![ヤマハXJ750](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
●文:ライドハイ編集部(根本健)
60年代からひとり低重心にこだわり、ライダーの安心感を念頭に開発していた
まず2台のヤマハ世界GPワークスマシンをご覧いただきたい。
1967年の250cc水冷2ストローク・スクエア4気筒マシンのRD05と、1964年に空冷2気筒ロータリーバルブで初の250cc世界チャンピオンを獲得したRD56。この2台から、ホンダ6気筒に対抗してクラス随一のパワフルマシンを開発、フィル・リード選手とともに名勝負を残した名マシンだ。
赤丸の中をよく見ると、アンダーカウルに擦り傷がある。これは先代RD56でも同じで、深いバンク角で路面と擦った痕がついているのがヤマハ・レーシングマシンの常だった。
1983年のYZR500は、OW70と呼ばれる水冷2ストロークV型4気筒マシン。ケニー・ロバーツ選手が、フレディ・スペンサー選手のホンダNS500と最後まで渡り合った、歴史に刻まれた名マシン。YZR500も赤丸の中、カウルに路面と擦った痕が見える。
限界を極めるレーシングマシンだから当然と思われたかもしれないが、そうとわかっていたら、そこは路面と接しないよう成形するのが、ワークスマシンだ。
なぜ、ヤマハだけこんな痕が常につくのか? それは、可能なかぎり低重心にしようとしたからだ。
じつは、市販レーサーとTD2~3やTZ250~350のように、プライベーターを世界チャンピオンに輝かせたマシンたちにも、同じ路面との擦り傷がカウルやマフラーについていた。
ヤマハには、創成期からとにかく重心を低く設定しようとする設計思想があったのだ。さらには、リバウンドストロークといって、ライダーが乗車したときに体重であらかじめ沈む、ストロークの深いやんわりした足まわりが、レーシングマシンからスポーツバイクまで共通していた。
ヤマハが定義する、安心してコーナリングできるハンドリング
ヤマハ製スポーツバイクを世界に認めさせた、250ccのYDS-3。もちろん、エンジン性能が評価されてのことだが、柔らかいサスペンションで、多くのライダーにスポーツライディングが楽しめると評判になり、ヤマハの存在を世界に知らしめた1964年の名車だ。
また、排気ガス規制で2ストロークが消滅するといわれた70年代終盤から、見事に世界を驚かせた水冷RZ250は……
※本記事は2022年11月2日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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