
ハーレーダビッドソンにとって、“カスタム”は切っても切れない楽しみのひとつ。『ウィズハーレー』誌が、多くのオーナーの参考となりそうな最新カスタム車両を紹介する。今回はRTB MOTORCYCLEが仕立てた、クラブスタイルの「ローライダーST129」だ。
●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集部) ●写真:夏目健司 ●外部リンク:RTB MOTOCYCLE
運動性能も飛躍的に向上させた、クラブスタイルカスタムの完成形
軽快かつパワフル! 強力なモーターに隙のない足まわりで、スピードクルーザーとしての理想形のひとつを具現化していると言っていいだろう。
ノーマルでもミルウォーキーエイト117(排気量1923cc)を積み、倒立式フロントフォークにダブルディスクブレーキといった装備を誇るローライダーSTが、クラブスタイルバイクの高みを極め、全方位へブラッシュアップされた。
ローライダーSTは、ショベルヘッド最終期1982年式に登場したFXRTスポーツグライドをオマージュし、現代によみがえった。フロントフェアリングは「RTカウル」とも呼ばれ、カスタムシーンで注目を集めると、H-Dデザインチームはフォルムを再構築し、見事なまでに生まれ変わりさせている。
FXRTがそうだったように、ローライダーSTもまたカスタムシーンの最前線で人気沸騰中。ここにまたRTBの意欲作があり、走らせれば心が弾み胸がすく。まずはその心臓部から見ていこう。
M8パワーユニットにはリーディングエッジの鍛造アルミビレットシリンダーが組み込まれ、129ci/2114ccに排気量を拡大。リニアなスロットルレスポンスで、全域においてモアパワーを獲得するだけでなく、放熱性に優れる点でもメリットをもたらしている。
右手のアクセル操作にシャープな応答性を発揮し、力強い駆動力とダイレクト感を生み出しているのは、先に紹介したブレイクアウトと同じように、ファイナルドライブをベルトからチェーンへコンバージョンしている影響も少なくない。
そして、運動性能を飛躍的に向上しているのは、徹底的に武装した足まわりによるところが何よりも大きい。ハイパープロの前後サスペンションは無段階不等ピッチの“コンスタントライジングレート”スプリングが採用され、初期入力では柔らかく快適な乗り心地に、奥で荷重がかかると反発力が高まり踏ん張りが効く。
バネ下はとことん軽く、スーパースポーツも顔負けの剛性の高さを持つ。アルミ削り出しのスイングアームは、ハードな走りで高荷重が強いられても高いスタビリティを確保。ブレンボのCNC削り出し4ポットラジアルマウントキャリパーとリンダルの3ピースローターで高めたストッピングパワーを有効に使うことができたことも報告しておこう。
中空モノコック構造のカーボンホイールもまたバネ下重量の軽量化に絶大な効果をもたらし、俊敏性はもちろん高速巡航時の直進安定性も高まり、トラクション性能に秀でる。コーナーではタイヤが路面に食いつく感触をしっかりと得られるのも大きなメリットだ。
また車輪がフリクションなくスムーズに転がるのは、STMのハイパフォーマンスベアリングに加え、ホイールシャフトのグレードアップによる効果が絶大といえる。
こうしたハイスペックパーツが細部まで惜しみなく注ぎ込まれ、パワフルに走るだけでなく「曲がる」「停まる」を意のままにし、トータルバランスをより高い次元へと引き上げた。
LEDヘッドライトはアンバーレンズを組み合わせ、フロントマスクは凄みが効き迫力満点。サンディエゴカスタムズのミニフロアボードはビレットアルミニウム製で、滑り止めが施されたMXスタイルがトレンドだ。完全無欠のスピードクルーザーが、今ここに完成したぞ!
運動性能を向上させるには、パワートレインだけでなく足まわりの強化が欠かせない。どちらかが長けていても、トータルバランスで劣っていればハイパフォーマンスは発揮できない。見事なまでに均整がとれ、整合性のあるマシンづくりがなされているのが、このローライダーSTだ。
鍛造アルミビレットシリンダーにより129ciにスケールアップされたM8パワーユニットはハイカムが組み込まれ、オイルポンプも強化。
そのハイパワーを活かすべく、カーボンホイールを履き、アルミ角断面のスイングアームを装着しつつ、ブレンボのラジアルマウントキャリパーでブレーキまわりも徹底武装している。見かけ倒しではない、クラブバイクの真髄をつく本格派に仕上げた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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