々様子が異なるのだ。
まず、アイドリングから110より野太く、歯切れのいい音を響かせるし(だからか例の「ヒューン」があまり聞こえない)、エンジンは発進直後や低速域では110と大差なく、中〜高回転の力強さで違いを見せつける特性。要はエンジンを引っ張り気味にしてこそ、排気量の余裕を享受できるような印象なのだ。2速とのギヤ比が離れ気味なのか、1速は40km/hくらいまで引っ張らないと、シフトアップ時にパワーバンドから外れたような淀みを感じるのもそうした印象を助長する。ツブツブした鼓動感の強さや、全域で110より強めの振動も体育会系というか、C125がメインマーケットと考えているタイでは、やはりこういった〝実戦的な〞特性が好まれるのかなぁ……などと感じた。
サスやシフトインジケーターなど装備も充実
とはいえ、シフトフィールは近年のカブで最良と思えるスムーズさだし、車体も50〜60km/hでのピタッとした前輪の落ち着き、ちょっとタメがあり、不安なくバイクを寝かせていける安心感など、明らかに110よりも格上。前輪のディスクブレーキに馴染むと110の前輪ドラムはいささか頼りないし、前後のサスペンションも、大きなギャップでグシャっと潰れるように沈む110に対し、C125は硬いバネがガシッと踏ん張っているような印象がある。フレームは基本的に共通だから、剛性感などに明確な差はないものの、全体的に上質感が高まっているのは間違いない。
さらに言えば、スマートキーをはじめとする高級装備がやっぱり便利で、中でも国内カブ初採用のシフトインジケーターはとても重宝した。停車時にロータリー式ミッションとなるスーパーカブだけに、より多くのライダーに乗ってもらうには必需品だと思う。
主要諸元■全長1915 全幅720 全高1000 軸距1245 シート高780(各mm) 車重110 ㎏(装備)■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 124㏄ 9.7㎰/7500rpm 1.0㎏-m/5000rpm 変速機形式4段リターン※ 燃料タンク容量3.7L ■ブレーキF=ディスク R=ドラム ■タイヤF=70/90-17 R=80/90-17 ※停止時はロータリー式
撮影:山内潤也/真弓悟史/ホンダ
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