2018年6月、国内で正式発表されたばかりのスーパーカブC125に試乗する機会を得た。量産直前のプロトタイプの試乗インプレッションをお届けしよう。 ※ヤングマシン9月号(7月24日発売)より
【インプレッション】各部に感じられる上質さと余裕
最初に断っておきたいのは、試乗したスーパーカブC125がプロトタイプということと、試乗場所がツインリンクもてぎのホンダコレクションホール裏にあるミニコースで、コース幅が狭く所々にはコケも生えていて、コーナーを攻めるような走りも試せなかったことだ。とはいえ、C125の魅力は十分に感じることができた。スーパーカブC100と並べると、ハンドルからフロントフォークまで一体で可動するユニットステアや鳥が翼を広げたような形のハンドルなど、デザインに初代のテイストが盛り込まれていることがよく分かるが、またがった感じも、初代から受け継いだ背筋がスッと伸びる、スーパーカブらしいライポジになっているのだ。
走り始めて感じるのが、エンジンのパワフルさ。直接乗り比べたわけではないが、スーパーカブ50はもちろん、スーパーカブ110よりも力強く感じられた。タイトなコーナーが連続するコースを2速のままでスイスイと走ることができるのだ。ギヤチェンジも50/110よりもスムーズだったように思う。エンジンの振動(特に高回転まで回したとき)が少ないのもC125ならではだし、ストロークを増した前後サスにより乗り心地も良かった。そして何より、フロントブレーキが握力に比例して制動力が高まるディスク(50/110はドラム)なので、スピードのコントロールがしやすいのがいい。大げさに言えば、50/110が”良くできたビジネスバイク”なのに対し、C125は”ビジネスバイクの形をしたファンバイク”なのだ。 ※テスター:中野仁史
豊かになった現代にカブは新しいステージへ
「人々の役に立つ乗り物を作りたい」。ホンダの創業者である本田宗一郎と、その右腕だった藤澤武夫の2人も開発の陣頭に立った初代スーパーカブC100が産声を上げたのは1958年8月のこと。それから60年もの長きに渡って世界中で愛され続け、’17年10月には累計生産台数1億台を突破。ベーシックモデルといえる50&110の’18年モデルはなじみ深い丸目デザインに回帰し、幅広い世代から支持され再び脚光を浴びているのが、ホンダいや日本が誇る名車スーパーカブだ。
そのスーパーカブに、新たな価値観を持った1台が加わった。それが、このC125。日本でビジネスユースとして、同時にタイをはじめ東南アジア各地では一家に1台のファミリーユースとして、常に人々の生活を支えてきたスーパーカブだが、このC125は、その変わらぬ便利さを「現代の豊かな生活との調和」をはかった1人に1台の上質なパーソナルコミューターへと拡大することを狙っている。しかも、日本やアジアだけでなく、北米・欧州も含めたグローバルモデルとしてだ。
そのスタイルは、鳥が翼を広げたような形のハンドルバーや、そこからフロントフォークまでを一体に見せる「ユニットステア」など、C100のエッセンスを完全にオマージュしたうえで、LED灯火類などの高い質感でモダンにアレンジ。動力面や車体面も1クラス上になっている。誰もが知るスーパーカブでありながら、従来とは一線を画す「素敵で新しい乗り物」が、60年の節目で誕生したのだ。
文:中野仁史/宮田健一
取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン
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