マシン・オブ・ザ・イヤー2018
9月14日発売、価格は39万9600円

ビジバイから上質コミューターへ「ホンダ スーパーカブC125」正式デビュー

先の東京/大阪MCショーに出展され、大きな注目を集めていたスーパーカブC125が正式デビューした。日本仕様はABSなしの1タイプで、カラーリングも初代スーパーカブ・C100を彷彿させるブルーの1色。発売は9月となる。その最大の特徴は、1958年の登場以来60年、一貫してビジネスユースの機能や利便性を追求してきたスーパーカブが、パーソナルユースや上質さといった趣味性の方向に舵を切ったことだろう。

最強の実用性に「プレミアム感」を融合

エンジンはタイなどで販売される「ウェーブ125」用がベースで、これをスーパーカブ110が基となるパイプフレームに搭載している。とはいえ、C125の特徴はそうしたハード面にあるのではない。

初代スーパーカブ・C100をモダンにアレンジしたデザインには、全てLEDとされた灯火類やスマートキーなど最新アイテムを投入。キャストホイールやフロントディスクブレーキなど、安全性や快適性を高める装備を奢り、エンジンも振動低減やシフトフィール向上に力を注ぐ。サスペンションも110よりストロークを伸ばすなどで乗り心地を上質化している。

ホンダ・スーパーカブは言うまでもなく、絶対的な信頼性や経済性、扱いやすさで世界中から絶大な支持を集める最強のビジネスバイクだ。そこに上質さやゆとりを盛り込み、パーソナルユースへ大きく方向転換したのがC125。ひたすら実用性を磨き続けてきたスーパーカブとしては大きな一歩を踏み出した存在である。4輪ならBMWミニ、2輪ならイタリアのベスパなどに近いと言ってもいいだろう。

1958年に登場した初代スーパーカブ・C100。49ccの空冷単気筒・OHVエンジンを搭載し、4.5ps/9500rpmを発揮。公称最高速度は70km/hだった。

両端が持ち上がったハンドルやライト下のグリル、赤い表皮のシートなどはC100を代表するモチーフだが、その多くがC125に踏襲されている。

カブの普遍性にモダンさをプラス

外観デザインは、1958年登場の初代スーパーカブ・C100以来のスタイルである「S字」のシルエットを踏襲。ステップスルーの乗降性やリヤのサイクルフェンダーで構成される“機能を外観で表現”したスタイルを基に、カモメの翼のごとく両端が上がったハンドルや、ライト下のグリル、ウインカー/テールランプの形状など、C100モチーフの要素を各部に投入。リヤフェンダーは樹脂よりも薄く、シャープなデザインを実現できるスチール材のプレス成形品としている。

真横から見て、レッグシールド〜リヤフェンダーへつながるS字のラインはスーパーカブの普遍的モチーフ。C125はそこにエッジを立て、ラインをより強調している。

C100の鉄板プレスに対し、C125はパイプハンドルを内蔵した樹脂成形として独特のフォルムを再現する。

エッジがシャープなリヤフェンダーは鉄板プレス。テールランプやウインカーもC100をモダン化したデザインだ。

上質さを求めたエンジンと車体

エンジンは4速ミッション+自動遠心クラッチの124ccの空冷単気筒OHC。ベースは先述したようにウェーブ125用で、グロムや新型モンキー125(この2台は手動クラッチだが)とも同血脈のユニットだ。しかし、C125ではより上質なフィーリングを求め、プライマリーギアのスパー→ヘリカル化や高精度クランクベアリングで静粛性を高め、シフトフィールを改善するため、ベアリングの追加やショック低減ラバーの追加/改良などを行うほか、吸排気系の専用化で出力もアップ。左右のエンジンカバーも柔らかい丸みを持たせたC125専用品だ。

グロムやモンキー125と同系統の124cc単気筒エンジン。スーパーカブとしては最大の排気量で余裕をプラスする。

バックボーン型のパイプフレームはスーパーカブ110を基とするが、ヘッドパイプやエンジンマウント周辺の剛性をチューニングし、シートレールもフェンダーに合わせて短縮するなどの変更が施される。また、サスペンションは110に対し、ストローク量を前10mm、後19mm長く取ることで快適性を向上。フロントのディスクブレーキや、切削加工された中空あるみキャストホイールなども奢られている。IRC製のタイヤもパターンをC125用に改めた専用品だ。

車体の基本はスーパーカブ110ながら、スイングアームは楕円パイプを用いるC125専用品。

細部の精緻な仕上げも見もの

上質感あふれる仕上げもC125の特徴だ。ステップは振動の抑制とデザイン性を両立したラバー+アルミ製で、ペダル類もアルミ材を採用。ヘッドライトを含む全灯火類はLEDで、デザイン的にも質感の高い凝った形状とされる。メーターも内側をデジタル、外側を指針式とした立体的かつ精緻なデザインだ。スマートキーを採用し、そのユニット収納部をC100のエアクリーナー風に処理したのもユニークだし、シート下やレッグシールド前面のエンブレムもC100へのオマージュ。細部を眺めるほど「凝ってるなー!」と感嘆せずにはいられない作り込みからも、C125が既存カブとは一線を画す存在だと理解してもらえるはずだ。

ラバーとアルミを組み合わせた凝ったステップ。シフトペダルの踏部も質感の高いアルミ製だ。

120km/hフルスケールの速度計を外周に配したメーター。2重のクロームリングで高級感が漂う。

スポークが細くシャープな形状のホイール。前ブレーキはディスクでタイ仕様にはABS仕様も設定される。タイヤはC125専用パターンを持つIRC製だ。

スマートキーを採用。配されるエンブレムは車体と同様、旧タイプのウイングマークだ。

左写真のメッキカバー部がC125のスマートキーのユニットで、右がC100のエアクリーナーの蓋。ともにメーターの直下、レッグシールドの内側にある。

モンキー125と同価格

気になる価格は税込みで39万9600円(日本仕様はABSなし)。これは奇しくもモンキー125の非ABS車と同価格だから、2台のどちらかで迷う人もいるかもしれない。また、C125は全世界で販売されるグローバルモデルだが、リヤキャリアが標準装備され、2人乗り仕様となるのは現状では日本仕様のみ。カラーリングはC100イメージのブルー単色展開とされる。

日本仕様は標準装備、他国ではオプション扱い(こちらはメッキ仕上げ)となるキャリヤ。リヤシートは用意されないので、ここは社外品の登場を待ちたいところ。

スーパーカブ110よりは若干大柄に感じるが、ライポジにその影響は感じない。足着き性も良好だ。

このスーパーカブC125、タイをメインマーケットに据えて企画されたという経緯から、開発/生産ともにタイで行われている。その開発コンセプトは「Personal Commuter for Global“NICEST LIFE”」というもので、この「NICEST」にニヤリとする人も多いはずだ。

60年前のアメリカで、ならず者の乗り物だったオートバイのイメージを激変させ、爆発的なセールスを記録した初代スーパーカブ。その起爆剤となったのが「YOU MEET THE NICEST PEOPLE ON A HONDA(素晴らしい人、ホンダに乗る)」というコピーが踊る、二輪史上に残る名広告とそのキャンペーンとされる。そこにあやかったキーワードからも、C125に秘められた遊び心や、偉大な初代へのオマージュが伺い知れると言っていい。

「ナイセストピープル・キャンペーン」の広告デザイン。ホンダに乗ったら楽しい生活が待っていそうな、ポップなイラストが今見ても秀逸!

写真:真弓悟史/ホンダ

マツ

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「西部警察」と「北の国から」をこよなく愛する本誌編集部員。NSR専門誌・PROSPECのほか、フリーペーパーとして復活を果たしたビッグマシン零(ゼロ)の編集長も兼任する。
■1975年生まれ
■愛車:HONDA NSR250R(1992)/HARLEY-DAVIDSON XL883(2009)

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