創業1903年、アメリカ合衆国ウィスコンシン州ミルウォーキーで誕生したハーレーダビッドソンは、2023年に120周年という大きな節目を乗り越え、新たなる時代へまた走り出している。本記事でリポートするのは、ハーレーダビッドソンジャパンの新車販売において、2023年度もっとも売れたモデル=ブレイクアウト117だ。
●文/写真:ウィズハーレー編集部 ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
妖艶な中にも凶暴さを潜ませる唯一無二のシルエット
ハーレーダビッドソンジャパンの新車販売において、2023年度もっとも売れたモデルが「ブレイクアウト117」だ。2024年もその人気が衰えることを知らない。車両の持つ魅力はさまざまで、1つだけに絞るのは難しいが、まず言えるのはロー&ロングに身構えた唯一無二の流麗なシルエット。ファンを魅了してやまない。
低く長い車体を際立たせているのは、ロングホイールベース化によるところで、レイク角を34度にまで寝かせて実現。そして、フロントを迫力のある大径21インチにしつつ、18インチの後輪には240mmの超ワイドタイヤを履かせた。
その大胆なサイズ設定にも驚かされるが、片側13本ずつ=両面で26本ものスポークが立体的に張り巡らされるカスタムホイールの造形美にも見とれてしまう。リムのエッジから切削加工が施され、グロスブラック仕上げの中でアルミ地を見せつけ、コントラストを強烈なデザインとしている。
完成度が高く、これ以上いったいどこをいじればいいのか。新車のフルノーマルの状態から、カスタマイズされ尽くしているといった印象だ。
ダイナミックなプロポーションで、太くたくましいかと思えば、繊細でスリムなくびれたラインも併せ持つ。シート高は665mmしかなく、足つき性が抜群にいい。どっしりと腰を深く落とし、バーハンドルを握りしめるライディングポジションは荒々しく、妖艶なスタイルの中に凶暴さも潜ませている。
見かけ倒しではない。搭載するエンジンはミルウォーキーエイト117で、強力なトルクを極太タイヤが路面に伝える。トラクションがしっかりとかかった駆動輪は路面を捉えて離さないから、スロットルワークに過度な遠慮はいらない。右手のグリップをガバっと開ければ、加速は凄まじい。タイヤが空転して、手に負えないなんてことはないのだ。
痛快とも言える加速フィールもまたブレイクアウト117の大きな魅力で、速度レンジがいちど上がってしまえば、あとはもうギヤを上げ、低い回転のままゆったりと流せる。トップ6速での100km/h巡航はわずか2200rpmでこなしてしまう。
これぞアメリカンクルーザーと言うべき解放感に、心が満たされていく。ウインドプロテクションは何もないから、ライダーは走行風を真正面からまともに受け止めなければならない。にもかかわらず、エンジンの鼓動を感じ走り続けているだけで、心地良くて仕方がないのはどうしてなのだろうか。ブレイクアウトには脱獄や脱出という意味もある。すべてを置き去りにし、このままどこまでもまっすぐ突き進めばいい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
ウィズハーレーの最新記事
ハイパワーだけでなく、本来持つテイスティさを損なわず、より“らしさ”を強調するストロークアップ エンジンを強化する際、排気量アップが効果的なのはたやすくイメージできるだろう。ハーレーダビッドソンはエボ[…]
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
デイトナを制した伝説のマシンが代官山に出現! 日本が世界に誇るサンダンスハーレーのレーシングマシン「Daytona Weapon I」と「Daytona Weapon II」が、代官山蔦屋書店(東京都[…]
リグニスによるカスタムコンプリートのニューモデル『フリスコスタイル』とは 「これこれっ、これなんだよなぁ」と、エボリューションVツインを知る人はもちろん、もしかしたらハーレーダビッドソンに乗ったことが[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト | ハーレーダビッドソン)
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
リグニスによるカスタムコンプリートのニューモデル『フリスコスタイル』とは 「これこれっ、これなんだよなぁ」と、エボリューションVツインを知る人はもちろん、もしかしたらハーレーダビッドソンに乗ったことが[…]
2002年、「Vロッド」誕生 2002年式から2017年式まで、ハーレーのラインナップに名を連ねたVロッドシリーズ。その系譜を辿るのも興味深い。現行モデルのパンアメリカ/スポーツスターS/ナイトスター[…]
XLCRとはあらゆる点で違う ブラックに統一された精悍な車体の中で、フューエルタンクに貼られたバー&シールドのエンブレムがゴールドで彩られ、誇らしげに煌めいている。 クォーターサイズのコンパクトなフェ[…]
OHV45度Vツインの伝統を受け継ぐ史上最強エンジンは、キャラに違いあり!! 長きにわたり、ウィリーGが熱き情熱でスタイリングを手がけ、開発技術者たちとともに魂が込められ、製品化されてきたハーレーダビ[…]
人気記事ランキング(全体)
チーム・ロバーツの誘いを断った唯一のライダー 年末年始に5泊6日でお邪魔した、アメリカ・アリゾナ州のケニー・ロバーツさんの家。家族ぐるみで仲良くさせてもらっていますが、実は僕、現役時代にケニーさんが監[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
多板式クラッチ構造を知ると、停車時を除いて必要以上にレバーを握っているのがわかる クラッチのレバー操作は、発進はもちろん、ギヤチェンジの度に切ったり繋いだり(放したり)とあまりに頻繁……左手が疲れて嫌[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
1位:ホンダ新型「CB1000」8月時点最新情報まとめ ホンダがCB1000ホーネットをベースに、CB1300の後継機として開発を進めているというウワサの新型CB1000。その8月時点のスクープ情報ま[…]
最新の投稿記事(全体)
2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフレームを露出させた無骨[…]
論より証拠!試して実感その効果!! 老舗カー用品ブランドとして知られる『シュアラスター』が展開するガソリン添加剤「LOOPシリーズ」。そのフラッグシップアイテムであるのが『LOOP パワーショット』。[…]
優れたグリップ力とハンドリング性能を誇るスポーツツーリングラジアル ミシュランが大型スクーター向け新型スポーツツーリングタイヤ「MICHELIN POWER SHIFT(ミシュラン パワー シフト)」[…]
「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」の電動バイク! 充電バイクでニッポンを縦断する人情すがり旅「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」。そこで活躍しているヤマハの電動バイク、E-Vinoが青島文化[…]
チーム・ロバーツの誘いを断った唯一のライダー 年末年始に5泊6日でお邪魔した、アメリカ・アリゾナ州のケニー・ロバーツさんの家。家族ぐるみで仲良くさせてもらっていますが、実は僕、現役時代にケニーさんが監[…]
- 1
- 2